海洋生物成分の利用
−マリンバイオのフロンティア−
[コードNo.2005T436]

■監修/ 伏谷伸宏(東京大学)
■体裁/ B5判 330頁
■発行/ 2005年 3月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

★医薬素材,研究用試薬,化粧品,機能性食品素材等,幅広い分野への
 産業展開が注目される海洋生物成分の研究開発動向を解説!
★国内第一線の研究者が執筆!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

刊行にあたって
 「海洋生物資源の有効利用」(内藤敦編)が1986年にシーエムシー出版から出版され,さらに一昨年には,この本の普及版が出版された。しかし,この20年近くの間に,マリンバイオテクノロジーという新研究分野が誕生するなど,海洋生物がもつ産業上のポテンシャルについて関心が高まるとともに,関連する研究も大きな発展を遂げた。特に,医薬素材の探索を中心とした研究の進展は顕著で,多数の医薬として重要な活性をもつ化合物が様々な海洋生物から発見された。それらのうち,30を越える化合物が抗がん剤や抗炎症剤として臨床試験に入っている。さらに,医薬ばかりでなく,近年の健康志向を反映して,多くの海洋由来の成分が機能性食品素材(健康食品,サプリメント)として開発されており,新しい産業として脚光を浴びている。また,「海洋生物資源の有効利用」に記載されている海洋生物成分に関する内容は大変時代遅れになっているばかりでなく,海洋微生物や海洋探索技術などにかなりの紙面がさかれており,記載されている海洋生物成分の範囲も限られている。一方,海洋生物成分に関する総説は散発的に出版されてはいるが,広い範囲の海洋生物に含まれる有用成分に関する単行本は,外国ではいくつか出版されているものの,我が国には見当たらない。そのため,最新の情報を盛り込んだ海洋生物成分に関する単行本の出版の要望が高まっていた。このような背景から「海洋生物成分の利用-マリンバイオのフロンテイア-」を企画した。
 企画にあたっては,従来から注目されてきた抗がん,抗菌,抗炎症物質などの医薬素材ばかりでなく,医薬素材探索から派生した研究試薬,化粧品,機能性食品素材,ハイドロコロイド,レクチン,防汚剤,あるいはこれから注目されると思われる海洋タンパク質など,広い範囲の産業上有用な物質および候補物質を取り上げることとした。そして,当該研究に携わる第一線の研究者にお願いして,それぞれについて現状と将来展望を概説していただき,できるだけ多くの方々に海洋生物成分がいかに産業上魅力に富むかを認識していただき,かつ開発上の問題点も理解していただくことを目的とした。本書が企業で研究開発に携わっている方々はもとより,大学その他の研究機関の研究者の皆様に役立つことを願っている。最後に,多忙の中,執筆していただいた著者の皆さんに心より感謝申し上げる。
2005年3月 伏谷伸宏

執筆者一覧(執筆順)
伏谷伸宏

浪越通夫
沖野龍文
塚本佐知子
中尾洋一
井口和男
永井宏史
木越英夫
末永聖武
福沢世傑
宮本智文
石橋正己
日根野照彦
矢澤一良

 幹 渉
酒井 武
加藤郁之進
藤田裕之
吉川正明
西成勝好
堀 貫治
村本光二
小川智久
神谷久男
野方靖行
東京大学 大学院水産科学研究科 生命資源科学専攻 名誉教授;
東京大学 名誉教授;マリンバイオテクノロジー学会会長
東京海洋大学 海洋科学部 海洋環境学科 教授
北海道大学 大学院地球環境科学研究科 助教授
金沢大学 自然科学研究科(薬学部) 助教授
東京大学 大学院農学生命科学研究科 講師
東京薬科大学 生命科学部 教授
東京海洋大学 海洋科学部 助教授
筑波大学 大学院数理物質科学研究科 教授
筑波大学 大学院数理物質科学研究科 講師
東京大学 大学院理学系研究科 助手
九州大学 大学院薬学研究院 助教授
千葉大学 大学院薬学研究院 活性構造化学研究室 教授
(株)資生堂 素材・薬剤開発センター
東京海洋大学 大学院海洋科学技術研究科 ヘルスフード科学寄附講座
客員教授
サントリー(株) 先進技術応用研究所 部長
タカラバイオ(株) バイオ研究所 主幹研究員
タカラバイオ(株) 代表取締役社長
日本サプリメント(株) 研究開発部 部長
京都大学 大学院農学研究科 食品生物科学専攻 食品生理機能学 教授
大阪市立大学 大学院生活科学研究科 教授
広島大学 大学院生物圏科学研究科 教授
東北大学 大学院生命科学研究科 教授
東北大学 大学院生命科学研究科 助教授
北里大学 水産学部 教授
(財)電力中央研究所 環境科学研究所 バイオテクノロジー領域 主任研究員

