カーボンナノチューブの機能・複合化の最新技術
The Latest Technology of a Function/Composition of Carbon Nanotube
[コードNo.2006T500]

■監修/ 中山喜萬
■体裁/ B5判 271ページ
■発行/ 2006年 5月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

カーボンナノチューブの特性向上を図る最新研究を詳述!
内空間・表面の利用、表面機能化、素材の配置法制御、そして複合化について網羅した1冊!
カーボンナノチューブの標準化やその毒性の評価についても解説!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

「はじめに」より
 カーボンナノチューブはナノテクノロジーの分野で最も注目されている素材の一つであり、21世紀の産業を支えるコメといえる。ダイヤモンド、グラファイト、フラーレンに継ぐ炭素の第4の形態として知られ、グラフェンシートを丸めたナノメートルサイズの直径の筒状構造をもつ。そのサイズおよび構造の特異性と電気的、機械的、化学的に多様で優れた性質が特徴である。
 電気的には、構造によって半導体的性質をもつものや金属的性質をもつものがある。機械的には軽量で強度が高くしなやかである。化学的には表面の化学修飾が可能でありまたガス吸着性を示す。したがって、エレクトロニクス、情報通信、建築、機械、乗り物、バイオ、エネルギーなど広範な分野の進展を支える素材として期待されている。これがコメたる所以である。
 1991年の多層カーボンナノチューブの発見の後、しばらくは理論的な基礎研究が先行した。溶媒に不溶で純化・精製が行えないこと、またあまりにも小さくてハンドリングが困難であったことが主な要因であった。合成法の進歩とハンドリング技術の進展によって、1990年代半ばから応用研究が始まり、2000年頃から研究論文数および特許出願件数が急速に増加した。
 研究分野の広がりが大きく、しかも研究スピードが早い。これが、ナノチューブ応用研究の特徴である。したがって、これからこの分野に入ろうとする研究者技術者はもちろん、すでに第一線でご活躍の研究者技術者にとっても、このような動きの激しい分野全体を見渡すのは難しい。
 カーボンナノチューブの解説書は、基礎から応用までこれまでも多く出版されているが、それはもはや羅針盤とは成り得ない。本書はそれに応えるために企画された。最近注目されているカーボンナノチューブの応用は、カーボンナノチューブの内空間や表面をうまく利用したもの、表面の機能化や素材の配置法を制御したもの、また複合化したものが多いことから、このような切り口でまとめられている。
2006年3月  監修者 中山喜萬

執筆者一覧(執筆順)
中山喜萬大阪府立大学 大学院工学研究科 電子・数物系 電子物理工学分野 教授
阿多誠文(独)産業技術総合研究所 東京本部 シニアリサーチャー
石橋賢一(独)産業技術総合研究所 東京本部 リサーチャー
佐藤義倫東北大学 大学院環境科学研究科 助手
岡ア俊也(独)産業技術総合研究所 ナノカーボン研究センター 主任研究員
竹延大志東北大学 金属材料研究所 助手
岩佐義宏東北大学 金属材料研究所 教授
西野仁大阪ガス(株) 材料事業化プロジェクト部 機能材料TBU 課長
畠山力三東北大学 大学院工学研究科 電子工学専攻 教授
泉田健東北大学 大学院工学研究科 電子工学専攻
中嶋直敏九州大学 大学院工学研究院 教授
本多信一大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 助手
片山光浩大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 教授
木村睦信州大学 繊維学部 機能高分子学科 助教授
白井汪芳信州大学 繊維学部 機能高分子学科 特任教授
坪川紀夫新潟大学 工学部 教授
張梅テキサス大学 ナノテク研究所
南信次(独)産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 副部門長
カザウィサイ(独)産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 分子ナノ物性グループ 主任研究員
佐野正人山形大学 工学部 助教授
福山裕ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株) 技術グループ
野口徹日信工業(株) 技術部 研究21 主幹
曲尾章日信工業(株) 技術部 研究21 主幹
榎本和城東京理科大学 工学部 機械工学科 助手
大竹尚登名古屋大学 大学院工学研究科 マテリアル理工学専攻 助教授
本田裕一関西大学大学院 工学研究科 総合工学専攻
石川正司関西大学 工学部 応用化学科 教授
東原秀和信州大学 繊維学部 教授
小宮山慎悟信州大学大学院 工学系研究科 材料工学専攻
宇佐美初彦名城大学 理工学部 材料機能工学科 助教授

