機能性無機膜の製造と応用
Manufacturing & Application of Functional Inorganic Films
[コードNo.2006T504]

■監修/ 上條榮治(龍谷大学 名誉教授)
■編集/ 新無機膜研究会
■体裁/ B5判 305ページ
■発行/ 2006年 6月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

ナノテクノロジーの共通基盤技術として注目される薄膜技術の現状と展望を明らかにした。
半導体デバイス、電気・電子部品、機械部品、金型・治工具まで応用が拡がる無機薄膜技術の全容。
乾式・湿式薄膜製造プロセス技術、薄膜製造装置技術、薄膜物性評価技術、最新の応用技術とトピックスを纏めた。

※ 本書籍はご試読頂けません ※

刊行にあたって
 携帯電話、インターネット、電子メールなどの発展には目覚ましいものがあり、いわゆるユビキタス情報化社会の一端を垣間見る思いである。この様な情報化社会を可能としている様々な技術の中にあって、薄膜技術の役割は極めて大きく、縁の下の力持ちとして、今日の社会を支えていると云っても過言ではない。特に、金属・セラミックスからなる無機薄膜技術は、半導体デバイス、電気・電子部品はもちろん機械部品、金型・治工具あるいは食品包装フィルムなど様々な工業分野で実用に供され利用されている。
 ナノテクノロジーが世界の注目を集めて久しく、多くの研究成果が私達の日常生活にも実用化されてきた。このナノテクノロジーの共通基盤技術は、物質を原子・分子のオーダーで制御し自由に操ることであるが、真空を利用した乾式法による薄膜技術はその基本プロセスとして注目され、大きく発展している。更に、金属、セラミックス、半導体等のナノ粒子を湿式法による様々な自己組織化手法を用いて規則的に配列・集積する技術は、長足の進歩をしており、ゾル・ゲル法を含めて省資源・省エネルギーの新しい薄膜製造プロセス技術として期待される。これらの無機薄膜技術をナノテクノロジーの基盤技術として更に発展させるためには、現状と問題点を理解・整理し、その動向を明らかにしてゆくことが肝要と考えられる。
 本書は、この様な観点から特に無機材料薄膜に焦点を当て、乾式法のみでなく湿式法も含めた薄膜製造プロセス技術、製造装置技術、薄膜評価技術、応用技術を通観し、将来動向を予測する事を目指し、無機薄膜技術の一端を新しい斬新な目で紹介する事を思考した。
 お願いした執筆者は、新無機膜研究会のメンバーを核に各分野の専門家であり、それぞれの分野でご活躍の特に若手研究者に分担執筆をお願いした。無機薄膜材料の製造・応用技術あるいはナノテクノロジーに関心のある多くの皆様に参考になる書物になることを期待している。
2006年6月  龍谷大学 名誉教授 上條榮治

執筆者一覧(執筆順)
上條榮治龍谷大学 名誉教授 RECフェロー
大平圭介北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科 助手
松村英樹北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科 教授
青井芳史龍谷大学 理工学部 物質化学科 講師
横尾俊信京都大学 化学研究所 教授
林信博(株)アルバック 産業機器事業部 第二技術部
横井伸(株)アルバック 産業機器事業部 第二技術部
牛神善博住友重機械工業(株) 量子機器事業部 成膜装置部 部長
寺山暢之神港精機(株) 装置事業部 技術部 第二開発課 課長代理
安岡学(株)不二越 機械工具事業部 チーフエンジニア
玉垣浩(株)神戸製鋼所 機械エンジニアリングカンパニー 開発部 PVDグループ グループ長
岩井啓二ヒラノ光音(株) 常務取締役
鈴木巧一(株)サーフテックトランスナショナル 代表取締役
西村芳実(株)栗田製作所 技術開発室 特別技術顧問
中山明(株)イオン工学研究所 成膜技術部 部長
山田羊治(株)イオン工学研究所 成膜技術部
青木正彦(株)イオン工学研究所 分析技術部 部長
吉田謙一(株)イオン工学研究所 分析技術部
横山勝昭(株)イオン工学研究所 分析技術部
宮ア恵(株)イオン工学研究所 分析技術部
小川倉一三容真空工業(株) 技術顧問
南内嗣金沢工業大学 光電相互変換デバイスシステム研究開発センター 教授
岡本昭夫大阪府立産業技術総合研究所 情報電子部 電子光材料系 主任研究員
草壁克己福岡女子大学 人間環境学部 生活環境学科 教授
垰田博史(独)産業技術総合研究所 サステナブルマテリアル研究部門 環境セラミックス研究グループ長
岩本雄二(財)ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 研究第一部 ハイブリッドプロセスグループマネージャー;水素分離膜プロジェクトグループリーダー;主席研究員
笠井義則日本電気硝子(株) 技術部 担当部長
金井敏正日本電気硝子(株) 薄膜事業部 課長
岡本俊紀グンゼ(株) 研究開発センター 第四研究室
茶谷原昭義(独)産業技術総合研究所 ダイヤモンド研究センター 主任研究員
中東孝浩日本アイティエフ(株) 技術部 部長補佐
山本兼司(株)神戸製鋼所 材料研究所 主任研究員

