化合物薄膜太陽電池の最新技術
Recent Development of Thin Film Compound Semiconductor Photovoltaic Cells
[コードNo.2007T561]

■監修/ 和田隆博(龍谷大学 理工学部 教授)
■体裁/ B5判 284ページ
■発行/ 2007年 6月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

いよいよ商業化スタート!高効率・低コストで期待される化合物薄膜太陽電池、初の技術書!
化合物薄膜太陽電池の基礎・製造技術・評価技術・展開・海外動向、さらに多接合太陽電池や集光型太陽電池など超高効率太陽電池についても詳細に解説!
シリコン原料不足問題で急浮上!化合物薄膜太陽電池の全てが分かる一冊です!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

刊行にあたって
 20世紀末から太陽電池の普及は本格化し、21世紀の私たちの生活を支える主力エネルギー源の一つとして成長しつつあります。2006年には全世界で2,521MW、日本でも928MWの太陽電池が生産されました。現在生産されているほとんどの太陽電池は多結晶シリコン太陽電池や単結晶シリコン太陽電池で、薄膜シリコン太陽電池も約100MW生産されました。化合物系太陽電池では米国および欧州でCdTe系が36MW、CIS系が約5MW生産されました。しかし、2007年に入り昭和シェル石油が宮崎県で20MW/年規模で商業生産を開始し、2007年末にはホンダも熊本で同規模の生産を開始すると発表しています。昭和シェル石油とホンダの工場が本格的に立ち上がるとCIS太陽電池の生産量も飛躍的に増えると期待されます。また、超高効率太陽電池を用いた集光型太陽電池についても各国で実証試験が実施され、本格的な実用化一歩手前の段階です。
 このように世界規模で太陽光発電がエネルギー産業として成長している中で、太陽電池技術者の不足が、言われ始めました。先月、米国で開催された国際会議に出席した際に、長年CIS太陽電池の研究をして来られた大学教授が、最近の学生はすぐに会社(ほとんどは研究開発型のベンチャー企業)に就職してしまって、優秀な学生が研究室に残らないと、嘆いておられました。また、企業間でも経験のある技術者の引き抜きが活発で、どの企業も優秀な技術者の確保に苦労している、という話も耳にしました。
 そのような中で、欧米では学生、若い研究者・技術者がどんどん太陽光発電分野に参入しています。そして、彼ら若手研究者・技術者のための太陽光発電技術に関する書物が多数出版されるようになりました。それに比べて、日本の太陽電池分野の研究者・技術者育成の取り組みは十分とは言えないように思えます。特に、化合物系太陽電池の特殊性を考えると、専門書が全く出版されていないのは寂しい限りでした。
 今回、日本で初めて「化合物薄膜太陽電池」に関する専門書を出版することが出来たことは、この分野の今後の展開を考えると、大きな意味を持っていると自負しています。本書が化合物薄膜太陽電池に興味を持つ学生や若手技術者のお役にたてば幸いです。そして、少しでも日本の化合物薄膜太陽電池の発展に寄与することを期待しています。
(「はじめに」より)
2007年5月 監修者 和田隆博

執筆者一覧(執筆順)
和田隆博龍谷大学 理工学部 教授
小長井誠東京工業大学 大学院理工学研究科 教授
前田毅龍谷大学 理工学部
仁木栄(独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 副センター長
山田明東京工業大学 量子ナノエレクトロニクス研究センター 准教授
山田昭政(独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 化合物薄膜チーム テクニカルスタッフ
橋本泰宏松下電器産業(株) 先行デバイス開発センター 主任技師
峯元高志立命館大学 理工学部 電子光情報工学科 講師
根上卓之松下電器産業(株) 先行デバイス開発センター 主幹技師
櫛屋勝巳昭和シェル石油(株) ニュービジネスディベロップメント部 担当副部長 CIS開発グループ 主席研究員
菱川善博(独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 評価・システムチーム チーム長