構成と内容
第1章カーボンナノチューブの現状と課題
1カーボンナノチューブ研究の最新動向(中山喜萬)
1.1はじめに
1.2カーボンナノチューブ研究の進展
1.2.1ナノチューブの合成
1.2.2ナノチューブの物性とデバイス応用
1.3カーボンナノチューブの機械特性とその応用
1.3.1カーボンナノチューブの機械特性
1.3.2走査型プローブ顕微鏡ナノチューブ探針
1.3.3ナノチューブピンセット
1.3.4片持ちバネによる微小質量の計測
1.3.5カーボンナノチューブのナノエンジニアリングに向けて
1.4電界電子放出応用
1.4.1ナノチューブの電界電子放出特性
1.4.2パネル用ナノチューブエミッタ
1.4.3塗布法によるエミッタ
1.4.4直接合成法によるエミッタ
1.4.5カーボンナノコイルへの期待
1.5あとがき
2カーボンナノチューブの標準化動向(阿多誠文、石橋賢一)
2.1はじめに
2.2ナノテクノロジーの標準化
2.3日本におけるナノテクノロジーの標準化
2.4欧米におけるナノテクノロジーの標準化動向
2.5ナノテクノロジーの何を標準化するのか?
2.6標準化のなかでのナノリスクの位置付け
2.7CEN/BT WG-166が進めたCNTの標準化
2.8日本におけるCNTの標準化と今後の展望
2.9おわりに
3カーボンナノチューブの毒性評価(佐藤義倫)
3.1はじめに
3.2CNTsの毒性評価の現状
3.2.1肺毒性
3.2.2皮膚炎症性
3.2.3細胞毒性
3.3生体内での微粒子のサイズおよび形状効果
3.4MWCNTsの細胞毒性に関する長さの影響
3.4.1材料と実験方法
3.4.2使用したMWCNTsのキャラクタリーゼーション
3.4.3In vitro試験
3.4.4In vivo試験
3.5カーボンナノチューブの毒性評価における問題点と課題
第2章カーボンナノチューブの内空間の利用
1ピーポッド(岡ア俊也)
1.1ハイブリッド・ナノ炭素材料、ピーポッド
1.2高収率合成法
1.3ピーポッドの内部構造
1.4ピーポッドの電子状態
1.5ピーポッドをチャンネルとして用いた電界効果型トランジスタ
1.6ナノリアクタとしてのピーポッド
1.7ピーポッドのこれから
2有機分子を内包したカーボンナノチューブ(竹延大志、岩佐義宏)
2.1はじめに
2.2有機分子内包ナノチューブの合成
2.3構造
2.4電子状態
2.4.1ナノチューブの吸収スペクトル
2.4.2有機内包ナノチューブの吸収スペクトル
2.5キャリア数制御
2.6まとめ
3鉄を内包したカーボンナノチューブ(西野仁)
3.1はじめに
3.2フッ化鉄が内包されたCNT
3.3鉄が内包されたCNT
3.3.1鉄が内包されたCNTの合成と構造
3.3.2鉄が内包されたCNTの特性
3.4おわりに
4アルカリ金属を内包したカーボンナノチューブ(畠山力三、泉田健)
第3章カーボンナノチューブの表面機能化
1化学的手法によるカーボンナノチューブの可溶化・機能化(中嶋直敏)
1.1はじめに
1.2界面活性剤による可溶化・機能化
1.3多核芳香族化合物の物理吸着による可溶化・機能化
1.4DNAおよびRNAによる可溶化・機能化
1.5糖ポリマーラッピングによる可溶化
1.6孤立溶解カーボンナノチューブの分光スペクトル
1.7ナノチューブのカイラリティ分離と認識
1.8カーボンナノチューブラセン状超構造体
1.9共有結合によるナノチューブの可溶化・機能化
1.10おわりに
2カーボンナノチューブの無機薄膜被覆による機能化(本多信一、片山光浩)
2.1はじめに
2.2被覆技術
2.2.1パルスレーザ蒸着装置
2.2.2種々材料被膜
2.2.3多層被膜
2.3被覆CNTの応用
2.3.1金属膜被覆カーボンナノチューブのナノプローブ応用
2.3.2合金、化合物被覆カーボンナノチューブ
2.3.3ハイブリッドナノワイヤ応用
2.4おわりに
3カーボンナノチューブのナノコーティング(木村睦、白井汪芳)
3.1はじめに
3.2カーボンナノチューブ表面の有機物によるコーティング
3.3カーボンナノチューブ表面の無機物によるコーティング
3.4おわりに
4グラフト化によるカーボンナノチューブとナノファイバーの機能化(坪川紀夫)
4.1はじめに
4.2カーボンナノチューブ表面へのグラフト化の方法論
4.3Grafting onto法によるグラフト化
4.3.1グラフト反応のベースとなる芳香族環
4.3.2配位子交換反応
4.3.3ラジカル捕捉
4.4Grafting from法によるグラフト化
4.4.1ラジカル重合開始基からのグラフト重合
4.4.2アニオン重合開始基からのグラフト重合
4.4.3カチオン重合開始基からのグラフト重合
4.4.4その他
4.5ポリマーのグラフト化による分散性制御
4.6ポリマーグラフト化ナノカーボンの電気特性
4.6.1ポリマーグラフトCNT、およびVGCFの溶媒蒸気応答性
4.6.2PTC特性