構成と内容
第1章無機膜の製造プロセス
1PVD法(上條榮治)
1.1真空蒸着法
1.1.1薄膜形成の素過程と真空の関係
1.1.2薄膜の成長様式
1.1.3反応性蒸着
1.1.4膜厚みの均一性
1.2イオンプレーティング法
1.2.1原理
1.2.2各種の装置
1.2.3特徴
1.3スパッタリング法
1.3.1原理
1.3.2成膜過程
1.3.3スパッタ成膜装置
1.4PVD法で得られる薄膜の特徴
1.4.1薄膜形成におけるイオン照射の効果
2CVD法
2.1熱CVD(上條榮治)
2.1.1基板表面への物質輸送(気相拡散)
2.1.2吸着過程
2.1.3反応過程
2.1.4熱分解反応
2.2プラズマCVD(上條榮治)
2.3光CVD(上條榮治)
2.4Cat-CVD(大平圭介、松村英樹)
2.5MOCVD法(上條榮治)
2.6CVDで得られる薄膜の特徴(上條榮治)
3PLD法(青井芳史)
3.1はじめに
3.2PLD法によるY系超伝導体薄膜の合成
3.3レーザーMBE法
4LPD法(青井芳史)
4.1はじめに
4.2まとめ
5ソフト溶液プロセス(青井芳史)
5.1はじめに
5.2水熱電気化学法
5.3フェライトめっき法
5.4電気化学的ソフト溶液プロセス
5.5まとめ
6ゾル−ゲル法(横尾俊信)
6.1はじめに
6.2ゾル−ゲル法の基礎化学
6.3コーティング方法
6.3.1ディップコーティング法
6.3.2スピンコーティング法
6.3.3スプレーコーティング法
6.3.4キャピラリーコーティング法
6.3.5パイロゾル プロセス
6.4基板とコーティング膜の接着
6.5マイクロパターニング(微細加工)
6.6機能性コーティング膜
(1)光学機能膜
(2)電磁気機能
(3)化学的および機械的保護機能膜
(4)触媒機能コーティング膜
6.7まとめ
7マイクロ液体法(上條榮治)
7.1マイクロ液体プロセス
7.2無機系薄膜への応用
7.3インクジェット法以外の方法
7.4まとめ
第2章無機膜の製造装置技術
1最新のフィルムコンデンサー用巻取蒸着装置(林信博、横井伸)
1.1はじめに
1.2フィルムコンデンサーの動向
1.2.1ハイブリッドカーの動向
1.2.2ハイブリッドカーとフィルムコンデンサーの関わり
1.2.3蒸着フィルム生産に求められる新しい技術
1.3巻取成膜装置
1.4コンデンサー用蒸着装置
1.4.1高生産性を実現
1.4.2高速成膜のポイント
1.4.3本技術の応用分野
1.4.4今後の予定
2反応性プラズマ蒸着装置(牛神善博)
2.1はじめに
2.2RPD装置の原理と構成
2.3RPD装置の成膜プロセス
2.4RPD装置による膜の特徴
2.5RPD成膜装置の構造
2.6おわりに
3プラズマCVD装置(寺山暢之)
3.1はじめに
3.2PIGプラズマCVD装置と成膜特性
3.2.1PIGプラズマCVD装置の構成
3.2.2成膜特性
3.2.3皮膜構成
3.3HCDプラズマCVD装置と成膜特性
3.3.1HCDプラズマCVD装置の構成
3.3.2成膜特性
3.3.3トライボロジー特性
3.4おわりに
4HCDイオンプレーティング装置(安岡学)
4.1はじめに
4.2圧力勾配型HCDガン
4.3HCDイオンプレーティング装置
4.4イオンプレーティング装置の操作
4.5HCDイオンプレーティングの特色
4.6HCDイオンプレーティングの応用
4.7おわりに
5アークイオンプレーティング装置(玉垣浩)
5.1アークイオンプレーティング(AIP)法の概要
5.2AIP法による皮膜形成の原理
5.3最近のAIP装置の例
5.3.1汎用バッチ型AIP装置
5.3.2インライン型AIP装置
5.3.3厚膜コーティング用AIP装置
