固定化触媒のルネッサンス
Renaissance of Immobilized Catalyst
[コードNo.2007B834]

■監修/ 小林修(東京大学大学院 教授)
小山田秀和((独)科学技術振興機構 技術参事)
■体裁/ B5判 266ページ
■発行/ 2007年 7月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 8,400円(税込価格)

グリーン・サステイナブルケミストリーやコンビナトリアル・ケミストリーなどから注目を集めている固定化触媒!
有機担持型、無機担持型、液体担持型の各種固定化触媒について最新研究情報を詳述!
世界をリードする日本の研究陣を俯瞰する貴重な成書!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

刊行にあたって
 固定化触媒が今、面白い。固定化触媒はもともと、ろ過のみで触媒と生成物を分離することができ、したがって、煩雑な反応後の処理が不要になり、触媒の回収、再使用も容易になるなどの利点を有している。しかし一方で、均一系の触媒に比べると反応性が低いため、一般の有機合成化学の分野での使用は限定的であり、これまで産業界では主に経済的な理由から、金属の漏洩の可能性が比較的低い気相反応や安価な固体酸などが用いられてきた。
 それに対して近年、固定化触媒は主に二つの点で再び脚光を浴びてきている。一つ目は、いわゆるグリーン・サステイナブルケミストリーの柱としてである。固定化触媒は、上述したように回収・再使用が容易であることから、理想的には廃棄物を限りなくゼロに近づけることができ、環境への付加も削減できることが期待される。二つ目は、いわゆるコンビナトリアル・ケミストリーと関連した「ハイスループット合成」の柱としての期待である。コンビナトリアル・ケミストリーは、現在、医薬品開発の分野にとどまらず、様々な分野でその有用性が示されてきている。ここでは、「自動化による合成」が鍵となるが、操作性に優れた固定化触媒はその柱となり得る。
 固定化触媒の研究は世界的に見ても、現在、活発に展開されているが、その中で日本のこの分野での貢献は多大なものがあり、まさにこの分野の研究をリードしていると言っても決して過言でない。そこでこの分野での我が国の現在の研究状況を俯瞰する冊子をまとめたく、本書の刊行に至った。幸いにも多くの分担著者の協力を得、本書はまさに、この分野の世界の最先端の最新の研究状況を俯瞰するものになったことは、編集者の至上の喜びである。
(中略)  「サステイナビリティー」が社会キーワードになっている昨今、我々の生活に欠くことのできない化学の分野でも、環境にやさしい固定化触媒の重要性は、産学問わずますます増大していくことが予想される。本書が、今後のこの分野の研究に役に立ち、さらに持続可能な社会の発展の一助になることを強く祈念する。
 最後になりましたが、現在、この分野をリードする研究グループの長である本書の分担著者らは、例外なく多忙である。それにも関わらず、本編集者の願いを聞き入れ、最新の研究成果を盛り込んだ玉稿を短期間で仕上げて下さった。ここに改めて本書の分担著者の皆様に心より感謝申し上げる。
(「巻頭言」より抜粋)
2007年5月 小林修、小山田秀和

執筆者一覧
小林修東京大学大学院 理学系研究科 教授
小山田秀和(独)科学技術振興機構 技術参事
秋山良(独)科学技術振興機構 研究員
魚住泰広分子科学研究所 錯体触媒研究部門 教授
野崎京子東京大学大学院 工学系研究科 化学生命工学専攻 教授
喜多村徳昭岐阜薬科大学 創薬化学大講座 薬品化学研究室
佐治木弘尚岐阜薬科大学 創薬化学大講座 薬品化学研究室 教授
尾中篤東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 教授
増井洋一東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 助教
金田清臣大阪大学大学院 基礎工学研究科 物質創成専攻 教授
海老谷幸喜北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科 教授
水垣共雄大阪大学大学院 基礎工学研究科 物質創成専攻 助教
水野哲孝東京大学大学院 工学系研究科 応用化学専攻 教授
山口和也東京大学大学院 工学系研究科 応用化学専攻 講師
唯美津木東京大学大学院 理学系研究科 化学専攻 助教
岩澤康裕東京大学大学院 理学系研究科 化学専攻 教授
杉村高志兵庫県立大学大学院 物質理学研究科 教授
神谷裕一北海道大学大学院 地球環境科学研究院 准教授
奥原敏夫北海道大学大学院 地球環境科学研究院 教授
辰巳敬東京工業大学 資源化学研究所 教授
窪田好浩横浜国立大学大学院 工学研究院 准教授
岩本正和東京工業大学 資源化学研究所 教授
石谷暖郎東京工業大学 資源化学研究所 講師
松原浩大阪府立大学大学院 理学系研究科 准教授
柳日馨大阪府立大学大学院 理学系研究科 教授
吉田彰宏(財)野口研究所 錯体触媒研究室 研究員
錦戸條二(財)野口研究所 錯体触媒研究室 元室長
萩原久大新潟大学大学院 自然科学研究科 教授
星隆新潟大学 工学部 助教
石原一彰名古屋大学大学院 工学研究科 化学・生物工学専攻 生物機能工学分野 教授
北爪智哉東京工業大学大学院 生命理工学研究科 教授
小宮三四郎東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 教授
小峰伸之東京農工大学 共生科学技術研究院 助教
※注:吉田彰宏先生の『吉』の正しい表記は「土」に「口」となります。

