ゲノム情報による医療材料の設計と開発
Design and Development of Medical Materials Based on Genomic Information
[コードNo.2006T532]

■監修/ 谷原正夫(奈良先端科学技術大学院大学)
■体裁/ B5判 250ページ
■発行/ 2006年 11月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

ゲノム情報、解析から利用の時に
これからの医療を支えるバイオメディカルマテリアルの創造
再生医療、工学研究者必携の一書

※ 本書籍はご試読頂けません ※

「巻頭言」より
 関西文化学術研究都市に立地する大学や企業を中心とした文部科学省の知的クラスター創成事業「ヒューマン・エルキューブ」は、大学に蓄積された知識・技術を核とし、産官学の分野と業種を超えた知と人を結集して新産業や新企業を創出する基盤の形成を目指すものである。その中のプロジェクト「ゲノム情報と物質科学を融合した医療材料のための技術開発」は、ゲノム情報に基づくモノづくりを行うことを目的としている。
 生命の設計図であるゲノム情報の解析は国際的なプロジェクトとして実行され、単細胞生物からヒトまでの広範な生物のゲノム情報が次々に明らかにされている。日本は資源に乏しい国と言われているが、広く公開されているゲノム情報を無限の資源として活用できるような知恵と技術を育てることが、科学技術創造立国を目指す日本の理想的な姿と考えられる。
 ゲノム情報は遺伝子に暗号化されていたタンパク質の1次構造(アミノ酸配列)を明らかにしている。タンパク質が機能を発揮するためには特定の立体構造を形成する必要があり、実はその情報も1次構造の中に埋込まれている。モノづくりには、タンパク質の立体構造と機能の関係の解明が必要であるが、この網羅的な研究はまだ十分ではない。ゲノム情報に秘められたこれらの生命の仕組みを明らかにすることができれば、タンパク質の働きの理解だけでなく、新しい機能を持つタンパク質の設計を可能にすることができる。分子生物学やタンパク科学の専門家だけでなく、化学や高分子、情報の専門家が、それぞれ新規な発想と力を結集することで、生命の仕組みがゲノム情報に基づいて明らかにできると考えられる。
 本書では、このようなゲノム情報に基づくモノづくりを分かりやすく解説するとともに、最新の研究の取り組みとその成果の実例を第一線の研究者によって紹介する。これらは世界レベルの優れた学術成果であるとともに、それぞれ新産業を創出するインパクトを有するものである。
 本書が新しい発想によるモノづくりを目指す人たちの一助となれば幸いである。
2006年10月 奈良先端科学技術大学院大学 谷原正夫

執筆者一覧(執筆順)
谷原正夫奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 教授
野依正晴(株)けいはんな 関西文化学術研究都市地域知的クラスター推進本部 事業総括
芝清隆(財)癌研究会癌研究所 蛋白創製研究部 部長
齋藤充弘大阪大学 大学院医学系研究科 外科学講座 心臓血管・呼吸器外科学 特任助手
梶原一美奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 産学官連携研究員
冨田正浩(財)ひろしま産業振興機構 広島県産業科学技術研究所 知的クラスター創成事業 吉里プロジェクト 主任研究員
吉里勝利広島大学 大学院理学研究科 発生生物学研究室 教授
高原純一三和澱粉工業(株) 研究開発部
鷹羽武史江崎グリコ(株) 生物化学研究所
大槻主税名古屋大学 大学院工学研究科 結晶材料工学専攻 教授
小長谷重次奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 産学官連携研究員
上原理暢奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 助手
細谷佳代江崎グリコ(株) 生物化学研究所
石井大輔(独)理化学研究所 中央研究所 高分子化学研究室 協力研究員
岩田忠久(独)理化学研究所 中央研究所 高分子化学研究室 副主任研究員;東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 助教授
伊藤嘉浩(独)理化学研究所 中央研究所 伊藤ナノ医工学研究室 主任研究員;(財)神奈川科学アカデミー 伊藤「再生医療バイオリアクター」プロジェクト プロジェクトリーダー
石川奈美子京都大学 形成外科 博士課程
鈴木義久京都大学 大学院医学研究科 外科系専攻 助教授
伏木信次京都府立医科大学 大学院医学研究科 分子病態病理学 教授
増田真吾日本メディカルマテリアル(株) 研究部 先行技術研究課 課責任者
吉原雄祐日本メディカルマテリアル(株) 研究部 生物評価研究課 課責任者
尾形信一奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 助手
矢野重信奈良女子大学 大学院人間文化研究科 共生自然科学専攻 機能性物質科学講座 教授
小幡誠奈良女子大学 大学院人間文化研究科 共生自然科学専攻 機能性物質科学講座 助手

