機能物質の集積膜と応用展開
Assembled and Organized Films of Functional Materials and Their Applications
[コードNo.2006T505]

■監修/ 関隆広(名古屋大学 教授)
■体裁/ B5判 305ページ
■発行/ 2006年 6月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

多様な機能物質の集積膜を「分子集積編」「高分子集積編」「無機物質・金属・粒子集積編」と3分野で構成!
また「表面・界面評価編」で未解決な分野にも挑戦!さらに「応用展開編」では、生物機能、化学機能、光電子機能分野の最新動向をまとめた!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

はじめに
 ソフトマテリアル、ハードマテリアルを問わず、新機能や革新的な機能を実現するためには、機能分子、高分子、(金属・半導体・酸化物などの)無機粒子やシートなどをテイラーメードで集積し、ハイブリッド化するアプローチは不可欠である。その意義と重要性をここで改めて強調する必要性はないであろう。物質の特性と個性活かしながら、集合・組織化やハイブリッド化することによって、さらに協同効果や増幅効果が加わり、種々の階層構造をターゲットとした設計や機能の実現が可能となる。集積技術は、対象となる材料系や研究手法が多様で広範であることも特徴である。いわゆる材料ナノテクノロジーにおける主要な領域となるもので、その展開と広がりは近年目を見張るものがある。そして、多くの研究者や技術者が意識しているように、その延長線上には究極のお手本としての生物組織の構造や機能があり、低環境負荷に貢献できる人工システムを構築する観点からも魅力的で夢の広がる世界である。
 しかし、個別の系統の物質系についてまとめられた書物は多いが、多分野の最新動向を“欲張って”総括的に取り上げてようと企画された書物はこれまで少ないように思われる。そして材料システムとして我々が最も利用しやすく重要な形態は“膜”であることから、本書は、種々の機能物質の集積膜が今どのように作製されどのように研究展開されているかを眺めるという切り口で企画された。
 本書の構成としては、まず多様な機能物質の集積膜について眺めることを目的として、「分子集積編」、「高分子集積編」、「無機物質・金属・粒子集積編」を設定した。また、未解決な課題の多い高分子表面や界面に関しては、その理解へ向けた新たな挑戦を扱った「表面・界面評価編」を設け、さらに、生物機能、化学機能、光電子機能への実証・展開の最新動向として「応用展開編」を設けた。典型的な膜形態に限らず、ここではブロック共重合体が自発的に形成するミクロ相分離構造や、基板に支持された状態の高分子グラフト鎖なども、今後大いに期待される膜の範疇として含めている。広い領域を眺めようと思いつつ、編者の興味から、全体を通じて高分子系に偏っていることをご容赦いただきたい。
 多くの第一線でご活躍の研究者の方々に、最新の話題性のとんだ内容をご執筆いただき、魅力的な本としてまとめることができたと考えている。執筆者各位に心からお礼を申し上げたい。
 本書が機能物質の集積技術に関する最新情報の発信源となり、当該技術の交流と発展に貢献する役割を担うことができれば誠に幸甚である。
2006年6月  関隆広

執筆者一覧(執筆順)
原正彦東京工業大学 大学院総合理工学研究科 物質電子化学専攻 教授
関隆広名古屋大学 大学院工学研究科 物質制御工学専攻 教授
清水敏美(独)産業技術総合研究所 界面ナノアーキテクトニクス研究センター 研究センター長
永野修作名古屋大学 大学院工学研究科 物質制御工学専攻 助手
横山英明(独)産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 主任研究員
木村将弘東レ(株) フィルム研究所 主任研究員
辻井敬亘京都大学 化学研究所 助教授
福田猛京都大学 化学研究所 教授
小林元康九州大学 先導物質化学研究所 特任助手