構成および内容
第1章高分子カルセランド型触媒の開発と有機合成への展開(秋山良、小林修)
1はじめに
2新規高分子固定化法の開発
3アクリドン誘導体のライブラリー構築
4高温・高圧下での水素化反応
5リン配位子含有PI Pdの開発
6アミドカルボニル化反応への応用
7新規架橋高分子ミセル型パラジウム触媒の開発
8高分子カルセランド型ルテニウム触媒の開発
9新規架橋高分子ミセル型スカンジウム触媒ならびにルテニウム触媒の開発
10還元条件下での固定化の検討
11高分子カルセランド型白金触媒の開発
12高分子カルセランド型金触媒の開発
13マイクロリアクターへの応用
14ポリシラン担持遷移金属触媒の開発
15おわりに
第2章両親媒性高分子触媒を用いる水中での有機合成(魚住泰広)
1はじめに
2両親媒性高分子担持遷移金属錯体触媒の開発
2.1錯体触媒の高分子担持
2.2アリル位置換反応
2.3雨宿り効果
2.4その他のPd、Rh錯体触媒反応
3両親媒性高分子担持遷移金属ナノ触媒の開発
3.1PS-PEG分散ナノPd触媒:ARP-Pd
3.2PS-PEG分散ナノPt触媒:ARP-Pt
3.3ヴィオロゲン分散ナノPd触媒:ARP-Pd-V
4両親媒性高分子担持不斉錯体触媒の開発
4.1PS-PEG担持不斉Pd触媒:コンビナトリアル・アプローチ
4.2PS-PEG担持不斉Pd触媒:イミダゾインドールホスフィン
4.3水中不均一条件下での多段階不斉合成
5結語
第3章高分子固定化触媒を用いるオレフィンのヒドロホルミル化(野崎京子)
1はじめに
2固相担持による気-液-固3相系または気-固2相系
3高分子担持触媒と超臨界相の固-超臨界2相系
4デンドリマー触媒
5触媒の液相への担持による液-液2相系
6まとめと展望
第4章官能基選択的接触還元触媒「パラジウム-フィブロイン」(喜多村徳昭、佐治木弘尚)
1はじめに
2Pd/Fibの調整と物性
3Pd/Fibを触媒とした官能基選択的接触還元法
3.1芳香族ハロゲン共存下での選択的接触還元
3.2芳香族カルボニル基共存下でのオレフィンの選択的接触還元
3.3ベンジルエステル共存下での選択的接触還元
3.4N-Cbz保護基共存下での選択的接触還元
3.5オレフィンの還元における適用範囲
4おわりに
第5章ゼオライトの極性ナノ空間による不安定有機分子の反応制御(尾中篤、増井洋一)
1はじめに
2ホルムアルデヒドの安定貯蔵とその反応性
2.1ホルムアルデヒドの吸着
2.2ゼオライト吸着ホルムアルデヒドの反応性
3不安定な不飽和アルデヒドの安定貯蔵とその反応性
3.1アクロレインの吸着
3.2ゼオライト吸着アクロレインの反応性
4α-ジアゾ酢酸エステルの吸着とその反応性
4.1α-ジアゾ酢酸エチルの吸着
4.2α-ジアゾ酢酸エチルの反応性
5おわりに
第6章無機結晶表面を配位子とする固定化金属触媒の創製と環境調和型物質変換反応への展開(金田清臣、海老谷幸喜、水垣共雄)
1はじめに
2環境に負荷をかけない選択的酸化反応
3廃棄物を最小限とする炭素-炭素結合形成反応
4多機能表面の創製とone-pot合成への展開
5おわりに
第7章固定化水酸化ルテニウム触媒を用いた酸素酸化反応・水和反応(水野哲孝、山口和也)
1はじめに
2アルコールおよびアミン類の酸化反応
3芳香族炭化水素類の脱水素・酸素化反応
4ナフトールおよびフェノール類の酸化的カップリング反応
5ニトリル類の水和反応
6まとめ
第8章固体表面を媒体とした触媒反応(唯美津木、岩澤康裕)
1
2表面を錯体とした固定化Nbモノマー・ダイマー・モノレイヤーの作り分け
3HZSM-5ゼオライト担持Re10核クラスター触媒によるベンゼンと酸素からのフェノール直接合成