構成および内容
巻頭言「ゲノム情報とモノづくり」(谷原正夫)
けいはんな知的クラスター創成事業の取り組み(野依正晴)
総論
第1章ゲノム情報と物質科学の融合(谷原正夫)
1はじめに
21次構造(アミノ酸配列)の相同性と相違性
3立体構造の決定と1次構造(アミノ酸配列)からの推定
4低分子量ペプチドを用いる利点とスーパータンパク質創成への挑戦
第2章人工タンパク質の創成(芝清隆)
1人工タンパク質研究の変遷
1.1人工タンパク質とは
1.2合理的設計をめざす蛋白工学
1.3選択を重視する進化分子工学
1.4デ・ノボ合成と天然タンパク質の改変
2ゲノム時代の人工タンパク質研究
2.1ゲノム生物学とポストゲノム研究からあふれ出るタンパク質情報
2.2新しい機能の組み合わせ
2.3機能性モチーフのプログラミング
3無機材料と生体高分子をインターフェイスする人工タンパク質
3.1ペプチド・ファージシステム
3.2無機物に対するペプチド・アプタマー
3.3無機物ペプチド・アプタマーの多機能性
4おわりに
第3章将来展望(再生医療の実現に向けて)(谷原正夫)
1はじめに
2幹細胞の増殖・分化の制御
3人工幹細胞ニッチ
4おわりに
第1編 新しいペプチド・タンパク質の創成
第1章骨形成ペプチド(齋藤充弘)
1はじめに
2骨形成ペプチドの設計とin vitroにおける骨誘導活性の検討
3骨形成ペプチドの異所性骨誘導能
4ラット脛骨欠損部に対する骨形成ペプチドの修復効果
5ウサギ橈骨20mm欠損部に対する骨形成ペプチドの修復効果
6おわりに
第2章細胞死抑制ペプチド(梶原一美)
1はじめに
2アポトーシス
3アポトーシスの誘導機構
4Death Ligandと疾患
5細胞死抑制分子の設計
5.1DR5由来ペプチドの設計
5.2DR5由来ペプチドのアポトーシス抑制効果
5.3DR由来ペプチドの設計
5.4DR由来ペプチドの各種リガンドによるアポトーシスの抑制効果
5.5DR由来ペプチドの各種リガンドへの結合能
6まとめ
7おわりに
第3章遺伝子組換えコラーゲン(冨田正浩、吉里勝利)
1コラーゲン
2コラーゲンの用途および由来材料の現状
3組換えコラーゲン
4昆虫培養細胞を用いた組換えヒトコラーゲンの発現
5酵母によるヒトコラーゲンの生産
6トランスジェニック生物による組換えヒトコラーゲンの生産
7トランスジェニックカイコ
8ミニコラーゲンを繭中に分泌するカイコの作出
9カイコプロリン水酸化酵素cDNAのクローニング
10カイコにおけるプロリン水酸化酵素とIV型コラーゲンの機能
11プロリン水酸化酵素を後部絹糸腺で発現するカイコの作製
12今後の展望
第4章人工コラーゲン(谷原正夫)
1はじめに
2コラーゲン様ポリペプチドの合成
3三重らせん構造の安定性
4コラーゲン様ポリペプチドの繊維形成
5コラーゲン様ポリペプチドへの機能性付与
6おわりに
第2編 新素材マトリクス
第1章酵素合成アミロースとその誘導体(高原純一、鷹羽武史)
1はじめに
2澱粉とアミロース
3アミロースの酵素合成
4酵素合成アミロースの構造と機能
4.1アミロースの結晶構造
4.2アミロース水溶液とその特徴
4.3アミロースの老化
4.4アミロースの包接機能
5酵素合成アミロースの医療用材料としての応用
5.1医療用材料としての酵素合成アミロース
5.2徐放性担体としての利用
5.3酵素合成アミロースのハイドロゲル
5.3.1ハイドロゲルの形成と構造
5.3.2分子量とゲル化速度
5.3.3ゲル化を利用した成形
5.4化学修飾による物性の改変と機能性付与
5.4.1化学修飾の手段
5.4.2置換度と溶解性
5.4.3力学的物性の改変
5.4.4生分解性のコントロール
5.4.5機能性の付与
6おわりに
第2章リン酸カルシウム多孔質セラミックス(大槻主税)
1骨の修復に用いるセラミックス
2骨と結合する生体活性セラミックスの特徴
3骨の再生に合わせて吸収されるセラミックス
4ヒドロキシプロピルセルロースによるコーティング
5セリシンによるコーティング
6結晶相を制御したリン酸三カルシウム多孔体の作製
7微量添加成分がα-TCP多孔体の合成プロセスに与える効果
8まとめ
第3章ポリアミド/アパタイトハイブリッド体(小長谷重次)
1はじめに
2アパタイト/ポリアミドハイブリッド体の分子設計
3アパタイト粒子/芳香族ポリアミドハイブリッド体の合成
3.1イオン性基含有芳香族ポリアミドの合成
