発酵・醸造食品の最新技術と機能性
The New Technology and Functionality of Fermented Foods
[コードNo.2006T507]

■監修/ 北本勝ひこ(東京大学大学院)
■体裁/ B5判 303ページ
■発行/ 2006年 7月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

「発酵・醸造」研究に活用される最新技術と、最近の研究で改めて見えてきた「発酵・醸造」食品の機能性、有効成分を紹介。
発酵醸造食品製造技術者はもちろん、健康食品、飲料、食品の研究開発者におすすめの一冊。

※ 本書籍はご試読頂けません ※

刊行にあたって
 日本酒、ビール、味噌、醤油などの製造に利用されている微生物である、麹菌、清酒酵母、ビール酵母、乳酸菌などは、応用面での研究は長い年月の研究の蓄積があるものの、基礎生物学的な研究は、その難しさから非常に遅れていた。しかし、最近、ゲノム解析を含めて、分子生物学的解析が急激に進んでいる。例えば、麹菌ゲノム解析は、昨年12月に我が国の産学官からなるコンソーシアムにより完了して、Natureに発表された。清酒酵母のゲノム解析も、現在進行中であり、今年度中にはその全体像が明らかになるものと思われる。また、伝統的醸造食品の機能性に関する研究も最近、活発に進められており、様々な機能性が科学的に見いだされている。まさに、醸造食品は、古きを訪ねて新しきを知るという「温故知新」という見方からすれば、我が国独自の宝の山ともとらえることができる。醸造微生物ゲノム情報を利用した新しい醸造食品製造法の開発や菌株育種なども進められようとしている。また。発酵による食品の高機能化などの研究も進められている。
 本書では、これらの最新技術と機能性に焦点を当て最新の研究成果を掲載した。これらの情報を利用することにより、醸造食品の良さがあらためて認識され、古くて新しい我が国の醸造食品をベースにした新たな機能性を付与した食品の開発も期待される。
 本書が伝統的な発酵醸造食品製造に関わる技術者のみならず、通常の食品や飲料、さらに健康食品の製造に関わる技術者や研究者の方々にとって、参考になれば幸いである。
(北本勝ひこ、本書「はじめに」より一部抜粋)

執筆者一覧
石川雄章(財)日本醸造協会 副会長兼常務理事 技師長
溝口晴彦菊正宗酒造(株) 総合研究所 所長
山田翼菊正宗酒造(株) 総合研究所 課長代理
井沢真吾京都大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻 助手
井上善晴京都大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻 助教授
赤田倫治山口大学 工学部 応用化学工学科 助教授
山下伸雄白鶴酒造(株) 研究開発室 主任研究員
狩山昌弘(株)フジワラテクノアート 取締役
岩下和裕(独)酒類総合研究所 原料研究室 主任研究員
北本勝ひこ東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 教授
丸山潤一東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 助手
石井正治東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 助教授
春田伸東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 寄附講座教員
江川勲東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻
五十嵐泰夫東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 教授
下飯仁(独)酒類総合研究所 遺伝子工学研究室 室長
児玉由紀子サントリー(株) 知的財産部 主任研究員
町田雅之(独)産業技術総合研究所 生物機能工学研究部門 遺伝子応用技術研究グループ グループリーダー
阿部敬悦東北大学 大学院農学研究科 応用生命科学専攻 助教授
佐々木隆明治乳業(株) 研究本部 食機能科学研究所 部長
佐々木泰子明治乳業(株) 研究本部 食機能科学研究所 研究員
秦洋二月桂冠(株) 総合研究所 所長
鈴木康司アサヒビール(株) 分析技術研究所 プロデューサー
安原貴臣アサヒビール(株) 研究開発企画部 チーフプロデューサー
本山靖朗アサヒビール(株) 研究開発企画部 プロデューサー
佐見学アサヒビール(株) 研究開発企画部 チーフプロデューサー
横関健三味の素(株) アミノサイエンス研究所 理事;京都大学大学院農学研究科産業微生物学講座(寄附講座) 客員教授
竹村浩(株)ミツカン チルド事業カンパニー マーケティング本部 技術課 主席研究員
櫻谷英治京都大学大学院 農学研究科 応用生命化学専攻 助手
清水昌京都大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻 教授
山本直之カルピス(株) 健康・機能性食品開発研究所 上級マネージャー
渡辺敏郎ヤヱガキ醗酵技研(株) 技術開発研究所 食品機能研究室 室長
尾関健二金沢工業大学 環境・建築学部 バイオ化学科 教授;ゲノム生物工学研究所 研究員
古林万木夫ヒガシマル醤油(株) 研究所 上席研究員
松下裕昭ヒガシマル醤油(株) 研究所 研究員
大浦新月桂冠(株) 総合研究所 副主任研究員
広常正人大関(株) 総合研究所 所長
外薗英樹三和酒類(株) 機能性研究所 チームリーダー
大森俊郎三和酒類(株) 取締役 機能性研究所 所長;(株)大麦発酵研究所 代表取締役
江崎秀男椙山女子学園大学 生活科学部 食品栄養学科 助教授