構成と内容
第1章 海洋成分の研究開発−概要と展望−(伏谷伸宏)
1.はじめに
2.医薬開発
3.研究試薬
4.その他
5.将来展望

第2章 医薬素材および研究用試薬
1.細菌および真菌(浪越通夫)
 1.1 はじめに
 1.2 抗菌,抗カビ,および抗ウイルス物質
 1.3 抗腫瘍物質
 1.4 抗炎症物質その他
 1.5 おわりに
2.藻類(沖野龍文)
 2.1 はじめに
 2.2 抗菌,抗カビ,および抗ウイルス物質
 2.3 抗腫瘍物質
 2.4 酵素阻害剤
 2.5 研究用試薬
3.海綿(塚本佐知子)
 3.1 抗菌,抗カビ,および抗ウイルス物質
  3.1.1 オーラントシド
  3.1.2 プチロミカリンA
  3.1.3 マンザミンA
  3.1.4 ジャスプラキノリド(ジャスパミド)
  3.1.5 セオネラミドF
  3.1.6 ミカラミドとオンナミド
 3.2 抗腫瘍物質
  3.2.1 ギロリン
  3.2.2 ベンガミド
  3.2.3 アレナスタチンA
  3.2.4 ハリコンドリンB
  3.2.5 デイスコデルモリド
  3.2.6 HTI−286(ヘミアスタリン誘導体)
  3.2.7 KRN−7000
  3.2.8 NVP−LAQ824
  3.2.9 ロウリマリド
  3.2.10 ペロルシドA
  3.2.11 サリチリハリミドA
  3.2.12 バリオリン
  3.2.13 ラトルンクリンA
  3.2.14 スウインホリド・ミサキノリド(ビスセオネリド)
  3.2.15 ミカロリド類
  3.2.16 デイクチオデンドリン
 3.3 抗炎症物質および血管拡張作用を示す化合物
  3.3.1 抗炎症物質
  3.3.2 血管拡張作用を示す化合物
4.酵素阻害剤(中尾洋一)
 4.1 はじめに
 4.2 ホスホリパーゼA2阻害剤
 4.3 タンパク質リン酸化酵素
 4.4 タンパク質脱リン酸化酵素阻害剤
 4.5 プロテアーゼ
 4.6 ヒストン脱アセチル化酵素
 4.7 糖鎖生合成関連酵素
 4.8 レセプターおよびチャンネル作用物質
 4.9 研究用試薬
 4.10 おわりに
5.刺胞動物(井口和男)
 5.1 はじめに
 5.2 抗腫瘍物質(腫瘍細胞増殖抑制物質,細胞毒性物質)
  5.2.1 テルペノイド
  5.2.2 ステロイド
  5.2.3 プロスタノイド
  5.2.4 その他の化合物
 5.3 抗菌物質,抗ウイルス物質,抗HIV物質
 5.4 骨粗鬆症改善物質,摂食阻害物質,魚毒物質,抗炎症物質
6.ペプチド毒およびタンパク毒(永井宏史)
 6.1 はじめに
 6.2 これまでのペプチド・タンパク質毒素研究の概略
 6.3 有害立方クラゲ類のタンパク質毒素
 6.4 有毒イソギンチャクのタンパク質毒素