4.7おわりに
第4章カーボンナノチューブの薄膜、シート、構造物
1配向カーボンナノチューブからのシートの作成と特性(張梅)
1.1Introduction
1.2Carbon Nanotube Forest
1.3Making Carbon Nanotube Sheet
1.4Properties and Applications of MWNT Sheets
1.5Conclution
2カーボンナノチューブの高品質薄膜形成と光・電子機能賦与(南信次、カザウィサイ)
2.1はじめに
2.2Langmuir-Blodgett(LB)法によるSWNT薄膜の作製と流動配向効果
2.3ゼラチンを用いたSWNTの分散
2.3.1実験手順
2.3.2溶液及び薄膜中におけるチューブの分散状態
2.3.3延伸配向したSWNT薄膜の特性
2.4セルロース誘導体を用いたSWNTの分散
2.4.1SWNT分散系の吸収・発光特性
2.4.2SWNT分散膜の形成
2.4.3異なる合成法によるSWNTへの適用
2.5共役高分子薄膜中に分散したSWNTによる光電機能素子
2.5.1近赤外電界発光素子
2.5.2近赤外光電変換素子
2.6おわりに
3カーボンナノチューブの薄膜および構造物形成(佐野正人)
3.1はじめに
3.2ファンデルワールス相互作用
3.3CNTの分散化と安定性
3.4鋳型を用いた薄膜形成
3.5鋳型を用いた構造物形成
3.6電着による薄膜形成
3.7おわりに
第5章カーボンナノチューブ複合材料
1カーボンナノチューブのポリマーへの分散法とその制御(福山裕)
1.1はじめに
1.2カーボンナノチューブコンポジットの開発
1.3カーボンナノチューブの導電機構と分散状態
1.4カーボンナノチューブのポリマー中への分散挙動
1.5カーボンナノチューブの凝集構造形成と導電特性
1.6今後の展望
2カーボンナノチューブのエラストマー複合材およびアルミニウム複合材の開発(野口徹、曲尾章)
2.1はじめに
2.2CNT/Al系複合材料の現状
2.3N-EP法によるCNT/Al複合材の調整
2.3.1エラストマー中へのCNTの均一分散
2.3.2マトリックスの置換
2.3.3N-EP法で作製したCNT/Al複合材の構造と物性
2.4CNT/エラストマー複合材の開発
2.4.1CNT/高分子系複合材料開発の現状
2.4.2CNT/エラストマー複合材(CEC)の開発
2.4.3CECの車両用ブレーキへの適用
2.5CNT/Al複合材およびHPEの市場
2.6電子放出材料としての応用
2.7CNT補強複合材料実用化への問題点
2.8おわりに
3樹脂基カーボンナノチューブ複合材料の開発(榎本和城、大竹尚登)
3.1はじめに
3.2複合材料の作製と射出成形
3.2.1複合材料の作製
3.2.2試験片の成形
3.2.3試験片中のCNF長さ測定
3.2.4試験片中のCNFの配向状態
3.3樹脂基カーボンナノチューブ複合材料の機械的特性
3.3.1機械的特性におよぼすCNFの表面処理の影響
3.3.2実験値と複合則との比較
3.4樹脂基カーボンナノチューブ複合材料の熱的特性
3.4.1レーザーフラッシュ法による樹脂基CNF複合材料の熱伝導率評価
3.4.2理論予測値と実験値の比較
3.5おわりに
第6章ナノチューブの表面を利用したデバイス
1カーボンナノチューブを用いた電気二重層キャパシタの開発(本田裕一、石川正司)
1.1はじめに
1.2キャパシタの基本的事項
1.2.1キャパシタンス(静電容量)と各特性
1.2.2キャパシタの蓄電量・エネルギー密度の見積もり
1.2.3電気二重層キャパシタ性能の位置づけ
1.3CNTの電極材料の意義
1.4CNT自身を電荷蓄積場として利用した電気化学キャパシタ
1.4.1CNTのみで結着させた均一系電極から構成される電気二重層キャパシタ
1.4.2集電基板にCNTが直結した電極から構成される電気二重層キャパシタ
1.4.3CNTキャパシタの種々の方法による高容量化の試み
1.5CNTを支持体として使用した電気化学キャパシタ
1.5.1導電性高分子による表面修飾
1.5.2金属酸化物
1.6まとめ
2カーボンナノチューブを用いたリチウム電池の開発(東原秀和、小宮山慎悟)
2.1はじめに
2.2MWNTsのリチウム貯蔵特性
2.3SWNTsのリチウム貯蔵特性
2.4SWNTsの化学的および物理的処理による可逆容量の向上
2.5SWNTsにおけるSEIの形成と不可逆容量
2.6おわりに
3耐摩耗部材としてのCNT/SiC複合材料の可能性(宇佐美初彦)
3.1はじめに
3.2CNT/SiC複合材料
3.3CNT膜の摩擦特性
3.4マイクロ/ナノインデンテーションによる膜の力学的特性
3.5エロージョン特性
3.6おわりに

【カーボンナノチューブ 機能化 複合化】

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