構成と内容
第1編 製造方法
第1章最近の醸造技術と製造(石川雄章)
1はじめに
1.1醸造とは
1.2わが国の醸造とその特徴
2清酒
2.1清酒の製造法
2.2麹菌の個体培養(製麹)
2.3生もと系酒母における微生物相の遷移と清酒酵母の純粋淘汰集積培養
2.4もろみ(段仕込みと並行複発酵)
3焼酎
3.1焼酎の製造法
3.2泡盛
4醤油
4.1醤油の種類と製造法
4.2発酵・熟成中の微生物の動向
5味噌
5.1味噌の分類
5.2味噌の製造法
6
6.1酢の種類
6.2酢の製造法
6.3壺酢とその製造法
6.4酢酸発酵に関与する微生物
第2編 発酵・醸造の基礎研究
第1章生モト造りに見る清酒酵母の適応現象(溝口晴彦、山田翼)
1はじめに
2生モト酵母のエタノール耐性
2.1微生物遷移による環境変化
2.2酒母及びモロミの酵母リン脂質の脂肪酸組成
2.3エタノール存在下における膜バリアー能
3エタノール存在下における増殖能
3.1脂肪酸の取り込み機構
3.2パルミトイルCoAプールの役割
4生モトの高アミノ酸度と清酒酵母
4.1高アミノ酸度の背景
4.2酵母のペプチド取り込みへの影響
4.3モロミへの影響
5まとめ
第2章酒類醸造における酵母のアルコール耐性と応答(井沢真吾、井上善晴)
1はじめに
2生体膜脂質組成と膜流動性
3細胞壁合成とストレセンサーとしてのWSCファミリー
4General stress responseとMsn2/4
5ヒートショックプロテイン
6アルコール応答性の局在変化を示すAsr1
7mRNA核外輸送段階のストレス応答
8おわりに
第3章清酒酵母の分子育種(赤田倫治)
1はじめに
2清酒酵母の育種課題
3清酒酵母の形質転換
4薬剤耐性マーカーのジレンマ
5多剤耐性マーカーによる形質転換
6除去選択マーカー
72倍体清酒酵母の栄養要求性変異
8セルフクローニング
9除去選択マーカーを利用したセルフクローニング育種
10栄養要求性マーカーを利用したセルフクローニング育種
11組換え醸造酵母
第4章清酒麹菌の分子育種(山下伸雄)
1はじめに
2野生型麹菌を宿主とする形質転換システムの開発
2.1麹菌からのピリチアミン耐性遺伝子(ptrA)の単離
2.2ptrA遺伝子を用いた新規形質転換システムの開発
3麹菌ムレ香生成酵素遺伝子(mreA)の単離
3.1ムレ香生成酵素の精製と諸性質の検討
3.2ムレ香生成酵素遺伝子の単離と解析
4ムレ香非生産麹菌の分子育種
4.1清酒麹菌実用株からのmreA遺伝子破壊株の取得
4.2mreA遺伝子破壊株の醸造特性
5おわりに
第5章麹培養技術と固体培養システム(狩山昌弘)
1はじめに
2製麹の原理
3製麹システム
3.1在来製麹法
3.2醸造食品における製麹技術と製麹システム
3.2.1近年の歩み
3.2.2通風製麹の原理
3.2.3通風式製麹装置
3.2.4無通風製麹装置
4麹菌による固体培養技術の展開
第6章麹菌の固体培養環境下での遺伝子発現とタンパク質生産(岩下和裕)
1はじめに
2固体培養に特異的な遺伝子
2.1「分子麹学」の幕開け
2.2網羅的な固体培養特異的遺伝子の探索
3固体培養特異的遺伝子の発現制御
4固体培養特異的な発現制御因子の解析
5麹菌が生産するタンパク質のプロファイル解析
第7章麹菌の分子育種のための新規宿主・ベクター系(北本勝ひこ、丸山潤一)
1はじめに
2麹菌からアデニン要求性株の取得
3fusion PCR法を利用した麹菌argB遺伝子破壊
4麹菌4重栄養要求性株の育種
