透明酸化物機能材料とその応用
Transparent Oxides as Active Electronic Materials and Their Applications
[コードNo.2006T535]

■監修/ 細野秀雄(東京工業大学)・平野正浩(東京工業大学)
■体裁/ B5判 340ページ
■発行/ 2006年 11月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

半導体業界、ディスプレイ業界などあらゆる先端産業が注目する"細野プロジェクト"の全貌が明らかに―!!!
細野秀雄、平野正浩の責任監修。透明酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、12C7A、シリカガラス、フェムト秒レーザー加工。透明機能材料開拓の現在到達地点を詳細解説!!!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

はじめに
 「細野プロジェクト」の研究主題は、機能材料としての酸化物の新しいフロンティアの開拓である。新しいフロンティアは、多くの人が全く気がつかない、その可能性を理解できず興味を感じない、または何らかの理由でテーマとして取り上げることを躊躇するところに存在していることが多い。材料の開発には時間がかかることもあり、海のものとも山のものともわからない新材料の研究開発には、二の足を踏む研究者が多いのが現実である。細野プロジェクトでは、多くの研究者が活躍し、すでに世間の注目が集まっている分野には、意識して足を踏み込まないようにし、これまでほとんど研究対象として取り上げられることのなかった材料をあえてとり上げてきた。そのため本書で紹介しているデラフォサイト化合物AMO2、ホモロガス化合物InGaO3(ZnO)m、LaCuOS、LaFeOP、12CaO・7Al2O3(C12A7)、アモルファス酸化物半導体IGZOなどは、材料の研究開発に従事する多くの研究者にとっても、実感のわかない化合物であるに違いない。比較的ポピュラーな石英ガラス及びフェムト秒パルスレーザー加工に関しても、先駆者の轍を避けて、独自な取り組みを心掛けてきた。「アインシュタインがいなかったとしても相対性理論は完成したが、ベートーベンがいなっかたら、交響曲第5番を我々が耳にすることは決してなかった」と言われるように、「細野プロジェクトがなかったなら、C12A7あるいはアモルファス酸化物半導体が実用材料となることはなかった」と言われるようになれば、プロジェクトの本望である。本書は、われわれの「人のやらないことをやる」との方針が明瞭に反映された内容となることを心がけ、プロジェクトの究極の目標への一里塚のつもりで監修した。
 本書は、研究開発が完結し、評価が決まったテーマに関して、その内容を解説的に記述したものではない。現在も、機能材料としての実用化を目指し、研究開発を継続しているテーマに関して、その途中経過を記述し、研究に従事する研究者の個性的な展望を示す臨場感あふれる内容になっていると自負している。
 新規な材料の、単なる技術的な内容の理解に留まらず、そうした研究成果をもたらした、細野プロジェクトの研究テーマの選択、研究の考え方、その進め方についても、本書から読み取って頂ければ幸いである。
2006年11月 監修を代表して 平野正浩

監修者
細野秀雄東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 教授
(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST 総合責任者
平野正浩東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 客員教授
(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST グループリーダー

執筆者
神谷利夫東京工業大学 応用セラミックス研究所 助教授
(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST グループリーダー
柳博東京工業大学 応用セラミックス研究所 助手
太田裕道名古屋大学 大学院工学研究科 助教授
野村研二(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST 研究員
平松秀典(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST 研究員
神原陽一(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST 研究員
雲見日出也キヤノン(株) 先端融合研究所 プロジェクトチーフ
伊藤学凸版印刷(株) 総合研究所 リーダー研究員
蔵重和央日立化成工業(株) 機能性材料研究所 結晶材料グループ 専任研究員
林克郎東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 助手
金聖雄東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 研究員
松石聡東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 研究員
戸田喜丈東京工業大学 総合理工学研究科 博士課程
小野円佳旭硝子(株) 中央研究所 研究員
ウエブスター暁旭硝子(株) 中央研究所 研究員
伊藤節郎旭硝子(株) 中央研究所 特別研究員
宮川仁東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター 研究員
梶原浩一(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST 研究員
Linards Skuja(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST 客員研究員
ラトビア大学 固体物理研究所 教授
大登正敬昭和電線デバイステクノロジー(株) 光ワイヤリング開発部 主査
斎藤全北海道大学 理学部 助手
菊川信也旭硝子(株) 半導体プロセス部材事業部 リソグラフィープロセス部 統括主幹
生田順亮旭硝子(株) 中央研究所 主席研究員
河村賢一(独)科学技術振興機構 ERATO-SORST 研究員
黒堀利夫金沢大学 大学院自然科学研究科 教授

