バイオベースマテリアルの新展開
New Development of Bio-based Materials
[コードNo.2007T526]

■監修/ 木村良晴、小原仁実
(京都工芸繊維大学 バイオベースマテリアル研究センター)
■体裁/ B5判 279ページ
■発行/ 2007年 1月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

ここまで身近になった、生分解性ポリマーの実用化技術を紹介
"ゴミ"にならないプラスチック、"ゴミ"を利用したバイオベースマテリアルを一挙に紹介

※ 本書籍はご試読頂けません ※

「巻頭言」より抜粋
 発酵乳酸や発酵コハク酸をモノマー原料にしたポリ乳酸やポリコハク酸ブチレンがバイオベースポリマー(bio-based polymers)として注目され、その開発が活発に行われている。これらのポリマーはもともと生体や自然界の作用で分解して、炭酸ガスや水などの環境物質に無機化(assimilation)される生分解性ポリマー(biodegradable polymers)として開発されてきたものである。生分解性ポリマーは、最初、生体吸収性の医用材料として研究開発され、溶ける手術糸や骨折固定材などの用途に展開されていた。このポリマーを生分解性プラスチックとして利用しようという動きが出たのは、1980年代の終わりごろであり、それ以後、環境に適合した理想的な材料として開発されるようになった。(中略)
 いずれのポリマーにおいても開発は緒についたばかりであるが、現在最も注目されているのがポリ乳酸である。ポリ乳酸は、そのモノマーとなる乳酸がデンプンの加水分解により得られるグルコースの発酵によって合成され、続いて化学的な重合によりポリマー化できる。この一連のプロセスにケモ-バイオプロセスの具現化を見ることができる。ポリ乳酸は長い開発試行期間を経てようやく大規模な工業生産と大量消費が実現されようとしているが、その特性は必ずしもユーザーを満足させるものとはなっていない。さらなる物性の改善が期待される所以である。また、目下のところバイオベースポリマーとしてはポリ乳酸しか入手できないが、今後、石油ベースのポリマー素材のように、用途に応じた特性を有する他のバイオベースポリマーの開発が続いてきてほしいものである。
 ともかくも、21世紀の材料造りでは、化石資源ではなくバイオマス資源に基づく新しいマテリアルが中心となることは確かであり、あらゆる分野においてそれへの対応が求められてくる。昨今の原油価格の高騰はその動きをさらに加速している。しかしながら、現在の技術ではバイオマスの利用に限界があり、その効率的利用を進めるには、21世紀の中核となるバイオ技術を利用した大規模バイオインダストリーの確立が重要となってくるであろう。我国が、その技術開発のリード役を果たしていく必要があると考えるのは筆者だけではない。
2007年1月 京都工芸繊維大学 木村良晴

執筆者一覧(執筆順)
木村良晴京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 生体分子工学部門 教授 バイオベースマテリアル研究センター長
小原仁実京都工芸繊維大学 バイオベースマテリアル研究センター 教授
小林四郎京都工芸繊維大学 バイオベースマテリアル研究センター 特任教授
福島和樹京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 博士後期課程 日本学術振興会 特別研究員
北村進一大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 教授
鈴木志保大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 研究員
小川宏蔵大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 前教授
河原豊群馬大学 工学部 生物化学工学科 教授
矢野浩之京都大学 生存圏研究所 生物機能材料分野 教授
山岸兼治(株)三菱化学科学技術研究センター R&D部門 非枯渇資源PJ
加藤聡三菱化学(株) 科学技術戦略室 横浜センター
相羽誠一(独)産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門 バイオベースポリマーグループ グループ長
瀧澤誠ピューラック・ジャパン(株) 開発営業部 部長
加藤誠(株)豊田中央研究所 材料分野 有機材料研究室 主任研究員
望月政嗣ユニチカ(株) 中央研究所 シニアアドバイザー 兼 京都工芸繊維大学 バイオベースマテリアル研究センター 特任教授
西尾嘉之京都大学 大学院農学研究科 森林科学専攻 教授
松村秀一慶應義塾大学 理工学部 応用化学科 教授
阿部英喜(独)理化学研究所 高分子化学研究室 先任研究員
吉江尚子東京大学 生産技術研究所 助教授
正木和夫(独)酒類総合研究所 醸造技術応用研究部門 研究員
家藤治幸(独)酒類総合研究所 醸造技術応用研究部門 部門長
山岡哲二国立循環器病センター研究所 生体工学部 部長
藤里俊哉国立循環器病センター研究所 再生医療部 室長
山根秀樹京都工芸繊維大学 繊維科学センター 教授
稲生隆嗣トヨタ自動車(株) 車両技術本部 第2材料技術部 有機材料室 担当員
田實佳郎関西大学 システム理工学部 物理・応用物理学科 工学研究科 教授
宮本貴志東洋紡績(株) バイロン事業部 主席部員
位地正年日本電気(株) 基礎・環境研究所 主席研究員
森浩之ソニー(株) マテリアル研究所 環境技術ラボ
伊藤正則(株)ユニック BP事業グループ 参与
江口有(財)バイオインダストリー協会 事務局 事業企画部長
橋本和久(株)荏原製作所 環境事業カンパニー 環境ソリューション事業統括部 プロジェクト計画室 部長

