高吸水性ゲルの発展は目覚ましく,その生産量はますます増える傾向にある。その使い方も
「水を吸う」という初歩的な利用から,「ソフト&ウェットマテリアル機能素材」として位置
づけられるようになりつつある。医療・医薬,食品,土木,バイオエンジニアリング,スポー
ツ関連などへの機能化研究はすでに盛んになっており,アクチュエータ,薬剤放出制御,人工
器官など,21世紀社会を睨んだ意欲的研究開発がいよいよ活発になってきた。一方でゲルは食
糧,地球環境,福祉など現在人類がかかえる諸問題を解決し得るキーマテリアルの一つとして
の期待も大きい。
このような状況にもかかわらず,これまでのゲルの調製,構造と物性,応用,機能,評価法
などを総括的に網羅した成育がなかった。本書発刊の目的は,これまでに蓄積されている膨大
な,しかしランダムなゲルに関する科学と技術情報を総括し,整理された体系として提供する
ことによってゲルを正しく理解し,創造的研究開発の一助にするということに尽きる。この目
的のため,1996年初頭,高分子ゲル研究会の主要メンバーを中心に編集委員会を組織し,企画
内容の検討を繰り返してきた。一冊でゲルのすべてを把握でき,必要な情報を簡便に入手でき
るよう編集工夫がなされ上梓されたのが,1.基礎編,2.機能編,3.応用編,4.環境編〜地
球環境とゲル〜,そして巻末資料集〜ゲル化合物データー覧〜から成る本書である。ゲルに関
するこの種の書物は世界的にも初めての企画であり,世界で最も活発にゲル研究が展開されて
いるわが国でこそ初めて実現できるものと自負しており,自信をもって本書を世に送り出す次
第である。本書はゲルに携わっておられる方々のみならず,他分野の研究者,技術者にとって
も必ず役に立つものと確信している。
本書出版にあたり,国内外で重要な役割を演じられている最先端の研究者の執筆をお願いす
ることができた。各執筆者は,それぞれの分野の第一人者であるがゆえに,きわめて多忙であ
ったにもかかわらず,快くご執筆いただいたことに対して,編集代表者としてあらためて謝意
を表したい。
なお,本書は松永孜氏の提案がきっかけとなって生まれたものである。本書の完成までにこ
ぎつけることができたのは,同氏に加え,編集幹事諸氏の絶えざる努力の賜であることは論を
侯たないが,NTS社の吉田隆氏,松風まさみ氏の熱意とご尽力があったからこそである。あわ
せて謝意を表したい。
1997年11月 編集代表 長田 義仁 / 梶原 莞爾
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