寺田教男鹿児島大学 大学院理工学研究科 ナノ構造先端材料工学専攻 教授
櫻井岳暁筑波大学 大学院数理物質科学研究科 講師
秋本克洋筑波大学 大学院数理物質科学研究科 教授
外山利彦大阪大学 大学院基礎工学研究科 助教
花房彰松下電池工業(株) 人事グループ 参事
川北史朗(独)宇宙航空研究開発機構 総合技術研究本部 電源技術グループ 開発員
海川龍治龍谷大学 理工学部 電子情報学科 講師
橋本佳男信州大学 工学部 電気電子工学科 教授
片桐裕則長岡工業高等専門学校 電気電子システム工学科 教授
伊ア昌伸大阪市立工業研究所 無機薄膜研究室 研究主幹
西脇志朗Institute of Energy Conversion University of Delaware Researcher
大東威司(株)資源総合システム 調査研究部 部長
山口真史豊田工業大学 大学院工学研究科 主担当教授
高本達也シャープ(株) ソーラーシステム事業本部 次世代要素技術開発センター 第2開発室 室長
岡田至崇筑波大学 大学院数理物質科学研究科 電子・物理工学専攻 准教授
小島信晃豊田工業大学 大学院工学研究科 助教
今泉充(独)宇宙航空研究開発機構 総合技術研究本部 電源技術グループ 主任開発員
荒木建次大同特殊鋼(株) 研究開発本部 主任研究員

構成および内容
序章化合物薄膜太陽電池への期待(小長井誠)
1PV2030と化合物半導体
2材料的な魅力
2.1吸収係数
2.2可能性を秘めた多数の材料系
2.3粒界
2.4Inの資源の問題
3製造プロセスとしての魅力
4性能面での魅力
5宇宙応用における魅力
6むすび
第1章CIS太陽電池の基礎
1CIS太陽電池とは(和田隆博)
1.1CIS太陽電池の特徴
1.2CIS太陽電池の開発の歴史
1.3CIS太陽電池のデバイス構造
1.4CIS太陽電池のバンドプロファイル
1.5CIS太陽電池の高効率化
1.6CIS薄膜の形成方法
1.6.1多元蒸着法
1.6.2セレン化法
2CuInSe2の電子構造と格子欠陥(前田毅、和田隆博)
2.1CuInSe2および関連化合物の結晶構造
2.2第一原理計算によるCuInSe2および関連カルコパイライト型化合物の電子構造の評価
2.2.1はじめに
2.2.2計算方法
2.2.3各種カルコパイライト型化合物の格子定数
2.2.4各種カルコパイライト型化合物のバンドギャップ
2.2.5価電子帯(VBM)および伝導帯(CBM)
2.2.6sX-LDA(screened exchange LDA)法を用いたバンドギャップの評価
2.3第一原理計算によるCuInSe2および関連カルコパイライト型化合物の格子欠陥の評価
2.3.1はじめに
2.3.2計算方法
2.3.3単原子空孔の形成エネルギ−
2.3.4複合欠陥の形成エネルギ−
3多元蒸着法におけるCIS薄膜の成長機構(和田隆博)
3.1Cu過剰組成におけるCIS薄膜の成長
3.1.1はじめに
3.1.2Cu過剰組成におけるCuInSe2の結晶成長に関係する化合物
3.1.3Cu過剰組成のCIS薄膜
3.1.4Cu過剰組成のCuInSe2薄膜の断面TEM観察
3.1.5CuInSe2の薄膜成長機構
3.2In過剰組成でのCIGS薄膜の成長(3段階法の第2段階に相当)
3.2.1状態図
3.2.2In過剰組成におけるCuInSe2の結晶成長に関係する化合物
3.2.3In過剰組成でのCIGS薄膜の成長
3.3多元蒸着法におけるCuInSe2の結晶成長の特徴
第2章CIS太陽電池の製造プロセス
1ワイドギャップCIGS太陽電池(仁木栄)
1.1はじめに
1.2ワイドギャップCIGS太陽電池の必要性
1.3ワイドギャップCIGS太陽電池の高効率化
1.3.1成長その場観察技術
1.3.2水蒸気援用多元蒸着法
1.3.3界面・表面の評価技術
1.4まとめ
2全真空プロセスによるCIS太陽電池の作製(山田明)
2.1CIS薄膜の製造手法
2.2全真空プロセスによるCIS太陽電池の作製
2.3ドライプロセスを用いたバッファ層開発の現状
3非真空プロセスによるCIS太陽電池の作製(和田隆博)
3.1はじめに
3.2欧米における非真空プロセスの開発
3.3メカノケミカルプロセスとスクリ−ン印刷/焼結法を用いたCIS太陽電池の製造プロセス
第3章CIS太陽電池作製の要素技術
1スパッタ法によるMo裏面電極の形成(山田昭政)
2CIS膜の表面処理とCdS系バッファー層の形成(橋本泰宏)
2.1Cu(In,Ga)Se2膜の表面処理