4表面を媒体としたモレキュラーインプリンティング固定化金属錯体の設計
5表面で誘起されるVシッフ塩基錯体の不斉自己組織化による不斉触媒の設計
6今後の展望
第9章キラル修飾固体触媒を用いる不斉水素化反応(杉村高志)
1はじめに
2キラル修飾固体触媒の概念
3白金系触媒
4ニッケル系触媒
5パラジウム系触媒
6まとめ
第10章水中固体酸を用いるグリーン化学プロセス(神谷裕一、奥原敏夫)
1はじめに
2高シリカゼオライト
2.1高シリカH-ZSM-5による水中酸触媒反応
2.2ゼオライトの表面疎水性と水中酸触媒活性
2.3ミクロ細孔の影響
3ヘテロポリ酸塩(Cs2.5H0.5PW12O40
3.1Cs2.5H0.5PW12O40の水中酸触媒特性
3.2Cs2.5H0.5PW12O40の酸強度と表面疎水性
3.3シリカ-Cs2.5H0.5PW12O40コンポジット水中固体酸
4その他の水中固体酸
4.1水が共存すると活性が向上する特異な水中固体酸(MoO3-ZrO2
4.2リン酸ジルコニウム
4.3スルホン化炭素材料(Sugar catalyst)
4.4ヘテロポリ酸塩
第11章チタン固定化結晶性多孔体を触媒とした液相酸化反応(辰巳敬)
1はじめに
2チタノシリケート触媒による過酸化水素酸化の概要
3チタノシリケート触媒の進歩
3.1Ti-MWWと関連構造の触媒
3.2Ti-Betaの修飾
3.3TS-1の新規合成法
3.4メソポーラスチタノシリケート壁の「結晶化」
4おわりに
第12章規則性多孔体触媒を用いる有機反応(窪田好浩)
1はじめに
2ミクロ・メソ多孔体を用いた触媒設計と調整法
2.1有機ペンダント型(OFMS型)触媒
2.2多孔体シリケート-第四級アンモニウム複合体(SOCM型)触媒
3ミクロ・メソ多孔体修飾触媒を用いた反応
3.1OFMS型触媒による反応
3.2SOCM型触媒による反応
4おわりに
第13章規則性ナノ空間の触媒化学(岩本正和、石谷暖郎)
1はじめに
2ナノ空間物質は何が新しいのか
3シリカナノ多孔体の酸特性を活かした合成反応
3.1シリカナノ多孔体の酸特性の発見
3.2アセタール化反応に対する触媒活性と第4の形状選択性の発見
3.3α-ピネンの異性化に対する触媒活性
3.4向山アルドール反応
3.5Friedel-Craftsアシル化反応
3.6Friedel-Craftsアルキル化
4MCM-41の酸触媒特性と担持金属による共同効果
4.1低級オレフィン転換反応
4.2スチレン型オレフィンのcis-ジヒドロキシル化
5その他の興味ある触媒反応
5.1光照射条件でのシリカナノ多孔体の触媒作用
5.2非シリカ系ナノ多孔体を触媒とする反応
6おわりに
第14章フルオラス錯体触媒による有機反応(松原浩、柳日馨)
1はじめに
2フルオラス・ヒドロホルミル化反応
3フルオラス・ヒドロシリル化およびヒドロホウ素化反応
4フルオラス・溝呂木-Heck反応
5フルオラス・Stilleカップリング反応
6フルオラス・鈴木-宮浦カップリング反応
7フルオラス・薗頭(そのがしら)反応
8フルオラス・アルケンメタセシス反応
9フルオラス触媒の新しい固定化法
9.1フルオラスシリカゲル
9.2テフロンテープ
10今後の展望
第15章フルオラスLewis酸触媒(吉田彰宏、錦戸條二)
1はじめに
2フルオラス二相系Lewis酸触媒反応
3フルオラス二相系ベンチスケール流通式連続反応
4固体担持Lewis酸触媒
5おわりに
第16章イオン液体を触媒の支持体として用いる有機反応(萩原久大、星隆)
1はじめに
2イオン液体を液相支持体とする固定化有機分子触媒(IMOC)の反応
2.1アミン担持シリカゲル触媒