構成および内容
序章 バイオベースマテリアルの役割と将来展望(小原仁実)
1石油からバイオマスへの転換
2エタノールとバイオプラスチック
3バイオリファイナリーでのプラスチックの生産
4おわりに
【第1編 基礎技術・素材編】
第1章フェノール類からのポリマー(小林四郎)
1はじめに
2フェノール類からのポリマー合成
3酵素モデル錯体触媒によるポリフェニレンオキシドの合成
4リグニンからのポリフェノール類
5天然漆と人工漆
6ポリフェノール(フラボノイド)からのポリマー
7おわりに
第2章ポリ乳酸(ラクチド重合法)(木村良晴、福島和樹)
1ポリ乳酸の合成法
2ラクチドとポリ乳酸の立体異性
3ラクチドの重合法
4ラクチドの重合動力学
5ラクチドの重合機構
6アルミニウム系触媒
7リパーゼによる重合
8有機触媒
9rac-ラクチドの重合
10残存モノマー
11おわりに
第3章重縮合型ポリ乳酸(木村良晴)
1はじめに
2ポリ乳酸の種類と合成法
3直接重縮合法によるPLLA合成
3.1乳酸の直接脱水縮合反応の熱力学
3.2溶液重縮合法
3.3溶融重縮合法
3.4固相重縮合法
4直接重縮合法によるsc-PLAの合成
5直接重縮合法による共重合体の合成
6おわりに
第4章酵素合成アミロース(北村進一、鈴木志保、小川宏蔵)
1調製法
2分子量と基礎物性
3機能性材料の例
第5章パラミロン(河原豊)
1はじめに
2パラミロンの分離
3パラミロンフィルム
4パラミロン/PVAブレンドフィルムおよび繊維
5今後の展開
第6章セルロース系ナノコンポジット(矢野浩之)
1セルロースの構造
2無尽蔵のバイオナノファイバー:セルロースミクロフィブリル―高強度、低熱膨張―
3ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を用いた繊維強化材料―クモの巣状ネットワークの効果―
4ナノファイバー繊維強化透明材料―波長の1/10以下のエレメントは散乱を生じない―
5セルロース系ナノコンポジットに関する急激な世界の動き
第7章コハク酸
1コハク酸発酵(山岸兼治)
1.1はじめに
1.2コハク酸の生成経路
1.3コハク酸生産菌
1.4精製プロセス
1.5今後の展望
2コハク酸系ポリエステル樹脂(加藤聡)
2.1はじめに
2.2脂肪族ポリエステルとしてのポリブチレンサクシネート系樹脂開発経緯
2.3「GS Pla®」の特徴
2.4「GS Pla®」の用途展開
2.5「GS Pla®」の生分解性と分解制御
2.6発酵コハク酸を用いたポリブチレンサクシネート樹脂の製造
2.7今後の課題及び展望
第8章キチン、キトサン(相羽誠一)
1はじめに
2キチン、キトサンの一般的性質
3キチン、キトサンの実用化例
4部分N-アセチル化キトサンの性質
5水溶性誘導体
6有機溶媒可溶型キトサン誘導体
7その他の研究展開
8おわりに
第9章発酵乳酸(瀧澤誠)
1はじめに
2発酵乳酸の歴史
2.1発酵乳酸の発見
2.2発酵乳酸製造の始まり
2.3発酵乳酸製造技術の発展
2.4発酵乳酸の工業生産
3食品での利用
3.1味質
3.2保存性
3.3栄養
3.4安全性
3.5環境安全性
4工業用途での利用
4.1メッキ
4.2フォトレジスト
4.3洗浄剤
4.4ポリマー
5おわりに
第10章バイオプラスチックと自動車部品用(加藤誠)
1はじめに
2自動車用ポリ乳酸におけるカーボンニュートラルの概念
3自動車メーカーの動き
4ポリ乳酸の高性能化への取り組み
4.1加水分解の抑制
4.2結晶化
4.3クレイナノコンポジット化による耐熱性向上
4.3.1有機化剤の検討
4.3.2分子量低下の抑制
4.3.3混練法によるナノコンポジット化の検討
4.3.4ポリ乳酸クレイナノコンポジット材料の特性
4.4天然ゴムによる耐衝撃性向上
5まとめと今後の展望
【第2編 高機能化技術】
第1章ポリ乳酸―脂肪族ポリエステルの一次構造と性能・機能の発現―(望月政嗣)
1はじめに
2脂肪族ポリエステルの一次構造と成形加工性