構成および内容
序論(細野秀雄)
1本書の内容
2背景と意義
3我々のアプローチ
4透明導電性酸化物から開けた新しいフロンティア:透明酸化物半導体
512CaO・7Al2O3のナノ構造と活性アニオンを活用した機能開拓
6これからの課題
第I編 透明酸化物半導体
第1章透明酸化物の電子構造概論(神谷利夫)
1電子構造と材料設計
2固体の電子構造:バンドギャップと光、電気物性
3バンドギャップの成因
4固体の電子構造:シリコンを例に
5もう一度絶縁体、半導体、金属:教科書と実際
6半導体中の光吸収:透明とはどういうことか
7高い電気伝導性、高性能デバイス材料とはどういうことか:有効質量、移動度、キャリアー密度
8良い導電体、半導体を作るためには
9もう一度酸化物の電子構造:共有結合性半導体との違い
10高移動度酸化物の設計
11固体の電子構造を表すパラメーター
12酸化物半導体のバンドアライメント:ドーピングの問題
13酸化物では電子が動きやすく、正孔が動きにくい:なぜ透明酸化物ではp型半導体がなかったか
14n型酸化物でシリコンを超える
第2章透明p型導電性酸化物とpn接合デバイス
1透明p型導電性酸化物(柳博)
1.1はじめに
1.2材料設計
1.2.1構成元素の選択
1.2.2結晶構造の選択
1.3透明酸化物におけるp型伝導
1.3.1Cu系デラフォサイト型酸化物
1.3.2SrCu2O2
1.4デラフォサイト型酸化物のn型化と両極性伝導の実現
1.5デラフォサイト型酸化物の電子状態
2薄膜成長(太田裕道)
2.1はじめに
2.2反応性固相エピタキシャル成長法
2.3ホモロガス相InGaO3(ZnO)m(m=自然数)
2.4層状コバルト酸化物
2.5まとめ
3pn接合デバイス(太田裕道)
3.1はじめに
3.2透明酸化物エピタキシャル薄膜デバイス用単結晶ITO透明電極
3.3p-SrCu2O2/n-ZnOヘテロ接合紫外発光ダイオード
3.4p-NiO/n-ZnO透明紫外線センサー
3.5おわりに
4酸化物半導体を用いた電界効果型トランジスタ(野村研二)
4.1はじめに
4.2透明トランジスタ
4.3ホモロガス化合物透明酸化物半導体InGaO3(ZnO)m(m=自然数)
4.4InGaO3(ZnO)5のキャリア輸送機構
4.5高性能透明FET
第3章層状化合物(平松秀典、神原陽一)
1はじめに
2オキシカルコゲナイド
2.1エピタキシャル成長
2.2光物性
2.2.1室温で安定な励起子と2次元的な電子構造
2.2.2光学非線形性および励起子間相互作用
2.3電子物性
2.3.1正孔輸送特性
2.3.2透明p型縮退伝導
2.4発光ダイオード
3オキシプニクタイド
3.1はじめに
3.2オキシプニクタイドの結晶構造と電気的磁気的性質
3.3超伝導化合物LaFeOP
3.3.1サンプル合成及び物性測定
3.3.2LaFeOP及び不純物置換体の超伝導物性
3.3.3超伝導体としてのLaFeOPの特徴
4おわりに
第II編 アモルファス酸化物半導体
第1章アモルファス半導体とフレキシブルデバイス(細野秀雄)
1アモルファス半導体の歩みとデバイス応用
2透明イオン性アモルファス酸化物半導体
3イオン性アモルファス酸化物半導体の特徴
第2章フレキシブルエレクトロニクスとアモルファス半導体(野村研二)
1はじめに
2TFT応用へ向けたアモルファス酸化物半導体の材料探索指針:In-Ga-Zn-O(IGZO)三元系
