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企業におけるゼロエミッション導入の実際

[コードNo.01NTS017]

■体裁/ B5判 上製 252頁
■発行/ 2001年 1月31日
(株)エヌ・ティー・エス
■定価/ 30,800円(税込価格)


編集からメッセージ

 ゼロエミッションとは、産業で排出された廃棄物を、他の産業の原料として用いることで資源の有効利用を図り、同時にごみをなくすことを目的とした考え方で、 一九九四年に国際連合大学が提唱し現在も実践中のものである。 これは、新しい企業活動や産業のあり方を求めた考え方であると言える。
 日本も近い将来、深刻な環境汚染や資源の枯渇といった状況に直面することは必至である。 また、いったん汚染された土地や海の環境修復には莫大な費用が必要となるため、日本政府や各自治体、各企業も、このゼロエミッションに取り組み始めている。
 本書は、国際連合大学「ゼロエミッション」研究構想の設立メンバーである国際連合大学高等研究所の鵜浦先生と坂本先生に、ゼロエミッションの提唱から現状、 そして将来あるべき姿を解説していただいたものである。 また、二年連続「環境優良企業」一位にランクされたトヨタ自動車を含めた7社の実例を挙げて詳しく解説されていのも大きな特徴である。
 リサイクルが注目されている中、廃棄物を処分せずに再利用するゼロエミッションに焦点を当てた本書は事業者や行政にとって新たな指針を示したものといえるだろう。


執筆者一覧(執筆順)

坂本憲一 (さかもと けんいち)
昭和35年3月、東京大学大学院博士課程修了。工学博士。同年4月、日本軽金属株式会社入社。平成6年6月、同社参与・株式会社日軽技研専務退任。平成7年3月、国際連合大学。現在、同高等研究所UNU/ZERIプロジェクト科学アドバイザー。
尾花博 (おばな ひろし)
昭和48年3月、東京工業大学工学部卒業。同年4月、小野田セメント株式会社(現太平洋セメント株式会社)入社。現在、同社ゼロエミッション事業部エコセメント担当部長。セメント製造技術に基づくリサイクルシステムの実用化を目指す。夢の島を無くす夢の実現に取り組んでいる。
渡辺春夫 (わたなべ はるお)
昭和49年3月、東北大学工学研究科応用化学専攻修士課程修了。同年4月、ソニー株式会社入社。現在、ソニー株式会社テクニカルサポートセンター環境・解析技術部環境材料開発担当部長。工学博士。
柄田忠洋 (からた ただひろ)
トヨタ自動車株式会社で塑性加工の生産技術部と鍛造・機械の製造部を経験。現在、同社堤工場環境保全主任管理者兼務ISO14001システム構築。同審査員補。省エネルギー通産大臣賞を2度受賞。
大貫徹 (おおぬき とおる)
昭和57年、東北大学理学部卒業。平成9年まで株式会社INAXにて工場技術課長として廃棄物削減に従事。平成11年、内装タイル製法の革新に関し、日本セラミックス協会賞受賞。平成12年10月まで、技術研究所室長としてリサイクル機能建材の開発に従事。現在、商品部部長としてマーケティング担当。
日鼻宏一 (くさはな ひろかず)
東京農工大学農芸化学科卒業。昭和42年、キリンビール株式会社入社。キリン・シーグラム株式会社出向などを経て、栃木工場醸造部長、東京工場醸造部長。平成8年から、社会環境部部長代理。環境庁環境会計ガイドライン作成メンバー、ISO14001規格審査員。COP3(京都会議)で企業の環境対策を発表。
稲垣徹 (いながき とおる)
昭和46年、慶應義塾大学経済学部卒業。同年、株式会社荏原製作所入社。平成10年より現職。
鎌田光郎 (かまた みつろう)
昭和57年3月、東京理科大学理工学研究科機械工学修士課程修了。同年4月、富士写真フイルム株式会社入社。足柄工場感光材料加工部門にて加工設備開発導入を担当。現在、レンズ付きフィルム循環生産工場の生産工程管理とリサイクル関連技術開発を担当。
鵜浦真紗子(うのうら まさこ)
昭和30年、東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。青山学院大学国際政治経済学科修士過程国際コミュニケーション専攻。平成6年4月にスタートした国際連合大学「ゼロエミッション」研究構想の設立メンバーの一人である。同時に、国際連合大学学長顧問補佐としてその活動の運営面に携わり、平成10年以降、引き続き同高等研究所にて現職。日本におけるゼロエミッション活動を推進するために、産業界・行政官庁・地方自治体などを結ぶパイプ役である。