2.1脂肪族ポリエステルの分類
2.2成形加工性
3脂肪族ポリエステルの成形加工性と性能・機能の発現
3.1ポリ乳酸(PLA)系
3.2ポリ-β-ヒドロキシブタン酸(PHB)系
3.3ポリコハク酸ブチル(PBS)系
3.4デンプン(Starch-based)系
4ポリ乳酸の高性能化と高機能化
4.1高耐熱性ポリ乳酸の開発
4.2押出発泡用ポリ乳酸の開発
5ポリ乳酸の汎用プラスチックとしての可能性
5.1プラスチックの理想像―環境負荷低減の視点から
5.2ポリ乳酸の生分解機構―生分解性と耐久性に関する考察
5.3ポリ乳酸の汎用プラスチックへの道―耐久性向上の歴史
6ポリ乳酸の最新成形加工技術と応用
6.1押出成形
6.2射出成形
6.3発泡成形とブロー成形
7おわりに
第2章機能性エコマテリアルとしての多糖類のモダン活用(西尾嘉之)
1はじめに
2環境・生体適合型機能材料
2.1生分解性グラフト共重合体
2.2相溶ブレンドによる物性改変
2.3実際的な成型品への応用
3先進的高機能材料
3.1液晶光学材料
3.2磁性機能材料
3.3分離機能材料
第3章環境低負荷型触媒による合成とリサイクル技術(松村秀一)
1はじめに
2酵素触媒重合とケミカルリサイクル
3リパーゼを用いるバイオベースプラスチックの合成とケミカルリサイクル
3.1ポリ(アルキレンアルカノエート)
3.2ポリ(R-3-ヒドロキシアルカノエート)(PHA)
4酵素触媒重合により可能となった新規ポリマー合成とケミカルリサイクル
4.1ポリ(アルキレンカーボネート)
4.2ポリチオエステル
5ケミカルリサイクル性と生分解性を併せ持つプラスチックの分子設計
5.1酵素触媒による脂肪族ポリ(カーボネート-ウレタン)(PCU)の合成と環状オリゴマー化リサイクル
5.2酵素触媒による脂肪族ポリ(エステル-ウレタン)(PEU)の合成
6超臨界二酸化炭素を溶媒とし、酵素を使用するプラスチックリサイクル
6.1酵素反応への超臨界流体の活用
6.2酵素を使用する超臨界二酸化炭素流体中での環状オリゴマー化リサイクル
6.3酵素カラムを使用する超臨界二酸化炭素流体中での連続環状オリゴマー化リサイクル
7固体酸モンモリロナイトによるPLAのケミカルリサイクル
7.1固体酸モンモリロナイト
7.2PLLAの環境低負荷型ケミカルリサイクル
7.3酵素と固体酸の組み合わせによるPBS/PLLA系ポリマーブレンドの分別的ケミカルリサイクル例
8環境低負荷型触媒による機能性ポリマー創成の研究動向と今後の課題
第4章高性能ポリマーの創製(阿部英喜)
1はじめに
2脂肪族ポリエステルアミド共重合体
3脂肪族ジカルボン酸を用いた周期性連鎖構造を有するポリエステルアミド共重合体の合成とその性質
3.1コハク酸をベースとする周期性ポリエステルアミド共重合体
3.2アジピン酸をベースとする周期性ポリエステルアミド共重合体
4脂肪族ヒドロキシカルボン酸とアミノ酸からの周期性ポリエステルアミド共重合体の合成
5おわりに
第5章易リサイクル性高分子(吉江尚子)
1緒言
2易リサイクル性高分子の分子設計
3フランとマレイミドのDA反応
4ポリアジピン酸エチレンを主成分とする易リサイクル性高分子の合成とリサイクル性の評価
5バイオベースの易リサイクル性高分子材料
第6章高活性リパーゼによるポリ乳酸分解(正木和夫、家藤治幸)
1はじめに
2ポリ乳酸の酵素分解について
3ポリ乳酸と他のポリエステルの酵素分解について
4酵母Cryptococcus sp.S-2
5酵母Cryptococcus sp.S-2が生産するリパーゼ
6酵母Cryptococcus sp.S-2の培養と酵素生産
7リパーゼCS2を利用した生分解性プラスチックの分解
8リパーゼCS2によるポリ乳酸以外の生分解性プラスチックの分解
9プラスチックシートの分解
10おわりに
【第3編 応用編】
第1章医療用バイオベースマテリアル(山岡哲二、木村良晴、藤里俊哉)
1はじめに
2再生医療
2.1歴史
2.2再生医療