3a-IGZOの構造
4a-IGZOのキャリア輸送特性
5透明フレキシブルTFT
6おわりに
第3章p型アモルファス酸化物半導体と室温で形成したpn接合ダイオード(神谷利夫)
1p型アモルファス酸化物半導体の設計指針
2アモルファスxZnO・Rh2O3薄膜の作製と構造
3アモルファスxZnO・Rh2O3の光・電気特性
4アモルファスZnO・Rh2O3を使った全アモルファス酸化物pn接合の室温形成
第4章アモルファス酸化物半導体TFTとそのOLED駆動素子への応用(雲見日出也)
1序説
2AOS TFT
2.1スパッタ成膜によるAOS TFT
2.2半導体材料
2.3TFT構造、ゲート絶縁層材料、電極材料
2.4パターニングプロセス
2.5ポストデポジションアニール
2.6安定性、信頼性、均一性
3AOS TFTの回路
4OLED駆動素子への応用
5跋語
第5章透明アモルファス酸化物半導体の電子ペーパーへの応用(伊藤学)
1はじめに
2電子ペーパー
2.1電子ペーパーとは
2.2マイクロカプセル型電気泳動方式のE Ink電子ペーパー
2.3電子ペーパーのフレキシブル化
3アモルファス酸化物半導体の電子ペーパーへの応用
3.1PEN基板上への酸化物TFTアレイの試作例
3.2E Ink電子ペーパーの駆動
4コスト削減への取り組み―印刷法の適用―
5まとめ
第III編 ナノポーラス複合酸化物12CaO・7Al2O3
第1章ナノポーラス結晶C12A7とガラスの特徴(細野秀雄)
第2章CZ法によるC12A7単結晶の育成(蔵重和央)
1はじめに
2検討方法
3評価方法
4CZ法による単結晶育成結果
5評価結果
6今後の課題
第3章酸素ラジカル包接C12A7(林克郎)
1活性種としての酸素イオン、O2−
2活性酸素O、O2の包接
3真空中へのOイオン発生
第4章水素化物イオンの包接(林克郎)
1Hイオンの生成と絶縁体―導電体変換
2絶縁体―導電体変換機構
第5章エレクトライド
1エレクトライドの製法(金聖雄)
1.1はじめに
1.1.1エレクトライドとは
1.1.2ナノポーラスC12A7結晶からなるエレクトライド
1.2製法
1.2.1金属蒸気中での還元処理による合成
1.2.2融液状態からの直接的合成
1.2.3還元雰囲気での熱処理による合成
1.3これからの課題
2エレクトライドの基本特性(松石聡)
2.1C12A7-フリー酸素="エレクトライド"
2.2エレクトライドの歴史
2.3エレクトライドに包接された電子の状態
2.4C12A7エレクトライドの電子物性
2.5まとめ
3エレクトライドの用途(1)電子源など(戸田喜丈、神谷利夫)
3.1序論
3.2電子放出とC12A7:eの電子構造
3.3C12A7:eからの熱電界電子放出
3.4C12A7:eからの電界電子放出
3.5これからの展開
4エレクトライドの用途(2)冷電子発生とFED(小野円佳、ウエブスター暁、伊藤節郎)
4.1Field Emission Display(FED)
4.2FED用エミッタ材料としてのC12A7エレクトライド
4.3粉末状のC12A7エレクトライド粉末エミッタ素子の作製
4.4C12A7エレクトライド粉末エミッタ素子の電界電子放出特性
4.5粉末エミッタ素子の電界電子放出特性の解析及び設計指針
4.6C12A7エレクトライド粉末エミッタ素子の課題
第6章イオン打ち込みによる活性アニオンの包接(宮川仁)
1はじめに
