先端材料開発における振動分光分析法の応用
Application of Vibrational Sectroscopy in Advanced Material Development
[コードNo.2007T606]

■編集/ 西岡利勝(群馬大学)
錦田晃一(Thermo Fisher Scientific)
尾崎幸洋(関西学院大学)
■体裁/ B5判 298ページ
■発行/ 2007年 11月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

ナノ材料、ナノエレクトロニクス、ナノバイオテクノロジー実用化研究のための振動分光分析技術の最先端!!
先端材料開発のための赤外分光法・ラマン分光法・近赤外分光法・テラヘルツ分光法の分析とイメージング技術応用の全容!!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

監修のことば
 振動分光法は分子の振動に基づく分光法である。振動分光法は分子分光法の中でももっとも普遍性のある分光法の一つであるが、振動分光法が役に立つのは、振動スペクトルが分子内の原子核の配置や化学結合の様式、あるいは分子とその周辺の環境との相互作用を敏感に反映するからである。振動スペクトルは分子を同定する"指紋"にもなれば、化学的諸性質を調べる”指針”にもなる。
 振動スペクトルを与える代表的な分光法には、赤外分光法、ラマン分光法、近赤外分光法があり、さらに最近注目されているテラヘルツ分光法も振動分光法の一つとして考えられるので、4つの方法があるといえる。
 原理的に振動分光法を分類すると、赤外分光法や近赤外分光法のように主に光の吸収、反射に関係する分光法と、ラマン分光法のように光の散乱に関係するものに分けられる。4つの分析法はそれぞれ独特の個性をもつ。近赤外分光法はもっぱら分子の振動の倍音、結合音を扱う。一方、赤外分光法は、主に分子の振動の基本音を扱う。
 近年、材料・素材、エレクトロニクス、バイオテクノロジー、エネルギーなどの分野でナノテクノロジーを利用した実用化研究が急速に進展している。それぞれの振動分光法は、これまで種々の材料分析に応用されてきたが、最近ではサブμmの空間分解能を有する顕微ラマンや10μm程度の空間分解能を有する顕微赤外が普及し、また官能基のイメージング計測も高度化して先端材料開発研究における未解明現象解析などに欠くことのできない重要な分析ツールとなってきた。
 本書籍は企業、大学等で先端材料開発研究に従事している研究者や材料開発を支えている分光分析研究者に最新の分析技術情報を提供することにある。関係各位のご購読をおすすめする。
(シーエムシー出版 編集部)

執筆者一覧
尾崎幸洋関西学院大学 理工学部 教授
北濱康孝関西学院大学 理工学研究科 博士研究員
錦田晃一Thermo Fisher Scientific 研究開発部 主席研究員
青木靖仁(株)東レリサーチセンター 構造化学研究部 構造化学第2研究室 室員
西川雄司コニカミノルタテクノロジーセンター(株) 先端材料技術研究所 分析技術室 係長
貝原巳樹雄一関工業高等専門学校 物質化学工学科 教授
西岡利勝群馬大学 産学連携・先端研究推進機構共同研究イノベーションセンター 客員教授
由井宏治東京理科大学大学院 理学研究科 化学専攻 講師
村山哲東京理科大学大学院 理学研究科 化学専攻 大学院生
片山清和出光興産(株) 化学品研究所 研究員
河辺雅義日東電工(株) 基幹技術センター 信頼性評価技術部 シニアマスター
古川行夫早稲田大学 先進理工学部 化学・生命化学科 教授
村木直樹(株)東レリサーチセンター 構造化学研究部 構造化学第2研究室 室長
小松守サーモフィッシャーサイエンティフィック(株) スペクトロスコピー営業本部 応用技術部 IR/Raman アソシエイトマネージャ
山口央東北大学 大学院理学研究科 化学専攻 助教