5.3.4箔コーティング用AIP装置(AIPロールコータ)
5.3.5複合型AIP装置
6スパッタ装置(岩井啓二)
6.1はじめに
6.2スパッタ技術の概要
6.3スパッタ装置の排気系
6.4機能性成膜利用分野とその装置
6.5縦型(鉛直)走行式スパッタ装置の概要
6.6おわりに
7アンバランスドマグネトロンスパッタ装置(玉垣浩)
7.1アンバランスドマグネトロンスパッタ(UBMS)法の概要
7.2UBMS法の原理と特徴
7.3UBMS法の効果
7.4アンバランスドマグネトロンスパッタリング装置の例
8パルスマグネトロンスパッタ装置(鈴木巧一)
8.1はじめに
8.2パルスマグネトロンスパッタの原理
8.2.1サイン波パルスマグネトロンスパッタ
8.2.2矩形波パルススパッタ
8.2.3パルススパッタ用カソード技術
8.2.4プロセス制御技術
8.2.5矩形波パルススパッタの能力
8.3パルスマグネトロンスパッタ装置例
8.4矩形波パルスプラズマの基板エッチングへの応用
8.5おわりに
9プラズマイオン注入法を用いた成膜装置の開発(西村芳実)
9.1はじめに
9.2プラズマイオン注入・成膜法
9.2.1原理
9.2.2RF・高電圧パルス重畳法
9.2.3バイポーラ方式プラズマイオン注入・成膜装置
9.2.4プラズマイオン注入・成膜装置のガス導入系
第3章無機膜の物性評価技術(中山明、山田羊治、青木正彦、吉田謙一、横山勝昭、宮ア恵)
1薄膜の組成と構造
1.1X線光電子分光分析
1.1.1原理
1.1.2分析事例
1.2二次イオン質量分析
1.2.1原理
1.2.2分析事例
1.3ラマン分光分析
1.3.1原理
1.3.2分析事例
1.4薄膜X線回析
1.4.1原理
1.4.2分析例
1.5透過電子顕微鏡
1.5.1原理
1.5.2観察事例
2薄膜の密着力および内部応力
2.1薄膜の密着力
2.2薄膜の内部応力
3薄膜の機械的特性
3.1硬度
3.2ヤング率
4薄膜の電磁気特性
4.1電気抵抗測定
4.2薄膜のホール測定
5薄膜の光学特性
5.1屈折率
5.2透過率
6薄膜の耐食性
6.1はじめに
6.2金属の腐食
6.3酸化物の分解
第4章無機膜の最新応用技術
1工具・金型分野への応用(安岡学)
1.1機械加工への応用
1.2硬質被覆膜の工具への適用
1.3硬質被覆膜の金型への適用
1.4硬質被覆膜の適用動向
2シリサイド系半導体薄膜の発光/受光デバイスへの応用(中山明)
2.1はじめに
2.2シリサイド系半導体薄膜の研究動向および課題、問題点
2.2.1β-FeSi2薄膜結晶成長技術
2.2.2情報通信用発光/受光デバイスに関する研究動向
2.2.3世界の研究動向
2.2.4情報通信用発光/受光デバイスに関するシリサイド系半導体薄膜の課題、問題点
2.3高速大容量情報通信用発光/受光デバイス実現に向けて
2.3.1大面積(連続膜)β-FeSi2 エピタキシャル成長技術
2.3.2低温成膜(結晶成長)技術
2.3.3低ダメージドーピング技術
2.3.4微細加工技術(エッチング技術)
2.4まとめ
3光学機能分野への応用例(小川倉一)
3.1はじめに
3.2光学多層膜用材料
3.3光学多層膜の要素機能と応用例
3.3.1反射防止膜
3.3.2高反射膜
3.3.3分光特性可変フィルター
3.4まとめ
4ディスプレイ分野への応用(南内嗣)
4.1ディスプレイと無機機能性薄膜
4.2ディスプレイ用透明導電膜
4.3ディスプレイ用蛍光体薄膜
4.4まとめ
5電子デバイス分野への応用(岡本昭夫)
5.1はじめに
5.2機能性薄膜材料について
5.3薄膜デバイス
5.3.1Cr-O薄膜を用いた圧力センサ
5.3.2Cr-N薄膜を用いた赤外線センサおよび極低温用温度センサ