構成と内容

第1講 ゼロエミッション ―提唱から現在まで―

  国際連合大学高等研究所 UNU/ZERIプロジェクト科学アドバイザー  坂本憲一

1.ゼロエミッションの現状
 1.1 構想提唱の背景
 1.2 国連大学ゼロエミッション
2.廃棄物削減・資源循環型技術思想の発展とゼロエミッション
3.日本におけるゼロエミッションの成果
 3.1 活動全般
  3.1.1 中央官庁・事業団・大学
  3.1.2 自治体
  3.1.3 団体・企業・地域
 3.2 企業の動向―経営戦略としてのゼロエミッション
4.持続可能な循環型社会に向けた最近の行政の動き―オランダと日本
 4.1 オランダ
 4.2 日本


第2講 エコセメントの現状(太平洋セメントにおけるゼロエミッション)

      太平洋セメント株式会社 ゼロエミッション事業部担当部長  尾花博

1.はじめに
2.基本方針
 2.1 理念
 2.2 方針
3.セメントによる資源の有効利用
 3.1 資源の現状と背景
 3.2 セメント産業の役割
4.ばいじん処理方法
 4.1 ばいじん処理方法の追加
 4.2 厚生大臣告示改正
5.廃棄物の再資源化と有効利用
 5.1 廃棄物利用の現状
 5.2 セメント鉱物の焼成
 5.3 廃棄物の再資源化
6.エコセメント
 6.1 エコセメントの開発経移と現状
 6.2 セメント原料と化学成分
 6.3 実証プラントにおけるダイオキシン類
 6.4 重金属回収プラントにおける有用金属の再資源化
 6.5 エコセメント工場の環境問題
 6.6 エコセメント製品の安全性
 6.7 エコセメントの品質
7.まとめ


第3講 環境負荷低減のための技術開発・家電業界の取り組み

 ソニー株式会社 テクニカルサポートセンター 環境・解析技術部部長  渡辺春夫

1.家電業界をめぐる状況
 1.1 ソニー(株)の環境目標(Green Management 2002)
2.製品の環境負荷低減のための業界の取り組み
 2.1 製品の長寿命化        2.2 解体性の向上
 2.3 部品の再利用と再生材の使用  2.4 素材のリサイクル性向上
 2.5 ハロゲンの削減と難燃化技術  2.6 包装技術
 2.7 無鉛はんだ
3.ソニー(株)における再資源化の取り組み
 3.1 乾電池のフェライトへの再資源化
 3.2 CD−Rのリサイクル
 3.3 スチレン系樹脂の再資源化
  3.3.1 リモネンを用いたEPSのリサイクル
  3.3.2 ポリスチレン系樹脂の水処理剤への改質
  3.3.3 ABS樹脂の改質による高機能化
4.まとめ
  

第4講 「埋立廃棄物ゼロ工場」への取り組み

         トヨタ自動車株式会社 堤工場工務部技術員室長次長  柄田忠洋

1.はじめに
2.組織づくり
 2.1 取り組みの方法
 2.2 日程計画
 2.3 対象物と活動経過
3.ゼロに向けた取り組み
 3.1 取り組みの考え方
 3.2 従業員の意識改革と分別の徹底
 3.3 技術的なアプローチ
 3.4 分別技術(床溝清掃かすの分別)
 3.5 結合体の分別作業
 3.6 塗装工程
4.二次商品の開発
5.ゼロミッションの結果
 5.1 費用面での収支
 5.2 苦労した点について
 5.3 良かった点
 5.4 現在の取り組み
6.事例のまとめ
7.おわりに


第5講 INAXの環境への取り組み ―人と地球を考えたものづくりを目指して―

         株式会社INAX 建材事業部住宅エクステリア商品部部長  大貫徹

1.はじめに
2.リサイクルからリサーキュレーションへ
 2.1 インプットの低減
 2.2 リサーキュレーション
 2.3 クローズド生産システム
3.人と地球を考えたものづくり
4.土を活かす(ソイルセラミックス)
 4.1 ソイルセラミックス
 4.2 高温多湿
 4.3 科学的解明
 4.4 ソイルセラミックスの製法
 4.5 製造エネルギー
 4.6 実施例
5.壁呼吸(エコカラット)
 5.1 開発の背景
 5.2 エコカラットの製法
 5.3 調湿性
 5.4 実施例
 5.5 化学物質の吸着・除去
6.その他の土の技術
7.現場でのゼロエミッション
 7.1 不良品の状況
 7.2 不良品の削減
 7.3 現場でのリサイクル
 7.4 原料としての製品
  7.4.1 不良品の特性
  7.4.2 文化の変化
  7.4.3 意識の転換
  7.4.4 リサイクルネットワーク
  7.4.5 最後の厄介もの
8.おわりに


