| 総論 |
| ● | レアメタルは、ステンレス鋼等の鉄鋼原料からハイテク産業に至るまで幅広く使用されており、国内産業にとって欠かすことのできない材料である。レアメタルの言葉が示すように、地球上にその存在が稀であるため、希少性が高く、また、ほとんどのレアメタルが輸入に依存しており、その生産国の紛争や国策等によって供給障害を引き起こし、安定供給が極めて困難な物質である。
そのため、日本政府は、このような安定供給に対するリスクを軽減するために主要レアメタル7種(ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム)を備蓄している。しかし、それ以上に中国等の需給動向や生産動向の変化や、ベースメタル(亜鉛/銅/鉛等)の鉱山閉鎖等に大きく影響し、供給不足や価格高騰が起こっている。
このような状況の中、国内での安定供給を計る上においてもレアメタルのリサイクルに関心が集まっており、また、RoHS(欧州特定有害物質規制)や環境基準や自動車リサイクル法,家電リサイクル法等の環境的側面からも、リサイクルの必要性が高まっている。 |
| ● | 現在、プラチナやパラジウムやインジウム等の高価なレアメタルのリサイクルは進んでいるものの、多くのレアメタルは「添加物として使用されており、抽出が困難である/経済的でない」等の理由からほとんどリサイクルが行われていないのが現状である。
そこで、レアメタルの希少性/需要量/輸入価格/環境要因の側面からリサイクルの必要性度合の検討を行った。その結果、インジウム,クロム,ニッケル,マンガン,ゲルマニウム,ボロン,バリウム,プラチナ,ニオブ,モリブデン,レニウム,ハフニウムがリサイクル必要性の度合の上位を占めた。
現状でリサイクル量が多いのは、クロム(186280t/年),マンガン(153500t/年),ニッケル(41658t/年)であるが、これらは、鉄鋼からレアメタルを抽出しているのではなく、鉄鋼屑として再溶解し、鉄鋼原料としてリサイクルされている。
また、リサイクル率が高いレアメタルは、ベリリウム(100%),ニオブ(85%),アンチモン(77%)であり、金属ベリリウムは、ほぼ全量が再溶解され原料としてリサイクルされている。ニオブは、鋼材スクラップとしてリサイクルされている。但し鋼材スクラップからのニオブの回収は行われていない。アンチモン合金は、回収されアンチモン合金の原料になっている。難燃助剤等の添加剤として使用されている三酸化アンチモンのリサイクルは行われていない。 |
| ● | 鉄鋼関連でのリサイクルの場合、レアメタルは添加剤として使用されていることから、レアメタルを抽出し原材料として回収しているのではなく、鉄鋼自体を再溶解し、鉄鋼原料としてリサイクルしている。 |
| ● | レアメタル単体を抽出しリサイクルしているものは、液晶パネル(ITO)からインジウム,リチウムイオン電池からコバルト,触媒からプラチナ,パラジウム,モリブデン,バナジウム等であり、今後、携帯電話,液晶パネル,パソコン,自動車(ハイブリッド等)の需要拡大とともに、レアメタルのリサイクル市場が拡大すると見込まれる。 |
| ● | 環境的要因からは、メッキ業界では、ニッケル,クロム,ホウ素等が排水中から回収され一部原料としてリサイクルされており、現在、要監視項目にニッケル,モリブデン,マンガン,アンチモンが上げられており、環境基準として規制される可能性が高く、特に廃水/廃液からのレアメタル回収/リサイクルの必要性に迫られる。 |
| ● | 鉛の代替製品として、はんだメッキ用途としてビスマス,一般放射線防護用(X線技師のエプロン等)の遮蔽材としてタングステンがある。しかし、鉛にくらべ価格が高いため急速に需要拡大するとは考えられない。
一方、燃料電池の分野では、プラチナの代替物質を模索していたが、適用するプラチナ以外の物質がないため、今後プラチナのリサイクル化に注力している。 |
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