寺前紀夫東北大学 大学院理学研究科 化学専攻 教授
佐藤英司(株)東京インスツルメンツ 商品開発室 主任
池本夕佳(財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 副主幹研究員
Liqiang LuoShanghai University Department of Chemistry,College of Sciences 助教授
丸山芳弘浜松ホトニクス(株) 筑波研究所 部員
二又政之(独)産業技術総合研究所 界面ナノアーキテクトニクス研究センター 主任研究員

構成および内容
第1章赤外、ラマン分光法の基礎(尾崎幸洋、北濱康孝)
1はじめに
2分子の振動
2.1基準振動
2.2二原子分子の振動の古典力学的計算
2.3基準振動と振動スペクトル
2.4分子振動の量子力学的取り扱い
2.5非調和性
2.6グループ振動
2.7赤外、ラマン分光法の選択率
3赤外分光法
3.1赤外分光法とは
3.2赤外分光法の特徴
3.3赤外分光法からどんなことがわかるか
3.4最近の赤外分光法の進歩
4ラマン分光法
4.1ラマン分光法の原理
4.2ラマン分光法の特色と応用
4.3ラマン分光法の歴史的発展
4.4ラマン散乱の古典論による説明
4.5いろいろなラマン散乱法
4.5.1共鳴ラマン散乱法
4.5.2表面増強ラマン散乱(Surface Enhanced Raman Scattering;SERS)
4.5.3近赤外ラマン分光法
4.5.4紫外ラマン分光法
5振動スペクトル解析法
第2章顕微赤外イメージングと顕微ラマンイメージング(錦田晃一)
1はじめに
2ハードウエアー
2.1顕微赤外イメージングシステム
2.1.1装置の概要
2.2顕微ラマンイメージングシステム
2.2.1装置の概要
3ソフトウエアー
3.1システムの校正
3.2イメージングにおけるデータ及びデータ処理
3.2.1スペクトルデータ
3.2.2スペクトルデータ処理
3.2.3イメージ表示
3.2.4画像処理
3.2.5イメージ解析
3.2.6統計・多変量解析
第3章先端材料開発における赤外分光法の応用
1赤外、ラマン分光法を用いた燃料電池関連材料の構造解析(青木靖仁)
1.1はじめに
1.2赤外およびラマン分光法を用いた燃料電池材料の分析
1.3Nafion®の赤外およびラマンスペクトル
1.4運転試験に伴う電解質膜の構造変化
1.5モデル劣化試験について
1.6運転試験に伴う触媒層の構造変化
1.7触媒担持炭素の構造変化
1.8まとめ
2圧縮変調-ATR-DIRLD法の概要―高分子材料の存在状態の解明―(西川雄司)
2.1はじめに
2.2圧縮変調によるATR-DIRLD法を実現するための要点
2.2.1プリズムの選択と固定機構の考案
2.2.2圧縮変調システムの構築
2.3ポリエチレンテレフタレートのATR-DIRLDスペクトル
2.42次元相関解析法(2D-IR)による存在状態の解明
2.4.11軸延伸PET、およびポリイミドの2D-IR-Sequential Analysis
2.5分子軌道法(DFT analysis)による振動解析と動的応答スペクトル挙動の解明
2.6まとめ
3逆問題解析と森林学習法の応用―触媒の挙動解析からスペクトルの定性的な観方まで―(貝原巳樹雄)
3.1はじめに
3.2多変量スペクトル分離(MCR:Multivariate curve resolution)
3.3Ru触媒によるカルボニル化反応の解析
3.4拡散反射スペクトルの抽出
3.5森林学習法について
3.6石炭の酸素含有率推定法
3.7石炭スペクトルの定性的な観方について
4二次元相関分光法によるポリマーブレンドの分光学的研究:アタックチックポリスチレン/ポリフェニレンエーテルブレンドの立体配座変化と特殊な相互作用(西岡利勝)
4.1はじめに
4.2理論的背景
4.3実験
4.3.1試料
4.3.2赤外吸収スペクトル測定と二次元赤外相関解析
