食品・医薬品の味覚修飾技術
Taste Modification Technology of Food and Medicine
[コードNo.2007T597]

■監修/ 都甲潔(九州大学 教授)
内田享弘(武庫川女子大学 教授)
■体裁/ B5判 302ページ
■発行/ 2007年 9月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

めまぐるしく進歩する食品・医薬品の加工技術の動向をまとめた成書!
味・におい・テクスチャーにかかわるマスキング技術、改善技術の最新の成果を掲載!
日本が世界に先駆けて生み出したバイオミメティックデバイス(生体模倣機器)「味覚センサ」をはじめとする機器の原理と味覚データベースへの応用を解説!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

刊行にあたって
 本書は、めまぐるしく進歩する食品・医薬品の加工技術の最新動向について、その基礎から応用・適用例までを詳細かつ包括的に紹介することを意図し、企画され、総論編、味覚修飾編、におい修飾編、テクスチャー編、マスキング技術編、センサ技術編の計6編、17章から構成されている。
 まず総論編では、おいしさのしくみについて最新の科学が報告され、さらに医薬品の苦味にまつわる問題が提示される。味覚修飾編は、苦味、甘味、塩味など各味の抑制、誘導など、科学的にもマーケティング的にも興味ある現象に言及している。また、ここでは、今後の展開が期待される「においによる塩味増強」も紹介される。そして、近年いたるところで注目を集めている油脂の味についても、興味深い詳細な解説がなされる。
 続く編では、「におい修飾」というあまり耳慣れないが、今後重要となるであろう現象が、学と産の双方から紹介される。テクスチャー編は、おいしさとの関係、高齢化社会における重要性、そしてその改善方法等を詳述する。
 最後の2つの編では、食品・医薬品業界における、これら種々の味、におい、テクスチャーにかかわるマスキング技術、改善技術の最新の成果が紹介される。医薬品においては、官能的苦味マスキング、化学的苦味マスキング、物理的苦味マスキング手法が用いられており、その現状が詳しく紹介される。特に近年、味覚センサ、においセンサ、そしてテクスチャーを測る機器の発展が著しく、その原理と応用が詳細に述べられる。その中でも、味覚センサは日本が世界に先駆けて生み出したバイオミメティックデバイス(生体模倣機器)であり、今後、味を計測するグローバルスタンダードとしての成長が期待され、味覚データベースならびに味覚修飾への応用という意味でも、本書は他の成書とは一線を画すものとなった。最後の章は、これらの成果を踏まえ、「おいしさ」への展望が概観される。
 以上、本書は産学のそれぞれの分野の第一線で活躍している方々にご執筆頂いたものであり、食品・医薬品の研究開発あるいは実用化をめざす研究者、技術者、現場の方への適切な指南役となると確信している。さらに本書で紹介される知見はこれらの業界のみならず、環境衛生や香料食品業界へも多大なインパクトを与えるものである。また広く食に興味を抱く、たとえばマスコミ関係の方にも格好の参考書となるであろう。
(「はじめに」より一部抜粋)
2007年9月 都甲潔・内田亨弘

執筆者一覧(執筆順)
山本隆大阪大学 大学院歯学研究科 COE特任教授;畿央大学 健康科学研究所 客員教授
内田享弘武庫川女子大学 薬学部 臨床製剤学講座 教授
井元敏明鳥取大学 医学部 機能形態統御学講座 統合生理学分野 准教授
島村光治日本福祉大学 大学院福祉経営・人間環境研究科 研究生
下田満哉九州大学 大学院農学研究院 生物機能科学部門 教授
青山敏明日清オイリオグループ(株) 中央研究所 所長
東原和成東京大学 新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 准教授
岡部由美子(株)林原商事 L'プラザ
笠松千夏味の素(株) 食品カンパニー 加工食品開発・工業化センター 専任課長
舟木淳子福岡女子大学 人間環境学部 栄養健康科学科 准教授
池崎秀和(株)インテリジェントセンサーテクノロジー 代表取締役社長
岩田基数大日本住友製薬(株) 技術研究センター 製剤研究部 経口剤設計グループ グループマネージャー
徳山絵生武庫川女子大学 薬学部 臨床製剤学講座 助手
有馬英俊熊本大学 大学院医学薬学研究部 製剤設計学分野 教授
石黒貴子崇城大学 薬学部 臨床薬学研究室 講師
平山文俊崇城大学 薬学部 製剤学研究室 教授
上釜兼人崇城大学 薬学部 臨床薬学研究室 教授
入江徹美熊本大学 大学院医学薬学研究部 薬剤情報分析学分野 教授
坂本浩(株)パウレック 技術部 技術顧問
橋本佳己アステラス製薬(株) コーポレートIT部 課長
福居篤子(株)龍角散 開発技術本部 企画開発部 部長
花輪剛久山梨大学 医学部附属病院 薬剤部 准教授;薬剤部 副部長
都甲潔九州大学 大学院システム情報科学研究院 教授
小柳道啓(株)味香り戦略研究所 代表取締役社長
荒谷和博(株)味香り戦略研究所 研究開発事業部 研究所 所長
南戸秀仁金沢工業大学 高度材料科学研究開発センター 所長;教授
東輝明ニッタ(株) RETS事業部 センサーグループ リーダー 部長
山野善正(社)おいしさの科学研究所 所長;香川大学 名誉教授

構成および内容
【総論編】
第1章おいしさのしくみ(山本隆)
1おいしさとは?
