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高分子科学とバイオテクノロジーとのキャッチボール 通信・計測・加工

[コードNo.01NTS030]

■体裁/ B5判 上製 152頁
■発行/ 2001年 1月31日
(株)エヌ・ティー・エス
■定価/ 25,960円(税込価格)


編集からのメッセージ

 本書は、(社)高分子学会行事委員会主催の「高分子科学とバイオテクノロジーとのキャッチボール」(2000年6月16日開催)の講演録である。
 日本のバイオ関連市場の規模は、1999年に約三千億円であったのが、バブル崩壊後も年率平均15%増で拡大し現在は約一兆円となっており、雇用規模も約三万人となっている。 欧米での年率20%を超える急激な成長と、日本政府や産業界の取り組みの強化を考慮すると、この市場規模は2010年には約二十五兆円まで増大する可能性が示唆されている。
 新たな産業や雇用機会の創出が喫緊の課題である今日、バイオ産業は情報産業と並び21世紀におけるわが国の経済運営の重要な課題であると言える。
 本書は、農工業を含めたバイオテクノロジーを将来の戦略産業として位置付け、高分子との関わりについて解説したものである。
 21世紀初頭にはヒトゲノムの解読作業も完了するであろう。このヒトゲノム解析の研究成果が医薬品開発等にもたらす波及効果は計り知れない。 21世紀は「生命科学の世紀」になると言われており、市場規模や現状から考えて本書のテーマであるバイオテクノロジーは今後の発展が最も期待される分野である。 その重要性が注目されている中で、本書の果たす役割は大きいものと期待している。

執筆者一覧(執筆順)

今中 忠行
  いまなか ただゆき。昭和44年3月、大阪大学大学院工学研究科修了。
  大阪大学助手、助教授、教授を経て、現在京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻教授。
  生物工学、環境バイオテクノロジーに関する研究を進めている。

堅尾 和夫
  かたお かずお。昭和52年、東京大学工学部工業化学科卒業。
  同年、通商産業省入省。現在、基礎産業局生物化学産業課長。
  バイオ政策の戦略的取り組みを求め、その強化拡充に努力している。

清水 昌
  しみず さかゆ。昭和48年、京都大学大学院農学研究科博士課程修了。
  農学博士。現在、京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻教授。
  微生物の新しい機能の探索と開発に関する研究を進めている。

池田 雅夫
  いけだ まさお。昭和54年3月、岡山大学大学院薬学研究科修士課程修了。
  同年4月、株式会社林原入社。現在、株式会社林原生物化学研究所藤崎研究所にて、
  細胞培養に関するタンパク産生技術および天然物を含む生理活性物質の効力に関する研究に
  従事している。

西村 紳一郎
  にしむら しんいちろう。昭和62年3月、北海道大学大学院理学研究科博士課程修了。
  理学博士。同年、理化学研究所生物有機化学研究室入所。平成5年より現職。
  第1回日本糖質学会奨励賞、日本化学会学術賞受賞。
  主な著者(共著):「生命高分子科学入門」「糖質の科学と工学」

大藪 泰
  おおやぶ ひろし。昭和53年3月、職業訓練大学校卒業。ロックペイント株式会社を経て、
  昭和56年9月京都市工業試験場。漆の改質および漆をモデルとした酵素反応形塗料の開発等を
  中心に研究。
  漆〜その科学と実技〜(理工出版社)等。工学博士。

構成と内容

第1講 21世紀のバイオテクノロジー

 今中忠行 京都大学大学院 工学研究科 合成・生物化学専攻 教授

1.はじめに
2.21世紀の課題
 2.1 産業活動の活発化と人口増加
 2.2 四つの課題
 2.3 化学反応と生物反応
 2.4 バイオテクノロジーが進みつつある現状
3.地球の歴史と生物進化
 3.1 地球の先住民は微生物
 3.2 微生物の働き
4.食糧問題
 4.1 遺伝子組換え植物(モンサント社の戦略)
 4.2 遺伝子組換え植物の利点
 4.3 遺伝子組換え作物の普及
5.エネルギー問題
 5.1 発電について
 5.2 農産廃棄物の再資源化
 5.3 クリーンエネルギーH2の生物生産
 5.4 微生物による石油生産
6.環境問題
 6.1 バイオレメディエーション(Bioremediation)
 6.2 バイオプリベンション(Bioprevention)
 6.3 微生物による汚水処理、物質循環、難分解物の分解
7.医療(健康)問題
 7.1 高齢化と医療
 7.2 ヒトゲノムプロジェクト
 7.3 変異の同定、変異遺伝子の検出
8.ケミカルバイオロジー(Chemical Biology)の勧め
9.元気の出る研究法
10.おわりに