第6講 ビール工場におけるゼロエミッションへの取り組み
    ―循環型社会構築へのステップ―

            キリンビール株式会社 社会環境部部長代理  日鼻宏一

1.はじめに
2.キリンビール(株)の取り組み姿勢
 2.1 背景
 2.2 取り組み内容
 2.3 システムづくり
  2.3.1 理念
  2.3.2 システムづくりの歴史
  2.3.3 環境保全活動の二つのツール
 2.4 システムの基本
 2.5 先進的な取り組み
3.ゼロエミッション
4.再資源化率100%
 4.1 ステップ
 4.2 経緯
  4.2.1 分別収集、廃棄物減量の基礎
  4.2.2 ISO14001準拠
  4.2.3 再資源化設備導入
  4.2.4 技術開発、用途・研究開発
  4.2.5 経営トップダウン
  4.2.6 ゼロエミッションへの最後の詰め
  4.2.7 ISO14001取得
5.環境マネジメントのほかの成果
 5.1 軽量リターナブルびん
 5.2 アルミ缶の軽量化
 5.3 着色ガラスびんの技術開発
 5.4 プラスチックパレット&PETボトル
 5.5 生もの
 5.6 水への取り組み
 5.7 コーティング剤の開発
6.環境会計
7.おわりに
  

第7講 藤沢エコインダストリアルパーク計画

   株式会社荏原製作所 エンジニアリング事業本部
   総合事業統括ゼロエミッション企画推進センター藤沢EIP準備室長  稲垣徹

1.エコインダストリアルパークとは
2.藤沢エコインダストリアルパークの概要
 2.1 規模
 2.2 計画内容
 2.3 情報系
3.藤沢エコインダストリアルパークの循環系
 3.1 水の循環
 3.2 電源
 3.3 熱源
 3.4 ごみ処理
4.藤沢エコインダストリアルパークの工期
5.ビオトープ
6.環境共生
7.まとめ
8.おわりに


第8講 レンズ付きフィルム「写ルンです」の循環生産システムと循環型製品設計

          富士写真フイルム株式会社 足柄工場LF部主任技師  鎌田光郎

1.はじめに
2.循環型の商品「写ルンです」
 2.1 「写ルンです」リサイクルの歴史
 2.2 循環型商品「写ルンです」はどういうものか
 2.3 「写ルンです」の循環生産
  2.3.1 「写ルンです」は写ルンですへ ―クローズドループリサイクルシステム―
  2.3.2 設計から始まるリサイクル
  2.3.3 リサイクルの自動化
3.循環生産工場と工程技術
 3.1 システム構成
 3.2 工程技術
  3.2.1 仕分け工程
  3.2.2 分解工程
  3.2.3 ストロボ・レンズ・洗浄・検査工程
  3.2.4 樹脂再生工程
  3.2.5 再生樹脂工程フロー
 3.3 循環生産の管理・運用
 3.4 リユース・リサイクル工程における品質保証システム
4.循環型商品設計
 4.1 省資源・リユース設計
 4.2 自動化対応設計
 4.3 リサイクル設計と商品化
 4.4 ライフサイクルアセスメントによる環境負荷評価
5.今後の課題
6.おわりに
  

第9講 ゼロエミッションの今後の展望

          国際連合大学高等研究所
          ゼロエミッション構想プロジェクトマネージャー  鵜浦真紗子

1.ゼロエミッション社会への実現に向けて
 1.1  資源循環型社会の実現
 1.2 持続可能な発展
 1.3 アジェンダ21
 1.4 ゼロエミッションを実現するには
2.企業活力をいかに高めるか
 2.1 技術力の向上と産業クラスター
 2.2 企業戦略としての環境倫理
 2.3 地域・自治体・市民との共生
3.ゼロエミッションを可能にする産業クラスター
 3.1 カルンボー工業団地
 3.2 日本企業のゼロエミッションへの取り組み
4.ゼロエミッションの今後の展望
 4.1 ゼロエミッションから21世紀型のニュービジネス
 4.2 接続可能なネットワーク形成について
 4.3 エコ・タウン、ネオ・コンビナート
 4.4 まとめ



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