2おいしさを生じる感覚要素
3味覚のしくみ
4味の感受性
5味覚の学習と行動
6味覚とおいしさ
7おいしさと脳内物質
8おいしさを感じる脳部位
9おいしさを求める(報酬系の働き)
10おいしさと摂食亢進(オレキシンの作用)
11おいしさと生理機能
12おいしさと健康長寿
第2章医薬品の味について(内田享弘)
1苦味について
2各種苦味マスキング法
3物性からの苦味予測
4味センサを用いた薬物放出性の予測
【味覚修飾編】
第3章味覚修飾現象
1苦味の修飾(井元敏明)
1.1はじめに
1.2苦味受容のしくみ
1.2.1苦味物質
1.2.2苦味の受容体
1.3苦味の修飾
1.3.1苦味抑制物質
1.3.2ストレスと苦味
1.3.3加齢と苦味
1.4おわりに
2甘味誘導(島村光治)
2.1味覚修飾植物・味覚修飾物質の紹介
2.1.1酸味を甘く感じさせるミラクルフルーツ
2.1.2酸味と水を甘く感じさせるクルクリゴ
2.1.3水を甘く感じさせるストロジン
2.2味覚修飾植物の応用法
2.2.1食育の教材として
2.2.2糖分の制限が必要な方への利用
2.2.3ミラクルフルーツの加工技術
2.2.4ミラクルフルーツの特性を利用した食材づくり
2.2.5地域おこしの食材として
2.3味覚修飾植物の将来
3甘味抑制、塩味制御など、その他の味覚修飾現象(山本隆)
3.1甘味抑制
3.1.1甘味物質の種類
3.1.2甘味受容機構
3.1.3甘味抑制物質
3.2塩味抑制
3.2.1塩味受容機構
3.2.2塩味抑制
3.2.3塩味代替物質
3.3その他の味覚修飾現象
4においによる塩味増強(下田満哉)
4.1はじめに
4.2醤油の塩辛いにおい
4.3食塩嗜好
4.4味覚と嗅覚の連携
4.5醤油の香り
第4章油脂の「味」と「おいしさ」(青山敏明)
1はじめに
2油脂は糖質やたんぱく質に比べ、そのままでは明確な「味」は感じない
3油脂は糖質やたんぱく質に比べ、消化吸収経路が異なる
4油脂は糖質やたんぱく質に比べ、カロリー(エネルギー価)が高い
5油脂の「おいしさ」を感じるメカニズム
5.1油脂の美味しさは通常の味覚と異なる
5.2油脂は口の別部位で認識される
5.3動物は油脂に執着する
6食品における油脂の美味しさ
6.1植物油の風味
6.1.1一般の植物油
6.1.2風味の良い天然植物油
6.1.3油の加熱で風味を生じる
6.2油が素材に含まれる食品の風味
6.3油で調理した食品の風味
6.3.1炒め
6.3.2揚げ
6.3.3フライの理論
6.3.4和え
6.4油の製菓、製パンでの用途
6.4.1加工手段としてのフライ
6.4.2練り込み
6.4.3離型とツヤ出し
7おわりに
【におい修飾編】
第5章匂いの受容と修飾のメカニズム(東原和成)
1匂いの受容メカニズム
1.1匂い受容体遺伝子
1.2嗅覚受容体の構造と機能
1.3嗅神経細胞での匂い情報伝達機構
1.4匂い分子と嗅覚受容体の関係
1.5嗅球でのにおい地図
2匂いの修飾メカニズム
2.1唾液・鼻粘液中でのにおいの創生・分解・反応
2.2匂い分子による受容体の阻害―アンタゴニズム―
2.3匂い経路の脱感作と嗅神経細胞の順応
2.4匂いの内分泌系への影響とホルモンによる匂い感受性変化
第6章トレハロースとおいしさの維持―臭い抑制と食感改善―(岡部由美子)
1はじめに
2トレハロース
3臭みの抑制
3.1脂質の変敗抑制
3.2鶏肉加熱臭の抑制
3.3魚臭の抑制
3.4乳加熱臭の抑制
3.5焼き菓子の脂質変敗臭の抑制
4食感の改善
4.1澱粉の老化抑制
4.2蛋白質の変性抑制
5矯味矯臭効果
6おわりに
【テクスチャー編】