5麹菌Ku70破壊株による相同組換え頻度の飛躍的向上
6今後の展望
第8章発酵・醸造工程における微生物叢の解析(壺酢)(石井正治、春田伸、江川勲、五十嵐泰夫)
1壺酢について
2壺酢醸造過程の解析
3発酵液からの細菌の単離
4麹中の微生物の解析
5壷内壁に存在する微生物の解析
6まとめ
第3編 新しい技術
第1章清酒酵母研究におけるDNAマイクロアレイ技術の利用(下飯仁)
1はじめに
2清酒酵母と実験室酵母のゲノムの比較
3清酒酵母と実験室酵母の遺伝子発現プロファイルの比較
4清酒醪中の酵母の遺伝子発現プロファイル
5おわりに
第2章DNAマイクロアレイ技術の利用 ビール酵母(児玉由紀子)
1はじめに
2ビール酵母とは
3ビール酵母のゲノム解析
4DNAマイクロアレイを用いたビール酵母の研究
4.1ビール酵母の遺伝子発現解析
4.2ビール酵母のDNA解析
5おわりに
第3章DNAマイクロアレイ技術の利用 麹菌(町田雅之、阿部敬悦)
1はじめに
2麹菌のEST解析とゲノム解析
3麹菌のDNAマイクロアレイ
4麹菌発酵プロセスにおけるDNAマイクロアレイのポテンシャル
5麹菌DNAマイクロアレイ利用の今後
第4章DNAマイクロアレイ技術の利用 乳酸菌(佐々木隆、佐々木泰子)
1はじめに
2乳酸菌のゲノム情報応用研究
2.1乳酸菌ゲノム解読
2.2ゲノム情報を活用する新しい研究
3乳酸菌研究におけるDNAマイクロアレイ技術の利用例
3.1乳酸菌のアレイ解析
3.2遺伝子発現の網羅的解析
3.2.1ガセリ菌LG21株の酸適応についての解析
3.2.2その他の発現解析例
3.3菌株の検出と同定、その他の研究
4おわりに
第5章麹菌ゲノム情報の活用による有用タンパク質の生産(秦洋二)
1はじめに
2固体培養での遺伝子発現
3麹菌のグルコアミラーゼ遺伝子
4麹菌から有用遺伝子の探索
4.1チトクロームP450nor
4.2アラビノフラノシダーゼ
4.3フコース特異的レクチン
4.4カタラーゼ
4.5アミンオキシダーゼ
5おわりに
第6章麹菌のオルガネラの可視化(北本勝ひこ、丸山潤一)
1はじめに
2
3液胞
4小胞体・ゴルジ体・分泌タンパク質
5ミトコンドリア
6Woronin body
7おわりに
第7章ビール混濁乳酸菌の最新検査技術(鈴木康司、安原貴臣、本山靖朗、佐見学)
1乳酸菌のビール混濁性を正確に判定する方法の開発
1.1ホップ耐性遺伝子horAの発見
1.2第2のホップ耐性遺伝子horCの発見
1.3ビール混濁性判定マーカーによる網羅的検査法の構築
2ビールに混入した乳酸菌を迅速に検出する方法の開発
第4編 発酵による食品の開発・高機能化
第1章酵素法によるオリゴペプチド新製法の開発−ペプチド工業製法に新たなブレークスルー−(横関健三)
1はじめに
2ペプチドの機能
3ペプチド製法の歴史
4ペプチド製法の課題
5新製法の構築
6新製法によるペプチド生産
7本新製法の汎用性
8おわりに
第2章低臭納豆の開発(竹村浩)
1納豆の製造工程
2納豆菌について
3納豆市場の特徴
4納豆の香気成分
5低臭納豆の開発
5.1低臭納豆開発の試み
5.2短鎖分岐脂肪酸低含有納豆の開発
5.3短鎖分岐脂肪酸非生産株の取得
第3章脂肪酸発酵による機能性脂質の生産(櫻谷英治、清水昌)
1はじめに
2高度不飽和脂肪酸含有発酵油脂の生産
2.1アラキドン酸生産菌の発見
2.2M. alpina 1S-4によるAA含有油脂の生産
2.3M. alpina 1S-4によるその他のC20 PUFA含有油脂の生産