2.2CdSバッファー層
3CIS太陽電池のデバイス設計とZn1-xMgxO窓層(峯元高志)
3.1はじめに
3.2バンドダイアグラムからの高効率化設計
3.3Zn1-xMgxOによるCBO制御と太陽電池特性
3.4まとめと今後の展望
4MOCVD法によるZnO系窓層の作製(山田明)
4.1MOCVD法によるZnOバッファ層
4.2Zn1-xMgxOバッファ層
4.3MOCVD法によるZn1-xMgxOバッファ層
第4章CIS太陽電池モジュールの作製技術
1蒸着法によるCIS太陽電池モジュールの作製(根上卓之)
1.1はじめに
1.2大面積形成技術
1.3高効率化技術
1.4蒸着法を用いたCIGS太陽電池モジュールの変換効率
1.5蒸着法で作製するCIGS太陽電池モジュールの今後の展開
2セレン化/硫化法によるCIS系薄膜太陽電池モジュールの作製(櫛屋勝巳)
2.1CIS系薄膜太陽電池モジュールの基本構造
2.2CIS系光吸収層作製法として「セレン化/硫化法」を採用する2社の技術動向(商業化の状況)
2.3昭和シェル石油/昭和シェルソーラーおよびSSG/AVANCISのCIS系薄膜太陽電池製造技術―構成薄膜層の大面積化技術
2.3.1p型CIS系光吸収層製膜技術
2.3.2n型薄膜層(透明導電膜窓層、高抵抗バッファ層)の大面積製膜技術
2.3.3集積構造形成のためのパターニング技術
2.3.4大面積・集積構造のCIS系薄膜太陽電池サブモジュール製造工程
2.3.5CIS系薄膜太陽電池のパッケージング技術
2.4まとめ
第5章CIS太陽電池の評価技術
1CIS太陽電池性能評価技術(菱川善博)
1.1はじめに
1.2太陽電池性能評価技術の概要
1.3測定結果に影響する主な要素
1.3.1ソーラシミュレータ光の調整
1.3.2基準太陽電池の選定
1.3.3照度ムラ・サンプル形状
1.3.4温度調節と温度測定
1.3.5IV測定
1.3.6温度・照度依存性
1.4CIS太陽電池に特有な性能評価技術
1.4.1光照射効果
1.4.2組成・構造の多様さ
1.5今後の課題
2CIGS太陽電池の電子構造評価(寺田教男)
2.1正・逆光電子分光によるCBD-CdS/CIGS界面バンド接続の評価
2.1.1逆光電子分光法
2.1.2バッファ層/CIGS層界面におけるバンド接続
2.2電子構造面内分布評価(結晶粒界の電子構造評価)
3CIGS太陽電池の電子物性評価(櫻井岳暁、秋本克洋)
3.1はじめに
3.2アドミッタンススペクトロスコピー法の測定原理
3.2.1測定原理
3.2.2アドミッタンススペクトロスコピー法と他の電気測定法の相違点
3.3CIGS太陽電池における欠陥準位と電子物性の相関
3.3.1アドミッタンススペクトロスコピー法を用いた欠陥準位の検出
3.3.2欠陥準位と電子物性の相関
3.3.3欠陥準位の起源
3.4まとめ
4時間分解フォトルミネッセンス(TRPL)法によるCIGS薄膜の評価(根上卓之)
4.1はじめに
4.2測定方法
4.3PL寿命と変換効率
4.4PL寿命のスペクトル依存性
4.5おわりに
第6章化合物薄膜太陽電池の展開
1高効率・低環境負荷型CdTe太陽電池(外山利彦)
2CdTe太陽電池サブモジュール(花房彰)
2.1サブモジュールの構造
2.2セル長とサブモジュール特性
2.3サブモジュール形成技術
2.3.1透明電極形成
2.3.2CdS薄膜形成
2.3.3CdTe膜形成
2.4サブモジュール特性
3CIGS太陽電池の宇宙応用(川北史朗)
3.1はじめに
3.2Cu(In,Ga)Se2薄膜太陽電池の放射線特性
3.3Cu(In,Ga)Se2薄膜太陽電池の宇宙実験
3.4まとめ
4高効率Cu(In,Ga)S2系太陽電池(海川龍治)
4.1はじめに
4.2Cu(In,Ga)S2薄膜太陽電池の特長
4.2.1Cu(In,Ga)S2薄膜太陽電池の構造
4.2.2Na添加の不要
4.2.3Gaの偏り
4.3Cu(In,Ga)S2光吸収層の作製法
4.3.1硫化法
4.3.2多元蒸着装置による2段階成長法
4.4ワイドギャップCu(In,Ga)S2太陽電池
4.5高効率化への課題
4.6おわりに
5硫化法によるCuInS2太陽電池の作製(橋本佳男)
5.1はじめに
5.2Cu過剰CuInS2薄膜へのKCN処理の効果
5.3CuInS2へのGa添加の効果
5.4まとめ
6Cu2ZnSnS4太陽電池(片桐裕則)
6.1はじめに
6.2CZTS薄膜とは?