第7章テクスチャーで決まるおいしさ(笠松千夏)
1テクスチャーと物性
2テクスチャーを評価する用語
3調理とテクスチャー
4食品成分とテクスチャー
4.1水分
4.2たんぱく質
4.3多糖類
4.4脂質
5高齢者用食品とテクスチャー
第8章テクスチャーの改善(舟木淳子)
1酵素を用いたテクスチャーの改善
2牛肉のテクスチャーの改善
2.1牛肉の軟化
2.2パパインによる牛肉の軟化とオリザシスタチンによる制御
3小麦粉製品のテクスチャーの改善
3.1小麦粉製品とグルテン
3.2パパインによるグルテンの修飾
3.3GST-progliadainによるグルテンの修飾
4テクスチャー改善への酵素の利用の今後
【マスキング技術編】
第9章食品におけるマスキング技術(池崎秀和)
1はじめに
2味覚センサの概要
3おいしさに関連する味の項目
3.1味のキレ・持続性の評価
3.2コク・雑味の評価
3.3とろみの影響
3.4油の影響
3.5温度による味への影響
3.6苦味のマスキング効果
4おわりに
第10章医薬品におけるマスキング技術
1官能的苦味マスキング(岩田基数)
1.1矯味剤による医薬品の苦味マスキング
1.2甘味剤による苦味マスキング
1.3酸味剤による苦味マスキング
1.4矯味剤による経口液剤の苦味マスキング
1.4.1苦味の官能的評価法
1.4.2硫酸キニーネを薬物モデルに用いた苦味マスキング例
1.5フレーバー及び味の濃淡による服用感の改善
1.6矯味剤を用いた錠剤の苦味マスキング
1.7課題と今後の展望
2アミノ酸類の苦味抑制―受容体遮断薬、L-OrnおよびL-Argの苦味抑制効果―(徳山絵生、内田享弘)
2.1はじめに
2.2既存の苦味抑制物質の効果
2.3BCAA溶液に対するL-OrnまたはL-Argの苦味抑制効果
2.3.1L-OrnおよびL-Argについて
2.3.2基性アミノ酸による苦味抑制効果(官能試験、味センサ測定)
2.4おわりに
第11章化学的苦味マスキング(有馬英俊、石黒貴子、平山文俊、上釜兼人、入江徹美)
1はじめに
2プロドラッグ化
2.1クロラムフェニコールパルミチン酸エステル
2.2クリンダマイシンパルミチン酸エステル塩酸塩
2.3エチル炭酸キニーネ
2.4タンニン酸ジフェンヒドラミン
2.5タンニン酸ベルベリン
3包接化合物
3.1CyDと薬物との相互作用
3.2薬物のCyDとの複合体形成による薬物の苦味軽減効果
3.3薬物のCyDとの複合体形成による食品の苦味軽減効果
3.4味細胞膜に対するCyDの作用による苦味軽減効果
4おわりに
第12章物理的苦味マスキング
1微粒子コーティング法(坂本浩)
1.1はじめに
1.2医薬品における粒子設計
1.2.1原薬微粒子の粒子加工
1.2.2粉体物性と核粒子の調製
1.3装置構造と操作条件
1.3.1流動層による造粒・コーティング機構
1.3.2装置の構造と特徴
1.3.3原薬の粒体物性に関係する因子
1.4原薬微粒子の予備造粒・苦味マスク事例
1.5健康食品産業における粒子設計
1.6おわりに
2マイクロスフェア化(内田享弘、橋本佳己)
2.1はじめに
2.2エマルション溶媒留去法
2.3スプレードライ法
2.4ヒト官能試験による苦味強度の決定
3服薬補助ゼリー製剤”おくすり飲めたね”(福居篤子)
3.1服薬を補助するゼリーの開発目的
3.2医療現場の実態
3.3有効性、安全性の確認
3.3.1崩壊試験、溶出試験
3.3.2使用評価試験(健常人および高齢者)
3.3.3レントゲン透視撮影(健常人および嚥下困難者)
3.4小児向け製品”おくすり飲めたね”の開発
3.5苦味の強い薬剤に適する”おくすり飲めたね”の開発