3.1.1カルボシキル基含有芳香族ポリアミド(C(50))の合成
3.1.2その他のイオン性基含有芳香族ポリアミドS(x)、P(x)、Si(x)の合成
3.2疑似体液(1.5SBF溶液)の調製
3.3イオン性基結合芳香族ポリアミドフィルムの製膜及び1.5SBF中への浸漬実験
4イオン性基含有ポリアミドフィルムの1.5SBF液中でのアパタイト生成促進作用
4.1C(x)ポリアミド系
4.1.1CaCl2添加効果
4.1.2カルボキシル基量の効果
4.2S(x)ポリアミド系
4.3P(x)ポリアミド系
4.4Si(x)ポリアミド系
5イオン性基の種類とアパタイト微粒子析出挙動との関係
6CaCl2のアパタイト微粒子生成促進作用機構
7アパタイト/ポリアミドハイブリッド体の構造的特性
7.1ハイブリッド体の構造
7.2アパタイト層剥離性
8アパタイト/ポリアミドハイブリッド体の吸着特性
9おわりに
第4章コラーゲン/アパタイトハイブリッド体(上原理暢)
1はじめに
2バイオミメティックプロセス
3人工コラーゲンフィルム上での骨類似アパタイトの析出
4シラノール基を導入した人工コラーゲン上でのアパタイト形成
5人工コラーゲン/アパタイトハイブリッドの評価
6まとめ
第5章アルギン酸/アパタイトハイブリッド体(細谷佳代、上原理暢)
1はじめに
2生体活性の発現
3アルギン酸
4アルギン酸/アパタイトハイブリッド体の合成
5生体適合性試験
6まとめ
第6章ナノファイバーハイブリッド体(石井大輔、岩田忠久、伊藤嘉浩)
1はじめに
2組織工学のための足場
3足場のための材料
4エレクトロスピニングによるナノファイバー
5生分解性高分子ナノファイバー
5.1ナノファイバー高分子の高次構造
5.2ナノファイバーの力学特性
5.3ナノファイバーの分解挙動
6ナノファイバーのハイブリッド化
7自己組織化ペプチドナノファイバー
8おわりに
第3編 新医療材料、新医療技術
第1章アルギン酸を用いた末梢神経の再生(石川奈美子、鈴木義久)
1はじめに
2末梢神経再生のメカニズムと種々の人工神経用材料
3アルギン酸の開発
4アルギン酸ゲルを用いた末梢神経再生の解析
5移植方法の検討
6b-FGFを固定化させたアルギン酸ゲル
7骨髄間質細胞より分化誘導させたシュワン細胞移植
8まとめ
第2章ミニブレイン(伏木信次)
1中枢神経系の発生初期を概観する
2培養下におけるマトリックス細胞のふるまいとミニブレイン形成
3ミニブレインの活用と今後の課題
4神経幹細胞
第3章骨形成材料(増田真吾、吉原雄祐)
1はじめに
2骨補填材料
2.1セラミック人工骨
2.2人工骨と生体骨との直接接合
2.3吸収性人工骨
3骨形成因子(BMP)
4骨形成ペプチド(BFP)
5骨形成ペプチドのin vivo評価(骨内埋植実験)
5.1動物実験モデルの検討
5.2ウサギ橈骨クリティカル骨欠損修復実験
5.3サル下顎骨クリティカル骨欠損修復実験
6課題と展望
6.1骨形成ペプチドにおける開発課題
6.2骨形成材料の将来展望
第4章神経分化因子(谷原正夫、尾形信一)
1はじめに
2骨髄間質細胞が分泌する神経幹細胞分化因子の同定
3おわりに
第5章がん光化学治療―糖を生理機能素子とする糖鎖連結光増感剤の開発―(矢野重信、小幡誠)
1はじめに
2細胞内光増感反応
3がん光化学治療のための光増感剤
4糖を機能素子とする光増感剤
4.1糖連結ポルフィリン誘導体の合成
4.2糖連結ポルフィリン誘導体の機能評価
4.3糖連結ポルフィリン誘導体の系統的研究
4.4糖連結フラーレン誘導体の合成
4.5糖連結フラーレン誘導体の機能評価
5おわりに
第6章人工皮膚(アルギン酸、人工コラーゲン)(谷原正夫)
1はじめに
2アルギン酸からなる人工皮膚
3低エンドトキシンアルギン酸
4増殖因子を保持・徐放できるヘパリン/アルギン酸ゲル
5人工コラーゲンから成る人工皮膚
6おわりに

お申し込み お問い合わせ

お申し込み画面が開かない場合は、『books_entry.pdf』をダウンロードして頂き、プリントアウトした物に必要事項をご記入の上、FAXにてご送信下さいませ。
PDF形式のファイルをご覧頂くには、アドビ システムズ社から無償提供されている「Adobe Reader」が必要です。

■ お問い合わせの前に『よくあるご質問(FAQ)』をご一読下さいませ ■

■ セミナー・講習会のご案内はこちらでございます ■
前のページへ 書籍indexページへ