高原淳九州大学 先導物質化学研究所・大学院工学府 教授
増田佳丈(独)産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 研究員
河本邦仁名古屋大学 大学院工学研究科 教授
米澤徹東京大学 大学院理学系研究科 助教授
中川勝東京工業大学 資源化学研究所 集積分子工学部門 助教授
堀内伸(独)産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 主任研究員
熊木治郎(独)科学技術振興機構 ERATO、八島超構造らせん高分子プロジェクト らせん機能開発グループ グループリーダー
青木裕之京都大学 大学院工学研究科 高分子化学専攻 助手
久田研次福井大学 工学部 生物応用化学科 助手
田中敬二九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 助教授
田坂茂静岡大学 工学部 物質工学科 教授
木村俊作京都大学 大学院工学研究科 材料化学専攻 教授
藪浩北海道大学 電子科学研究所 附属ナノテクノロジー研究センター ナノ材料研究部門 助手
田中賢北海道大学 電子科学研究所 附属ナノテクノロジー研究センター ナノ材料研究部門 助教授
下村政嗣北海道大学 電子科学研究所 附属ナノテクノロジー研究センター ナノ材料研究部門 教授
岩崎泰彦東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 有機材料分野 助教授
秋吉一成東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 有機材料分野 教授
三ツ石方也東北大学 多元物質科学研究所 助教授
宮下徳治東北大学 多元物質科学研究所 教授
竹岡裕子上智大学 理工学部 化学科 講師
陸川政弘上智大学 理工学部 化学科 教授
芹澤武東京大学 先端科学技術研究センター 助教授
明石満大阪大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 教授
渡辺一史東京工業大学 大学院総合理工学研究科 物質科学創造専攻 博士課程
彌田智一東京工業大学 資源化学研究所 教授
浅川鋼児(株)東芝 研究開発センター 先端機能材料ラボラトリー 主任研究員

構成と内容
【分子集積編】
第1章自己組織化単分子膜研究の最新動向(原正彦)
1自己組織化単分子膜とは
2自己組織化単分子膜の概要
3有機シリコン誘導体SAMの形成過程
4アルカンチオールSAMの配列構造と吸着状態
5バイオインターフェースへの応用
第2章LB膜研究の最新動向(関隆広)
1LB膜研究の検索から
1.1LB膜研究論文数の推移
1.2交互吸着累積法
1.3高分子物質とLB膜
2LB11国際会議
3トピックス
3.1合成高分子鎖の可視化
3.2“ナノ溶媒”を介した疎水性高分子の単分子膜調製
3.3π電子系を最表面に露出させた二次元アレイの構築
3.4三次元構造体の構築
4おわりに
第3章チューブ型ナノ集積構造体(清水敏美)
1はじめに
2天然ナノチューブと合成脂質ナノチューブの比較
3ナノチューブ構造形成のための分子構造要素と集積化様式
4キラルな分子集積メカニズム
5ナノチューブ形成における分子集積化の実例
5.1ペプチド性マイクロチューブ
5.2糖脂質ナノチューブ
5.3糖脂質ナノチューブの内径制御
5.4糖脂質ナノチューブの外形制御
6将来展望と今後の課題
第4章低分子にてアシストされた疎水性高分子の単分子膜展開法(永野修作)
1はじめに
2疎水性高分子の単独水面展開
3長鎖脂肪酸との共展開による疎水性高分子の水面展開
4液晶分子との共展開による疎水性高分子の単分子膜形成とその多層集積
4.1液晶分子との共展開による疎水性高分子の広がった単分子膜形成
4.2疎水性高分子単分子膜の多層集積
4.3両親媒性ブロックコポリマーの新たな自己集合構造の再現
5おわりに
【高分子集積編】
第5章超臨界流体を利用したブロックコポリマーのナノフォーム形成(横山英明)
1はじめに
2背景
3ナノ発泡の導入
4ナノ発泡の薄膜への導入
5展望