3.6苦味マスキング評価
3.6.1評価方法(人による味覚試験と味センサでの比較)
3.7おわりに
4院内製剤(臨床製剤)(花輪剛久)
4.1院内製剤(臨床製剤)について
4.2常用院内製剤と特殊院内製剤
4.3臨床製剤の問題点
4.4市販菓子用即時型ゲル基剤による苦味マスキング効果
4.5フレーバーによる苦味マスキング効果
4.6ベネコート®による苦味マスキング効果
4.7食品を利用した苦味マスキング効果
4.8ビタミンC添加による味覚改善効果
4.9種々のフレーバーミクスをトローチ剤の矯味剤として使用した例
4.10矯味剤と調剤器具に残留した重曹との相互作用
第13章においマスキング(内田享弘、橋本佳己)
1はじめに
2電子嗅覚システム
3ドリンク剤の電子嗅覚システムによる予測
4L-システインを含有する各種錠剤における不快臭の電子嗅覚システムによる予測
5電子味識別システムにおけるユークリッド距離の苦味マスキング効果の評価への応用
6おわりに
【センサ技術編】
第14章味覚センサ
1概論(都甲潔)
1.1はじめに
1.2味覚センサ
1.3コーヒー牛乳=麦茶+牛乳+砂糖
1.4食品の味
1.5医薬品の苦味
1.6バーチャルテイスト
1.7ポータブル味覚センサ
1.8おわりに
2味覚データベース(小柳道啓、荒谷和博)
2.1味データベースの現在と将来展望
2.2味データベースの活用例1〜商品開発における活用
2.3味データベースの活用例2〜POSデータとの連結
2.4味データベースの活用例3〜商品紹介への応用
2.5味データベースの活用例4〜消費者向けサービス
2.6味データベースの活用例5〜学術的な利用
2.7味データベースの将来展望
3医薬品へのセンサの応用(徳山絵生、内田享弘)
3.1はじめに
3.2味センサの原理
3.2.1塩基性薬物の苦味の定量化
3.2.2抗生剤の苦味評価
3.2.3アミノ酸類・成分栄養剤における苦味定量への利用
3.3センサの苦味マスキング評価への利用
3.4糖類応答センサを利用した甘味物質によるファモチジンの苦味抑制効果の評価
3.5おわりに
第15章においセンサ
1においセンサの開発現状(南戸秀仁)
1.1はじめに
1.2においの計測
1.3エレクトロニックノーズシステム
1.4におい検出のための各種ケモセンサの原理
1.5エレクトロニックノーズシステムの食品・医療分野への応用
1.6おわりに
2においセンサの発展(都甲潔)
2.1はじめに
2.2測定原理と方法
2.3においの立体模型
第16章テクスチャーを測る機器
1機器全般(主としてテクスチャーアナライザ)(笠松千夏)
1.1基礎的方法
1.2経験的方法
1.3模擬的方法
1.4破断特性(硬さ、付着性、凝集性)に及ぼす測定条件の影響
2食感センサシステム「Mscan」(東輝明)
2.1はじめに
2.2触覚センサの食品分野への展開
2.3食感センサシステム高速化の現実
2.3.1高速化の意義
2.3.2フィルム式圧力分布センサシステムの構造と特徴
2.3.3高速サンプリングシステム
2.3.4高速サンプリングシステムの検証
2.4食感センサシステム「Mscan」の概要
2.4.1食感センサシートの仕様
2.4.2食品咀嚼試験について
2.4.3現場用MscanIVの現状
第17章おいしさを求めて(山野善正)
1はじめに
2旅とおいしさ―地域と食文化―
3幼少時の体験
4日本人の食のしきたり
5おいしさに方程式はあるのか
6テクスチャーとオノマトペ
7今後のおいしさの研究の展望

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