5.3.3TaAl-N薄膜を用いた熱伝導型真空センサ
5.4今後の展望
6光記録デバイス分野への応用(上條榮治)
6.1はじめに
6.2光ディスクの記録・再生の原理
6.3光ディスクの種類と分類
6.4有機色素記録膜光ディスク
6.5相変化記録膜光ディスク
6.5.1光ディスクの高密度化技術
6.5.2光ヘッド技術
6.6光磁気ディスク
6.6.1記録媒体の構造
6.6.2記録・再生の原理
6.6.3光磁気記録の高密度化技術
6.7まとめ
7反応・分離への応用(草壁克己)
7.1はじめに
7.2気体分離用無機膜
7.3膜型反応器の効果
7.4膜型反応器の問題点
7.5水素分離膜
7.6触媒膜
7.7おわりに
8環境分野への応用(垰田博史)
8.1はじめに
8.2光触媒の特徴
8.3光触媒の材料開発
8.4光触媒の応用
8.4.1水処理
8.4.2空気浄化(脱臭・排ガス浄化など)
8.4.3汚れ防止、曇り止め
8.4.4大気浄化
8.4.5抗菌防かび
8.5おわりに
9高温水素分離用セラミック膜の開発(岩本雄二)
9.1はじめに
9.2高温水素分離膜
9.3新たな高温水素分離用セラミック膜の合成開発
9.3.1新規パルス法による陽極酸化アルミナ基材の合成
9.3.2陽極酸化アルミナのガス透過特性
9.3.3ニッケルナノ粒子分散アモルファスシリカ膜の合成開発
9.4おわりに
第5章最新のトピックス
1熱線反射膜と製品(笠井義則、金井敏正)
1.1はじめに
1.2遮熱膜の付け方と製品
1.2.1スプレーコート
1.2.2スパッタリング
1.3おわりに
2プラスチックフィルムのガスバリア膜(岡本俊紀)
2.1はじめに
2.2プラスチックフィルムへの薄膜成膜技術
2.2.1成膜技術
2.2.2ガスバリア性の評価
2.3プラスチックフィルムのガスバリア膜への応用
2.3.1包装フィルム用ガスバリア膜
2.3.2FPD基板フィルム用ガスバリア膜
3気相成長法によるダイヤモンド合成(茶谷原昭義)
3.1ダイヤモンドの気相合成法
3.2単結晶ダイヤモンドの高速気相合成
3.3マイクロ波CVD法によるダイヤモンド単結晶の合成
3.3.1プラズマ分光
3.3.2成長速度
3.3.3成長表面形態
3.3.4長時間成長
3.4まとめ
4フレキシブルDLC薄膜(中東孝浩)
4.1はじめに
4.2DLCの特徴
4.3高分子材料へのフレキシブルDLCの適応
4.4成膜装置および処理方法
4.5評価項目および方法
4.6実験結果
4.6.1成膜速度
4.6.2摩擦係数
4.6.3摩耗特性
4.6.4膜硬度
4.6.5電気抵抗
4.6.6撥水性
4.7まとめ
5メタルドープDLC薄膜(中東孝浩)
5.1はじめに
5.2DLCの特徴
5.3DLCへの異元素ドープのアプローチ
5.4DLCの製法
5.5DLCの状態図
5.6メタルドープの摩擦・摩耗特性
5.7まとめ
6プラズマイオン注入成膜装置を用いた薄膜の作製と評価(西村芳実)
6.1プラズマイオン注入法で作成できる各種の薄膜
6.1.1RF・高電圧パルス重畳法を用いたDLC膜の作成
6.1.2バイポーラ方式を用いた導電性カーボン膜の作製
6.1.3有機金属を用いた金属セラミック薄膜の作製
6.2まとめ
7立方晶窒化ホウ素(cBN)膜合成における最近の展開(山本兼司)
7.1窒化ホウ素膜の特性
7.2PVD法によるcBN合成
7.3CVD法によるcBN合成
7.4実用化における課題と展望
8炭窒化ホウ素系薄膜(青井芳史)
8.1はじめに
8.2炭窒化ホウ素(B-C-N)薄膜の合成
8.3まとめ

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