第6章ブロック共重合体のパターン化(木村将弘)
1はじめに
2ブロック共重合体のパターン制御技術
3表面・界面によるパターン制御
3.1基材の界面表面制御によるパターン制御技術(@)
3.2エピタキシャル成長を利用したパターン制御技術(@、A)
3.3化学的パターン構造を利用したパターン制御技術(@、A)
3.4グラフォエピタキシャルを利用したパターン制御技術(@、A)
3.5温度勾配を利用したパターン制御技術(@、A)
4外場付与によるパターン制御
4.1電場を利用したパターン制御技術(@)
4.2剪断力を利用したパターン化制御技術(@、A)
4.3溶媒蒸発を利用したパターン制御技術(@、A)
4.4その他
51次構造制御によるパターン化制御技術
6おわりに
第7章二次元相分離パターンの形成と光制御(関隆広、永野修作)
1はじめに
2二次元束縛状態でのミクロ相分離
2.1超薄膜におけるミクロ相分離挙動
2.2水面展開を利用したミクロ相分離形成
3単分子膜におけるミクロ相分離構造の光制御
4超薄膜状態における相分離構造の光配向制御
5おわりに
第8章濃厚ポリマーブラシの調製と特性(辻井敬亘、福田猛)
1はじめに
2ポリマーブラシの精密合成―表面開始リビング重合
2.1リビングイオン重合・リビング開環重合
2.2リビングラジカル重合
3濃厚ポリマーブラシの特性
4濃厚ポリマーブラシによる精密表面設計
5おわりに
第9章高密度ポリマーブラシ薄膜による摩擦・摩耗特性の制御(小林元康、高原淳)
【無機物質・金属・粒子集積編】
第10章無機材料・粒子の表面テンプレート集積(増田佳丈、河本邦仁)
1はじめに
2自己組織化単分子膜(SAM:Self-assembled monolayer)
2.1SAMによる基材(基板、粒子、ファイバー等の固体表面)の化学修飾
2.2SAMのナノ・マイクロパターニング
3アモルファスTiO2シードレイヤーを用いたアナターゼTiO2結晶薄膜のパターニング
4領域選択浸漬法を用いたアナターゼTiO2結晶薄膜のパターニング
5PETポリマーフィルム上へのアナターゼTiO2結晶薄膜パターニング
6BaTiO3グリーンシート上へのNi微粒子電極層のパターニング
7PETポリマーフィルム上への金属銅薄膜のパターニング
8微粒子の自己組織化およびパターニング
8.1微粒子の自己組織化およびパターニング
8.2高規則性粒子積層膜(コロイドフォトニック結晶)の2次元パターニング
9まとめ
第11章金属ナノ粒子精密集積(米澤徹)
1はじめに
21次元集積法
32次元集積法
43次元集積法
5おわりに
第12章高分子組織体表面への金属集積(中川勝)
1はじめに
2単層状高分子吸着膜への金属化
2.1静電相互作用による位置選択的な吸着
2.2選択的な吸着現象を利用した無電解めっきによる金属パターン形成
3繊維状分子集合体への金属化
3.1NiPマイクロチューブの形体制御とNiP被膜の形成機構
4おわりに
第13章高分子膜中への金属ナノ粒子の集積(堀内伸)
1はじめに
2高分子の金属錯体に対する還元作用
3高分子フィルム内部への金属ナノ粒子の集積化・パターニング
3.1金属ナノ粒子の3次元ナノ周期配列
3.2金属ナノ粒子の2次元ナノ周期配列
3.3フォトリソグラフィーによる金属ナノ粒子のパターニング
4金属ナノ粒子の集積化による発現機能
4.1高分子ナノコンポジット材料―高分子の熱分解抑制効果
4.2無電解メッキによる金属・金属酸化物のパターニング
4.3耐プラズマエッチング性―ナノリソグラフィー、3Dリソグラフィー
5おわりに
【表面・界面評価編】
第14章高分子鎖のAFM観測(熊木治郎)
1はじめに
2合成高分子単分子鎖の観察
3Molecular Dance―固体基板上での高分子単分子鎖の運動観察―
42次元折りたたみ鎖の結晶の観察
5合成らせん高分子のらせん構造観察
6おわりに
第15章光を利用した高分子ナノ構造観測(青木裕之)
1はじめに
2分光学的手法によるナノ構造評価
2.1蛍光プローブ法
2.2エネルギー移動法による高分子LB膜の層構造解析
3顕微鏡によるナノ構造評価
3.1近接場光学顕微鏡