4.3.3FT-ラマンスペクトル測定と二次元FT-ラマン相関解析
4.4二次元赤外相関分光法による解析
4.4.1PS/PPE混合物の相互作用スペクトル
4.4.2ポリマーブレンドの二次元相関解析の背景
4.4.3CH伸縮振動バンド
4.4.41630cm−1〜1570cm−1領域の環バンド
4.4.51510cm−1〜1400cm−1領域の環バンド
4.4.61200cm−1付近のエーテルバンド
4.4.7アリル"in-phase"CH縦ゆれバンド
4.5二次元FT−ラマン相関分光法による解析
4.5.1セットAの二次元相関スペクトル
4.5.2セットBの二次元相関スペクトル
5偏光変調高感度反射赤外分光法を用いた配向性分子薄膜の分析(由井宏治、村山哲)
5.1PM-IRRASとは
5.2PM-IRRASの歴史
5.3PM-IRRASの原理
5.4PM-IRRAS測定の実際
5.5PM-IRRASの応用
5.6今後の展望
第4章先端材料開発における顕微赤外イメージングの応用
1顕微赤外イメージングによるハイインパクトポリプロピレン粒子内のエチレン-プロピレン共重合体の組成分布解析(西岡利勝、片山清和)
1.1はじめに
1.2顕微赤外イメージングの概要
1.2.1FT-IRにオートステージ付の赤外顕微鏡(単素子の検出器)を組み合わせた装置による測定
1.2.2FT-IRに赤外顕微鏡としてリニアアレイ検出器(多素子の検出器)を備えた装置による測定
1.3実験
1.3.1試料
1.3.2顕微FT-IR装置
1.3.3ハイインパクトPPパウダ一切片の切り出し
1.3.4顕微赤外イメージングによるハイインパクトPPパウダーのエチレン濃度分布測定
1.4結果と考察
1.4.1触媒Aを用いてスラリー重合法により合成されたハイインパクトPPパウダーのエチレン濃度分布
1.4.2触媒Bを用いてスラリー重合法により合成されたハイインパクトPPパウダーのエチレン濃度分布
1.4.3触媒Cを用いて気相重合法により合成されたハイインパクトPPパウダーのエチレン濃度分布
1.4.4Spring-8における触媒Cを用いて気相重合法により製造されたハイインパクトPPパウダーのエチレン濃度分布
1.4.5リニアアレイ検出器を搭載した顕微FT-IR装置によるイメージング測定
2顕微からマクロまでFT-IRイメージング法などによる高分子材料解析(河辺雅義)
2.1はじめに
2.2顕微FT-IRイメージング法の適用事例
2.2.1フィルム内部の可塑剤分布解析への適用事例
2.2.2基材フィルムの促進劣化評価への適用事例
2.2.3サンプリングできない異物分布への適用事例
2.3マクロFTIR-ATRイメージング法の適用事例
2.3.1表面欠陥評価への適用事例
2.3.2混練分散評価への適用事例
2.3.3工程内着色異物解析への適用事例
2.3.4熱ダメージ解析への適用事例
2.4精密斜め切削(SAICAS®)法との組み合わせ分析事例
2.5おわりに
第5章先端材料開発におけるラマン分光法の応用
1赤外・ラマン分光の有機電子デバイスへの応用(古川行夫)
1.1はじめに
1.2有機EL
1.2.1結晶/アモルファス状態
1.2.2導電性高分子のドーピング状態
1.2.3ブラックスポット
1.2.4有機層の温度計測
1.3有機薄膜トランジスタ
1.3.1キャリアのその場観測
2ラマン分光法による高分子材料の構造解析(村木直樹)
2.1はじめに
2.2ラマン分光法のポリエチレンテレフタレートの構造解析への応用例
2.2.1顕微ラマンによる組成分析
2.2.2ラマン分光法によるPETの配向解析
2.2.3ラマン分光法によるPETの結晶性解析
2.2.4熱走査ラマン分光法によるPETの高次構造解析
2.3近赤外顕微ラマン分光法によるポリイミドの構造評価
2.3.1近赤外顕微ラマン分光法の装置
2.3.2ポリイミドフィルムの配向解析
2.3.3ポリイミドフィルムの亀裂部変形領域の構造評価