 6.5 ヒドラのタンパク質毒素
 6.6 イソギンチャクのペプチド毒素
 6.7 ペプチド・タンパク毒の有効利用
7.軟体動物(木越英夫,末永聖武)
 7.1 軟体動物の抗腫瘍性物質
  7.1.1 海洋動物タツナミガイ Dolabella auricularia 由来の抗腫瘍性物質
  7.1.2 カハラライドF
  7.1.3 細胞骨格系タンパク質アクチンに作用する抗腫瘍性物質
 7.2 軟体動物の毒
  7.2.1 イモガイの毒
  7.2.2 ピンナトキシン類
  7.2.3 ピンナミン
  7.2.4 その他の毒
8.紐虫,扇形,環形,外肛,および半索動物(福沢世傑)
 8.1 抗菌および抗腫瘍物質
  8.1.1 ネライストキシン
  8.1.2 テレピン
  8.1.3 ボネリン
  8.1.4 ハラクロム
  8.1.5 (2-ヒドロキシエチル)ジメチルスルフォキソニウムイオン
  8.1.6 フィドロピン
  8.1.7 タムジャミン類
  8.1.8 ブリオスタチン類
  8.1.9 チャーテリン類
  8.1.10 2,5,6-トリブロモ-N-メチルグラミン
  8.1.11 アマタマイド類
  8.1.12 セファロスタチン類
 8.2 その他
  8.2.1 アナバセインおよびネメルテリン
  8.2.2 フラストラミン類
9.棘皮動物(宮本智文)
 9.1 はじめに
 9.2 抗菌,抗カビ,抗ウイルス活性物質
  9.2.1 ヒトデとクモヒトデ
  9.2.2 ナマコの抗菌,抗ウイルス活性物質
 9.3 細胞毒性,受精卵卵割阻害物質
  9.3.1 細胞毒性,ウニ受精卵卵割阻害物質
 9.4 神経突起伸展作用物質
  9.4.1 神経突起伸展作用を示すヒトデガングリオシド
  9.4.2 神経突起伸展作用を示すナマコガングリオシド
  9.4.3 神経突起伸展作用を有するウミユリのシアル酸含有スフィンゴリン糖脂質
  9.4.4 その他
 9.5 ウニ精子,卵のガングリオシド
 9.6 先体反応に関与する生理活性サポニン
 9.7 忌避,付着阻害物質
 9.8 その他
 9.9 おわりに
10.原索動物および魚類(石橋正己)
 10.1 はじめに
 10.2 抗菌および抗ウイルス物質
  10.2.1 ホヤの抗菌ペプチド
  10.2.2 魚類の抗菌ペプチド
  10.2.3 ホヤの抗ウイルス性βカルボリンアルカロイド
  10.2.4 ホヤのHIVインテグラーゼ阻害物質
 10.3 抗腫瘍物質
  10.3.1 ディデムニンとアプリジン
  10.3.2 エクテナシジン
  10.3.3 スクアラミン
  10.3.4 AE−941
  10.3.5 その他の抗腫瘍薬候補物質
 10.4 その他の生物活性天然物
  10.4.1 ホヤ
  10.4.2 魚