第2講 バイオテクノロジー産業振興の国家戦略

 堅尾和夫 通商産業省 基礎産業局 生物化学産業課 課長

1.将来展望
2.日米の格差
 2.1 日本の国際競争力の変遷
 2.2 特許、知的基盤の比較
 2.3 政府の戦略的取り組み
3.わが国政府の取り組み
 3.1 これまでの経過
 3.2 基本戦略
 3.3 ミレニアムプロジェクト
 3.4 産業化のための環境整備
4.今後の課題
 4.1 ポスト・ゲノムシーケンス時代への対応
 4.2 産業化にあたってのニーズ対応の視点
 4.3 環境整備の推進
 4.4 戦略の確実な実行


第3講 微生物生産の将来を展望する

 清水昌 京都大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻 教授

1.はじめに
2.微生物を用いた物質生産
 2.1 微生物生産の方法
 2.2 微生物生産の応用分野
 2.3 微生物生産の今後の展開
3.スクリーニング
 3.1 ラクトナーゼを用いたD−パントラクトンの光学分割法の開発
  3.1.1 スクリーニングとその結果
  3.1.2 カビによる加水分解
  3.1.3 化学的分割法と酵素分割法
  3.1.4 ラクトナーゼの諸性質
 3.2 高度不飽和脂肪酸を含むユニークな油脂の発酵生産
  3.2.1 高度不飽和脂肪酸を生産する微生物の探索
  3.2.2 微生物由来の油の利用法
  3.2.3 新分野への展開
4.補酵素再生工場
 4.1 還元反応における補酵素の再生系
 4.2 ATPの再生系
5.おわりに
  

第4講 バイオ技術による医薬品の開発

 池田雅夫 (株)林原生物化学研究所 藤崎研究所 チーフディレクター

1.はじめに((株)林原生物化学研究所の紹介)
2.抗がん剤・肝炎治療薬としてのインターフェロン
 2.1 インターフェロンの開発経緯
 2.2 主なサイトカイン
 2.3 インターフェロンとは
 2.4 IFN−α のアミノ酸構造
 2.5 インターフェロンの多面的作用
 2.6 サイトカインの大量生産に係る培養技術
 2.7 ヒト天然型IFN−αおよびヒト天然型TNF−αの分離・精製スキーム
 2.8 カラムクロマトグラフィーによるインターフェロンの精製
 2.9 in vivo 細胞増殖法の特徴
 2.10 BALL−1由来のIFN−αの特徴
 2.11 日本におけるヒトインターフェロン製剤の現状
 2.12 インターフェロンの臨床応用
 2.13 インターフェロン療法の今後の展望
3.スギアレルゲンと多糖類プルランとの結合物
  (SBP − プルラン)を用いたスギ花粉症治療薬の開発
 3.1 スギ花粉症
 3.2 スギアレルゲン
 3.3 T型アレルギーの全体像
 3.4 免疫システムにおけるIL−18の免疫調整作用
 3.5 SBP−プルランの効果
4.おわりに


第5講 医学・バイオテクノロジー素材として複合糖質は有望か?

 西村紳一郎 北海道大学大学院 理学研究科 生物科学専攻 生体高分子設計学講座 教授

1.はじめに
2.複合糖質研究の現状と問題点
 2.1 糖鎖の生合成と生物学的機能
 2.2 生理活性複合糖質の構築
 2.3 糖鎖自動合成装置への挑戦
 2.4 蛍光エネルギー移動法を用いる糖転移反応の直接観測法
 2.5 糖タンパク質の合成戦略
 2.6 糖鎖工学と医薬品開発
3.おわりに −未利用生物資源としての糖鎖


第6講 酵素反応形塗料の開発 〜漆をモデルとして〜

 大藪泰 京都市工業試験場

1.あなたは漆を知っていますか?
2.なぜ漆がモデルなのか?
3.どのようにして作るのか?
 3.1 ヒイロタケラッカーゼの製造とその性質
 3.2 ウルシオール類似物の合成
 3.3 第3成分としての化工デンプン
 3.4 ヒイロタケラッカーゼとウルシオール類似物の反応
 3.5 基本処方と作成方法
4.どのような膜か?
 4.1 動的粘弾性
 4.2 膜の外観
5.最近の研究紹介(漆かぶれにヒントを得た第3成分)
6.これからは?



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