2.2アルデヒドの直接的な1,4-付加反応
2.3アルデヒドの直接的な自己アルドール縮合
3イオン液体担持シリカゲル触媒(ILIS)の反応
4イオン液体を液相支持体とするMizoroki-Heck反応
5イオン液体を用いた均一系有機金属触媒の無機固体支持体への固定化(SILC)とその反応性
5.1Pd-SILCの調製
5.2Pd-SILCのMizoroki-Heck反応への適用
5.3Pd-SILCを用いた水中でのMizoroki-Heck反応
5.4Pd-SILCを用いたSuzuki-Miyaura反応
6おわりに
第17章イオン液体を触媒の支持体として用いる脱水縮合反応(石原一彰)
1樹脂担持型ジルコニウム(IV)-鉄(III)触媒を用いるエステル縮合反応
1.1はじめに
1.2ジルコニウム(IV)-鉄(III)複合塩触媒を用いるエステル脱水縮合反応
1.3イオン液体を用いるジルコニウム(IV)-鉄(III)複合塩触媒の回収・再利用
1.4樹脂担持型アンモニウム塩を支持体として用いるジルコニウム(IV)-鉄(III)複合金属塩触媒の回収・再利用
2樹脂担持型ボロン酸触媒を用いるアミド縮合反応
2.1はじめに
2.2N-メチル-4-ピリジニウムボロン酸ヨウ化物触媒の開発
2.3N-ポリスチリル-4-ピリジニウムボロン酸塩化物触媒の開発
2.4ボロン酸触媒によるエステル縮合反応
第18章イオン液体の燃料電池への展開(北爪智哉)
1はじめに
2燃料電池発電
3イオン液体の電気化学的安定性
4構造と物性の関係について
5電池の電解質としての性質
6電解質として有望なイオン液体
第19章水溶性錯体を触媒とした水/有機溶媒二相系反応(小宮三四郎、小峰伸之)
1はじめに
2水/有機溶媒二相系を用いた水溶性イリジウム錯体による不飽和アルデヒドのカルボニル選択的水素化反応
2.1トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンを有する水溶性遷移金属錯体の合成
2.2トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンを有する水溶性遷移金属錯体を触媒とする不飽和アルデヒドおよびイミンの選択的水素化反応
2.31,2-ビス(ジヒドロキシメチルホスフィノ)エタンを配位子とする遷移金属錯体による水/有機溶媒二相系でのα,β-不飽和アルデヒドの選択的水素化
2.41,2-ビス(ジヒドロキシメチルホスフィノ)エタンを配位子とする遷移金属錯体による水/ベンゼン二相系でのα,β-不飽和イミンの選択的水素化
3水/有機溶媒二相系メディアでの水溶性パラジウム錯体によるアリルアルコールを用いた触媒的アリル化
3.1Pd(OAc)2/TPPTS触媒によるアミンのアリル化反応
3.2Pd(OAc)2/TPPTS触媒によるチオールのアリル化反応
3.3Pd(OAc)2/TPPTS触媒によるアセチルアセトンのアリル化反応
3.4水溶性η³¯アリルパラジウム(II)錯体の合成と求核剤の化学量論的な反応
3.5チオールのアリル化に関する反応機構
4まとめ

お申し込み お問い合わせ

お申し込み画面が開かない場合は、『books_entry.pdf』をダウンロードして頂き、プリントアウトした物に必要事項をご記入の上、FAXにてご送信下さいませ。
PDF形式のファイルをご覧頂くには、アドビ システムズ社から無償提供されている「Adobe Reader」が必要です。

■ お問い合わせの前に『よくあるご質問(FAQ)』をご一読下さいませ ■

■ セミナー・講習会のご案内はこちらでございます ■
前のページへ 書籍indexページへ