6.3CZTS薄膜の作製
6.4CZTS薄膜の諸特性
6.5まとめ
7Cu2O系太陽電池(伊ア昌伸)
7.1はじめに
7.2亜酸化銅(Cu2O)と酸化銅(CuO)
7.3Cu2O形成方法
7.4Cu/Cu2Oショットキー型太陽電池
7.5Cu2O系ヘテロ接合型太陽電池
7.6おわりに
8海外の研究機関におけるCIS太陽電池の開発(西脇志朗)
8.1はじめに
8.2USA
8.2.1National Renewable Energy Laboratory
8.2.2Institute of Energy Conversion at University of Delaware
8.2.3大学内研究室
8.3ドイツ
8.3.1Hahn Meitner Institut Berlin GmbH
8.3.2Zentrum fur Sonnenenergie-und Wasserstoff-Forschung
8.3.3Institut fur Physikalische Electronik at Universtat Stuttgart
8.4スウェーデン
8.4.1Angstrom Solar Center at Uppsala University
8.5スイス
8.5.1Thin Film Physics Grope at Department of Physics,Laboratory for Solid state Physics,Eidgenossische Technische Hochschule Zurich
8.6フランス
8.6.1Laboratory of Electrochemistry and Analytical Chemistry at Ecole National Superieure de Paris
9海外企業におけるCIS及びCdTe太陽電池の開発(大東威司)
9.1はじめに
9.2アメリカの企業におけるCIS太陽電池の開発動向
9.2.1First Solar
9.2.2Global Solar Energy(GSE)
9.2.3DayStar Technologies
9.2.4Nanosolar
9.2.5Miasole
9.2.6Ascent Solar Technologies(AST)
9.2.7HelioVolt
9.2.8PrimeStar Solar
9.2.9SoloPower
9.2.10International Solar Electric Technology(ISET)
9.3ヨーロッパの企業におけるCIS太陽電池の開発動向
9.3.1Wurth Solar(ドイツ)
9.3.2Antec Solar(ドイツ)
9.3.3Avancis(ドイツ)
9.3.4Sulfurcell Solartechnik(ドイツ)
9.3.5Solibro(スウェーデン)
9.3.6Johanna Solar Technology(JST)(ドイツ)
9.3.7OderSun(ドイツ)
9.3.8Solarion(ドイツ)
9.3.9Scheuten Solar Systems(オランダ)
9.3.10Flisom(スイス)
9.3.11Arendi(イタリア)
9.3.12CIS Solartechnik(ドイツ)
9.3.13Solar Thin Films(STF)(ハンガリー)
9.4その他の企業におけるCIS太陽電池の開発動向
9.4.1Mayang Kukuh(マレーシア)
9.4.2Tenaga Mikro Sdn Bhd(マレーシア)
9.5まとめ
第7章超高効率太陽電池
1超高効率太陽電池の展望(山口真史)
1.1はじめに
1.2超高効率多接合太陽電池の研究開発の経緯
1.3超高効率太陽電池の今後の展望
2超高効率太陽電池の作製(高本達也)
2.1はじめに
2.2セル高効率化技術
2.2.1電流整合
2.2.2ワイドギャップトンネル接合
2.2.3格子整合
2.2.4Geセル量子効率向上
2.33接合太陽電池の製造プロセスと特性
2.4エピタキシャル単結晶薄膜太陽電池
2.5おわりに
3量子ナノ構造太陽電池(岡田至崇)
3.1量子ナノ効果と太陽電池への応用
3.2歪み補償成長法による量子ドット太陽電池作製技術
3.3むすび
4注目されるIII-V-N系太陽電池(山口真史、小島信晃)
4.1はじめに
4.2InGaAsNの太陽電池材料としての可能性
4.3InGaAsN材料を用いた太陽電池の現状と課題
4.4InGaN材料の太陽電池としての可能性、現状と課題
第8章超高効率太陽電池の展開
1超高効率太陽電池の宇宙応用(今泉充)
1.1はじめに
1.2宇宙用3接合太陽電池の出力特性
1.3宇宙用3接合太陽電池の放射線劣化特性
1.4放射線劣化の予測
2集光型太陽電池(荒木建次)
2.1集光型太陽電池の基本構成
2.2集光型太陽電池の歴史
2.3集光セルの基礎
2.3.1集光型太陽電池に適したセル
2.3.2集光セルの内部抵抗設計
2.3.3分布ダイオード効果
2.3.4多接合セルでの注意点
2.4集光型太陽電池の放熱
2.4.1集光放熱のための設計方程式
2.4.2集光型太陽電池の放熱設計例

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