3.2単分子膜中の単一高分子膜形態
3.3高分子単分子膜の相分離構造
4おわりに
第16章分子膜のトライボロジー(久田研次)
1はじめに
2分子膜のトライボロジー
3フッ化炭素潤滑膜の潤滑特性
4分子鎖傾き角に依存した摩擦異方性と摩擦力非対称性
5水平力顕微鏡におけるカンチレバーの検定
6分子動力学シミュレーション
7おわりに
第17章表面の高分子鎖ダイナミクス評価(田中敬二)
1はじめに
2測定手法
2.1走査粘弾性顕微鏡
2.2水平力顕微鏡
3室温での表面分子運動特性
4表面ガラス転移温度
5表面αa緩和の活性化エネルギー
6おわりに
第18章DSCによる高分子表面解析(田坂茂)
1表面DSCのための試料作製
2界面測定のためのDSC試料作製
2.1サンドイッチ積層膜
2.2金属・無機微粒子コーティング
3測定例
4対応する物性
4.1誘電率
4.2TSCと焦電率
5界面構造が形成される要因
【応用展開編】
第19章らせん形成ペプチドの自己組織化膜と長距離電子移動(木村俊作)
1はじめに
2溶液中での電子メディエート
3ペプチド単分子膜
4基板上でのペプチド分子の自己組織化
5らせん形成ペプチド自己組織化膜の表面電位
6らせん形成ペプチドを通しての電子移動
7単分子測定による分子コンダクタンス
8らせん形成ペプチドを用いる分子デバイス
第20章ハニカム構造高分子フィルムの形成と細胞接着(藪浩、田中賢、下村政嗣)
1はじめに―形は機能―
2ハニカム構造フィルムの作製
3二次加工による構造の多様化
4ハニカム構造フィルムのバイオメディカル応用
第21章MPCポリマークラフト表面とバイオインターフェイス構築(岩崎泰彦、秋吉一成)
1はじめに
2MPCポリマーグラフト表面の設計とバイオインターフェイス構築
2.1リン脂質傾斜表面
2.2血小板機能を保持するMPCポリマーグラフト表面
2.3潤滑性に優れたMPCポリマー表面
3MPCポリマーグラフト表面のナノ設計
4おわりに
第22章金属ナノ粒子の精密集積と光機能(三ツ石方也、宮下徳治)
1はじめに
2金属ナノ粒子の光機能材料としての魅力
3金属ナノ粒子の固体基板上への集積技術
4光吸収を利用したセンサーへの応用
5金属ナノ粒子表面の電場増強を利用した色素の発光増強
6金属ナノ粒子を含む集積膜の光電変換素子への応用
7金属ナノ粒子集積膜の非線形光学効果への応用
8将来展望
第23章半導体―有機層状複合体と光学機能(竹岡裕子、陸川政弘)
1はじめに
2半導体―有機層状複合体の作製
2.1薄膜試料の作製
2.1.1スピンコート法
2.1.2Self-intercalation法
2.1.3Self-assembly法
2.2層状ペロブスカイト型化合物の応用例
3新規半導体―有機層状複合体の創出(有機層への機能性配位子の導入)
4おわりに
第24章逐次積層膜を利用したテンプレート重合(芹澤武、明石満)
1はじめに
2ステレオコンプレックス超薄膜の調製
3テンプレートナノスペースの調製
4ナノスペースを利用したテンプレート重合
5謝辞
第25章高秩序ナノシリンダーアレイ構造薄膜の構築と光電気化学機能(渡辺一史、彌田智一)
1はじめに
2両親媒性ブロック共重合体薄膜の垂直配向ナノシリンダーアレイ構造
3高秩序ナノシリンダーアレイ構造薄膜の大面積化と構造信頼性
4ナノシリンダー構造テンプレートの転写・複合化プロセス
5高秩序ナノシリンダーアレイ構造とアゾベンゼン分子の配向
6高秩序ナノシリンダーアレイ構造の光配向制御
7垂直配向PEOナノシリンダー構造薄膜の電気化学特性
8おわりに―高秩序ナノシリンダー構造薄膜の展開―
第26章ブロックポリマーの自己組織化によるナノリソグラフィーと電子材料への応用(浅川鋼児)
1はじめに
2ブロックコポリマー材料
3ブロックコポリマーリソグラフィー
4ブロックコポリマーリソグラフィーの特徴と課題
5ブロックコポリマーリソグラフィーの応用分野
5.1ハードディスク用記録媒体
5.2フラッシュメモリ
5.3高輝度LED
5.4紫外線用偏光素子

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