2プロトンイオン打ち込み
3希ガスイオン打ち込み
4重金属イオン打ち込み
5おわりに
第IV編 シリカガラス
第1章シリカガラスの特徴と不思議(細野秀雄)
1はじめに
2構造と主な特徴
3シリカガラスの不思議
第2章シリカガラスの光学特性(梶原浩一、Linards Skuja)
1はじめに
2シリカガラスの非化学量論性(化学的欠陥)
3シリカガラスの歪Si-O-Si結合(物理的欠陥)
4フッ素ドープシリカガラス(モディファイドシリカ)
5SiOH基とF2レーザー光との相互作用
6リンドープシリカガラスにおける構造変化
第3章シリカガラスにおける原子・分子の包接・拡散・反応(梶原浩一)
1はじめに
2格子間水素種
3格子間酸素種
4格子間水分子
5格子間窒素分子
第4章深紫外透明光ファイバー(大登正敬)
1はじめに
2フッ素ドープシリカファイバーの作製方法ならびに諸特性
2.1フッ素ドープシリカファイバーの構造
2.2フッ素ドープシリカファイバーの透過特性
2.3紫外レーザー照射に対する耐久性
2.4水素処理と照射耐久性
2.5フッ素ドープシリカファイバーの透過率改善
3フッ素ドープファイバー応用製品
3.1融着バンドル
3.2真空チャンバー用ファイバー
3.3コリメートレンズ付き分岐ファイバーユニット
3.4先鋭化ファイバー
4まとめ
第5章パルスESEEMによるシリカガラス中の希土類イオンの配位構造(斎藤全、松石聡)
1はじめに
2パルスEPR-ESEEMを用いた中距離構造解析
3希土類イオン共ドープシリカガラス試料作製とその評価法
4Ce3+ドープシリカガラス
4.1Ce3+ドープシリカガラスの発光特性
4.2パルスEPR-ESEEMを用いたCe3+周囲の配位構造
5ER3+ドープシリカガラス
5.1ER3+ドープシリカガラスの光学特性
5.2シリカガラス中のER3+の配位構造における共ドープイオンの役割
第6章合成シリカガラスと露光機用レンズ材料(菊川信也、生田順亮)
1はじめに
2合成シリカガラスの光透過性
2.1不純物による吸収損失
2.2構造欠陥による吸収損失
2.3ガラスの中長期構造の乱れによる散乱損失
3耐光性
3.1透過率変化
3.2密度変化
4合成シリカガラスの製造方法
第V編 フェムト秒レーザーによる透明材料のナノ加工
第1章フェムト秒レーザーを用いた材料加工の特徴(細野秀雄、平野正浩)
1透明酸化物とレーザーとの相互作用:なぜレーザー励起か
2フェムト秒レーザーによる材料加工
3レーザーホログラムの特徴
第2章フェムト秒干渉露光による周期ナノ構造の形成(河村賢一)
1フェムト秒レーザーシングルパルス干渉露光法
2表面レリーフ型マイクログレーティング
3光誘起構造変化を利用した屈折率分布型グレーティングの書き込み
4多重露光による試料表面への2次元周期ナノ構造の作製
5透明試料の内部への加工
第3章微小光学素子への応用と材料加工メカニズム(河村賢一、黒堀利夫)
1光導波路上へのマイクログレーティングの書き込み
2LiF単結晶への光導波路と分布帰還型カラーセンターレーザーの作製
3フェムト秒レーザーによる透明材料加工のメカニズム
3.1光伝導による種電子生成の観測
3.2プリパルス照射によるマイクログレーティングの書き込み閾値の抑制と、グレーティング形状の制御
4おわりに

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