3M. alpina 1S-4から誘導された変異株による種々のC20 PUFA含有油脂の生産
4鎖長延長酵素の欠損により誘導される新しい経路
5油脂の菌体外漏出
6PUFA生合成に関わる酵素遺伝子の解明
7M. alpina 1S-4から誘導されたDS活性低下変異株における変異部位の同定
8M. alpina 1S-4の分子育種によるPUFA生産
9おわりに
第4章乳酸菌における血圧降下ペプチドの生産(山本直之)
1はじめに
2Lactobacillus helveticus発酵乳特異的血圧降下作用
3L. helveticus発酵乳中の血圧降下ペプチド
4乳酸球菌の蛋白質分解系
5L. helveticusにおける血圧降下ペプチドの加工
6乳酸菌蛋白質分解系の比較
7まとめ
第5章発酵による機能性素材開発(渡辺敏郎)
1はじめに
2大麦を原料とした機能性素材の開発
2.1「大麦クエン酸酢」の開発
2.2乳酸菌発酵大麦「ラクト大麦GABA」の開発
3キノコを原料とした機能性素材の開発
3.1自己消化アガリクス「醗酵アガリクスエキス(ギャバ)」の開発
3.2「醗酵シイタケ末」の開発
4酒粕と焼酎粕の乳酸菌による再発酵とその機能性
5おわりに
第6章赤糠からの機能性素材製造技術の開発(尾関健二)
1はじめに
2赤糠発酵物の調製方法
3赤糠発酵物の機能性(in vitro)
4赤糠発酵物の機能性(in vivo)
4.1ラット門脈カテーテル留置法による評価
4.2食餌配合ラット動物実験
4.3アレルギー発症ラット動物実験
5おわりに
第7章醤油の新しい機能性(抗アレルギー活性)(古林万木夫、松下裕昭)
1はじめに
2SPSの抗アレルギー活性
3SPSの体質改善効果
4SPSのヒト介入試験
4.1通年性アレルギーに対するSPSの抗アレルギー効果
4.2スギ花粉症に対するSPSの抗アレルギー効果
5おわりに
第8章清酒の新しい機能性(大浦新、秦洋二)
1はじめに
2醸造食品の機能性
3清酒の機能性データベース
4清酒の機能性
4.1PEP阻害ペプチド
4.2リポキシゲナーゼ阻害物質
5清酒の副産物の機能性
5.1酒粕中の食物繊維
5.2エポキシコハク酸誘導体
5.3フェリクリシン
5.4酒粕ペプチド
6甘酒の機能性
7おわりに
第9章日本酒に含まれる「エチルα-D-グルコシド」の機能性(広常正人)
1はじめに
2α−EGの高純度生産とその物性
3α−EGの吸収と代謝
4α−EGの整肌作用
5日本酒の飲用摂取による美肌効果
6おわりに
第10章本格焼酎とその副産物(焼酎粕)の機能性(外薗英樹、大森俊郎)
1はじめに
2本格焼酎の血栓溶解作用
3焼酎粕のがん細胞増殖抑制(免疫賦活)作用
4焼酎粕の抗酸化作用
5焼酎粕の血圧降下作用
6麦焼酎粕の肝障害抑制作用
7おわりに
第11章味噌の機能性とその生理活性成分(江崎秀男)
1はじめに
2味噌の機能性
3味噌メラノイジンの生理機能
4味噌ペプチドの生理機能
5味噌の抗酸化性
6豆味噌中に見出された新規イソフラボン類
7イソフラボン類の生理機能
88-ヒドロキシダイゼイン(8-OHD)の吸収・動態
8.18-OHDの投与と解剖
8.2肝臓および腎臓中の8-OHD
8.3血漿中の8-OHD
8.4尿中の8-OHD
9投与した8-ヒドロキシダイゼイン(8-OHD)の生体内抗酸化作用
10おわりに

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