2.3生体吸収性スキャホールド材料
3機能性ポリ乳酸誘導体
3.1人工皮膚−ポリ乳酸系ハイドロゲル/ハイドロキシアパタイト複合体
3.2細胞移植用インジェクタブルスキャホールド
4生体組織の利用
5おわりに
第2章バイオマス繊維(山根秀樹)
1はじめに
2キチン・キトサン繊維
3アルギン酸繊維
4デンプン(アミロース)繊維
第3章自動車部品(稲生隆嗣)
1背景
2実用化例
2.1天然繊維
2.2バイオプラスチック
3研究事例
3.1天然繊維とバイオプラスチックの複合材料
3.2射出成型材
3.3繊維系材料
3.4ウレタンフォーム材料
4おわりに
第4章光、電子材料(田實佳郎)
1はじめに
2PLLA結晶構造
3PLLA結晶の旋光性
4PLLA膜の圧電性
5まとめ
第5章塗料・インキ・接着バインダー(バイロエコール)(宮本貴志)
1概要
2はじめに
3東洋紡績における機能性ポリ乳酸樹脂開発の歴史
4バイロエコールとは
4.1バイロエコール溶剤溶解性
4.2バイロエコールの物性
4.3バイロエコール分子量
4.4バイロエコール有機溶剤溶解品を経由するエマルジョンの製造方法
4.5バイロエコール硬化反応と各種物性の変化
5接着剤としての評価
5.1有機溶剤系ヒートシール材
5.2有機溶剤系ドライラミ接着剤
6グラビアインキ
7まとめ
第6章家電、携帯電話(位地正年)
1はじめに
2ケナフ繊維添加ポリ乳酸の開発
2.1ケナフ繊維等の植物成分によるポリ乳酸の高機能化
2.2携帯電話用ケナフ繊維添加ポリ乳酸の実用化とエコ携帯電話への搭載
3難燃性ポリ乳酸の開発
4まとめと今後
第7章エレクトロニクス機器への応用(森浩之)
1はじめに
2取組みの経緯
2.1筐体への応用
2.2難燃性の向上
2.3成形性の向上
2.4非接触ICカードへの応用
3現状の課題
4今後の展開
第8章農業資材(伊藤正則)
1はじめに
2農業資材と生分解性プラスチック製品
3生分解性プラスチック製品の生分解性と「グリーンプラ認証マーク」
4生分解性プラスチックの種類
5生分解性マルチフィルムの機能について
6生分解性マルチフィルムの処方設計
7生分解性マルチフィルムメーカー
8(株)ユニックの取り組み状況
8.1生分解性マルチフィルムの開発経緯
8.2(株)ユニックの生分解性マルチフィルムの使用状況
8.2.1一般野菜栽培での生分解性マルチフィルムの使用状況
8.2.2葉たばこ栽培での生分解性マルチフィルムの使用状況
9生分解性マルチフィルムの規格
10環境に与える負荷(炭酸ガス発生量の試算・LCA評価)
11今後の課題と展開
12おわりに
【第4編 国内の動向】
第1章バイオベースポリマーに関する政府プロジェクト(江口有)
1はじめに
2科学技術基本法、第3期科学技術基本計画とバイオテクノロジー戦略大綱
3バイオマス・ニッポン総合戦略
4技術戦略マップ
5生物機能活用型循環産業システム創造プログラム
6個別プロジェクト―「バイオプロセス実用化開発プロジェクト」(NEDO)
7個別プロジェクト―「愛・地球博におけるバイオマスプラスチック利活用実証事業」(経済産業省)
8個別プロジェクト―海外でのバイオマス資源調査研究 (NEDO)
9個別プロジェクト―「木質資源循環利用技術の開発」(林野庁)
10バイオポリマーの認証
11おわりに
第2章国内バイオマスの利用状況(橋本和久)
1バイオマスとは
2バイオマス資源の賦存量
3バイオマス資源の利活用技術の現状
3.1エネルギー利用
3.2マテリアル利用
4バイオマス利活用の動向
4.1エネルギー利用の実例(実用化及び実証)
4.1.1直接燃焼の実例
4.1.2エタノール発酵の実証
4.1.3RDF発電
4.2マテリアル利用の実例(実証及び実用化)
4.2.1堆肥化、飼料化、建築資材化
4.2.2バイオマスベースプラスチック化
5国内市場規模の現状
6バイオプラスチックの市場予測
7まとめ

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