2.3.4ポリイミドフィルムのアルカリ加水分解領域の評価
2.3.5近赤外励起熱走査ラマン分光法によるイミド化反応の追跡
2.4分光学的手法による高分子半導体パッケージの残留応力評価解析
2.4.1分光学的手法による残留応力評価の原理
2.4.2BGA型モデルパッケージの残留応力分布評価
2.5おわりに
3顕微ラマンコンフォーカル機能、Real Time Kineticsなどの応用(小松守)
3.1はじめに
3.2コンフォーカル(共焦点)レーザ顕微鏡
3.3顕微ラマンの光学系
3.3.1コンフォーカルアパーチャ
3.3.2対物レンズの機能
3.4コンフォーカルによる深さ分析の注意
3.4.1ラマン活性の強い層の影響
3.4.2レーザを吸収・発熱する層がある場合
3.4.3レーザを反射する層がある場合
3.4.4深さによる空間分解能の違い
3.4.5表面の細かい凹凸の影響
3.4.6フォトブリーチング
3.5分析深さの計算
3.5.1中間層の屈折率の求め方
3.6コンフォーカル機能を用いた深さ分析:例1
3.6.1ラミネートフィルムの分析
3.7コンフォーカル機能を用いた深さ分析:例2
3.7.1ガラス中の異物の分析
3.8コンフォーカル機能を用いた深さ分析:例3
3.8.1UV硬化性樹脂の分析
3.9結晶性、配向性試料についての考察
3.9.1結晶性の分析
3.9.2配向性の分析
3.9.3コンフォーカルと高空間分解能
3.10結晶性の分析例:PET樹脂の白濁
3.11配向性の分析例:延伸樹脂の評価
3.12コンフォーカル機能と断面作成による深さ分析の違い
3.12.1断面作成の考察
3.13断面を作成した場合の深さ分析:例1
3.13.1接着層の分析
3.14Real Time Kinetics
3.15装置
3.16Real Time Kinetics分析:例1
3.16.1コンビナトリアルビーズ
3.17Real Time Kinetics分析:例2
3.17.1接着剤の硬化反応分析
4金属ナノ構造と表面増強ラマン(山口央、寺前紀夫)
4.1はじめに
4.2金属ナノ構造体の作製
4.2.1光リソグラフィー
4.2.2溶液内還元反応
4.2.3多孔性材料を用いた鋳型合成
4.2.4微粒子配列構造を用いた鋳型合成
4.3金属ナノ構造体からのSERS
4.3.1金属ナノ構造体アレイからのSERS
4.3.2単一銀微粒子からのSERS
4.3.3金属微粒子集合体からのSERS
4.4おわりに
第6章顕微ラマンイメージングの応用(佐藤英司)
1はじめに
2顕微ラマン分光装置Nanofinder®30
2.1ハードウエア
2.2ソフトウエア
2.3空間分解能
2.4スペクトル分解能
3測定例
3.12次元イメージング
3.1.1Si/SiO2サンプルのひずみ分布
3.1.2レーザー照射したアモルファスSi薄膜の結晶構造
3.23次元イメージング
3.2.1ポリスチレンビーズの3次元イメージ
3.2.2フェムト秒レーザーにより内部加工されたSm3+ドープフッ化物ガラス
3.2.3CVD成膜したダイヤモンドアレイ
3.3同時イメージング
3.3.1光学イメージ+フォトルミネッセンス(PL)イメージ
3.3.2AFMイメージ+ラマンイメージ
4まとめ
第7章先端材料分析の現状と展望
1赤外放射光を用いた顕微分光(池本夕佳)
1.1はじめに
1.2赤外放射光の特徴
1.3赤外放射光のノイズ
1.4顕微分光ステーション
1.5利用例
1.6おわりに
2近接場振動分光法(Liqiang Luo、丸山芳弘、二又政之)
2.1はじめに
2.2SERSおよびSEIRAについて
2.2.1単一分子感度SERS研究の現状
2.2.2SEIRAの現状
2.3近接場振動分光
2.3.1近接場光学とは
2.3.2近接場光学と振動分光の複合
2.3.3近接場振動分光の機能性材料化学への適用
2.4まとめ

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