第3章 化粧品(日根野照彦)
1.はじめに
2.化粧品原料
3.化粧料特許にみる海洋成分の動向
4.海洋成分由来の化粧品原料
 4.1 海藻由来の化粧品原料
  4.1.1 海藻抽出物
  4.1.2 アルギン酸塩
  4.1.3 フコイダン
 4.2 海水・海泥由来の化粧品原料
  4.2.1 海水乾燥物(海塩)
  4.2.2 海泥
 4.3 海洋動物由来の化粧品原料
 4.4 海洋微生物由来の化粧品原料
  4.4.1 好熱性菌発酵物
  4.4.2 深海生物由来多糖類(Deepsane)
  4.4.3 アルテミア抽出エキス
 4.5 紫外線吸収剤
 4.6 その他
5.おわりに

第4章 機能性食品素材(サプリメント)
1.水産機能性物質(マリンビタミン)(矢澤一良)
 1.1 水産機能性物質(マリンビタミン)の機能
 1.2 魚食と健康
 1.3 マリンビタミンと予防医学
 1.4 水産系資源のリサイクル(ゼロエミッション)
2.海産性不飽和脂肪酸と健康(矢澤一良)
 2.1 はじめに
 2.2 EPAの薬理作用と医薬品開発
 2.3 DHAの薬理活性
  2.3.1 DHAの中枢神経系作用
  2.3.2 DHAの発がん予防作用
  2.3.3 DHAの抗アレルギー・抗炎症作用
  2.3.4 DHAの抗動脈硬化作用
 2.4 ヘルスフードとしてのEPAとDHA
3.カロテノイド(幹渉)
 3.1 はじめに
 3.2 「抗酸化」活性
  3.2.1 一重項酸素(1O2)
  3.2.2 スーパーオキシドアニオンラジカル(・O2-)
  3.2.3 ヒドロキシルラジカル(・OH)
  3.2.4 ペルオキシラジカル(LOO・)
  3.2.5 過酸化脂質(LOOH)
 3.3 ヒト・動物へのカロテノイドの活用の可能性
 3.4 産業への活用
4.フコイダンその他の海藻多糖類(酒井武,加藤郁之進)
 4.1 はじめに
 4.2 海藻とそれらの多糖類
  4.2.1 緑藻の多糖類
  4.2.2 紅藻の多糖類
  4.2.3 褐藻の多糖類
 4.3 海藻多糖類の食品としての機能性
  4.3.1 ガラクタン
  4.3.2 アルギン酸
  4.3.3 フコイダン
 4.4 おわりに
5.アミノ酸およびペプチド(藤田裕之,吉川正明)
 5.1 はじめに
 5.2 アミノ酸
  5.2.1 ヒスチジン
  5.2.2 グリシン
  5.2.3 タウリン
  5.2.4 γ-アミノ酪酸
  5.2.5 ラミニン
  5.2.6 クレアチン
  5.2.7 ベタイン
  5.2.8 その他のアミノ酸成分
 5.3 ペプチド類
  5.3.1 海洋生物に特有のペプチド類
 5.4 おわりに

第5章 ハイドロコロイド(西成勝好)
1.海藻多糖類
2.多糖類のゲル形成機構
3.ゲルの構造と力学的・熱的性質との関係
 3.1 アガロースのゲルの構造と弾性率
 3.2 アガロースおよびκ−カラギーナンのゲル形成に対する各種物質添加の影響
 3.3 κ−カラギーナンとアルカリ金属イオンとの相互作用
 3.4 アガロースゲルの弾性率の温度依存性
 3.5 カラギーナン−コンニャクグルコマンナン混合系のゲル化
 3.6 海藻多糖類の産業における応用
4.おわりに

第6章 レクチン
1.海藻のレクチン(堀貫治)
 1.1 はじめに
 1.2 分布
 1.3 精製レクチンの一般的性状
  1.3.1 緑藻レクチン
  1.3.2 紅藻レクチン
  1.3.3 藍藻レクチン
 1.4 生物活性
 1.5 糖査認識
 1.6 分子構造
2.動物レクチン(村本光二,小川智久,神谷久男)
 2.1 はじめに
 2.2 動物レクチン・ファミリー
 2.3 動物レクチン・ファミリーの特性
  2.3.1 Cタイプ・レクチン
  2.3.2 ガレクチン
  2.3.3 ファミリーの多様性
 2.4 バイオミネラリゼーションとレクチン
  2.4.1 バイオミネラリゼーション
  2.4.2 フジツボ・レクチン
  2.4.3 結晶化制御
 2.5 ガレクチンによるアポトーシス誘導
  2.5.1 多様なレクチンの生物活性
  2.5.2 マアナゴ・ガレクチン
  2.5.3 T細胞に対するアポトーシス誘導
 2.6 魚類卵レクチンのパターン認識能
  2.6.1 生体防御
  2.6.2 魚類卵レクチン
  2.6.3 微生物表面パターンの認識
 2.7 おわりに

第7章 その他
1.防汚剤(野方靖行)
 1.1 はじめに
 1.2 海藻由来の付着阻害物質
 1.3 海綿および軟体動物由来の付着阻害物質
 1.4 腔腸動物由来の付着阻害物質
 1.5 外肛動物由来の付着阻害物質
 1.6 天然イソシアノ化合物から防汚剤の開発
 1.7 おわりに
2.その他(伏谷伸宏)
 2.1 はじめに
 2.2 海洋タンパク質
  2.2.1 セメントタンパク質
  2.2.2 バイオミネラル
  2.2.3 蛍光タンパク質
 2.3 抗菌ペプチド
 2.4 おわりに

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