創薬支援研究の展望
Hilight in Medicinal and Process Research
[コードNo.2008S760]

■監修/ 鳥澤保廣(高崎健康福祉大学 教授)
■体裁/ B5判 222ページ
■発行/ 2008年 2月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 21,000円(税込価格)

プロセスケミストリーとメディシナルケミストリーの両面から、思考のドッキングを探る、最新の解説書!
FBDD、タミフルの化学など最新の話題から、現実のプロセス論に至るまで、独自のアンテナで幅広いテーマを収載!
現場に立たれている方、スクリーニングへの参入を考えている方、いろいろな段階の方へアピールする「創薬」の話題が全面に展開!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

刊行のねらい
 創薬研究は多種多様な化合物、誘導体を扱う有機合成化学研究である。加えて厳しい競合から勝ち上がるために、スピード、あるいはタイムリー性というべきものも求められる。新規化合物、あるいは既知化合物のどこに突破口があるかわからない。従って既存の考え、自前のコンセプトから脱却し、ランダムなスクリーニングとセレンディピティの中に新薬の糸口を求めるのもストラテジーの一つになる。新薬誕生の歴史において、セレンディピティの果たした役割は大きなものである。
 本書の刊行にあたっては自由な議論、あるいはランダムな発想の中から何か新しい芽を見つけていただけないかと思い、メディシナル研究とプロセス研究の両方の話題を一つの書籍の中に配列してみた。創薬に何より必要な自由な空気と議論を集めてみた。小さな源泉を集めて、わかりやすく解説したり、展望をしたりすることは重要であると同時に、楽しいことである。終わった話をもう一度色を塗り替え、無理に既存の結論に押し込めないで話を作ってみたりすることも、次のステップへの刺激になることがある。本解説書は、『ローカルな情報を発信して次の新たな議論に火をつけたい』という趣旨を持っている。
 さらに創薬では学術性がなくても有用な議論はたくさんあるし、話題は尽きない。無理な議論をする必要はないが、無駄に終わっても話しておくべきことはある。今回の創薬談義では、日頃は話せない独断、ハイポセシス、そして自信を持って紹介できる技術、または切なる願望などを日本語で分かりやすく書いていただき、素人にも分かる創薬研究の解説書を目指した。
 さて、最近FBDD(Fragment-Based Drug Discovery)という言葉で表された、フラグメント(小分子)構造からの地道な分子構築による創薬がにわかに注目を集めている。本書にも解説されているFBDD型研究はこれまでの創薬研究を統合するような、また足りなかった部分を埋め合わせるような研究活動であり、小分子へのこだわりからの創薬研究である。この小分子を出発原料として分子修飾を行い、ターゲットに行き着くというスタイルは創薬研究も、プロセス研究も同じであるということを示していないだろうか。これまで、創薬は創薬の中だけで、プロセスはプロセスの中だけで見てきたが、それらをまとめて、ひとつのものとして見ることも重要なのではないだろうか。本書はそのような、思考のドッキングを目指すものでもある。

 本書が、小さな化合物を幅広い視野から眺める一助になる事を望んでいる。
(「はじめに」より)
平成20年2月 鳥澤保廣

執筆者一覧
鳥澤保廣高崎健康福祉大学 薬学部 教授
石川稔明治製菓(株) 医薬総合研究所 化学研究所 化学合成研究室 研究員
味戸慶一明治製菓(株) 医薬総合研究所 部長
池田潔静岡県立大学 薬学部 准教授
佐藤雅之静岡県立大学 薬学部 教授
荻原琢男高崎健康福祉大学 薬学部 教授
森本かおり高崎健康福祉大学 薬学部 講師
玉井郁巳東京理科大学 薬学部 教授
佐藤文憲大日本住友製薬(株) 化学研究所 化学第3研究部 部長
小澤道律大日本住友製薬(株) 化学研究所 化学第1研究部
松下正行中外製薬(株) 研究本部 化学研究第二部 主席研究員
北山隆近畿大学 農学部 バイオサイエンス学科 准教授
馬場良泰塩野義製薬(株) 創薬研究所 主任研究員
宍戸宏造徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 創薬科学専攻 薬科学講座 天然分子構築薬学分野 教授
門口直仁徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 薬物情報解析学講座 病態神経薬学分野
高木翔徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 薬物情報解析学講座 病態神経薬学分野
荒木勉徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 薬物情報解析学講座 病態神経薬学分野 教授
小川英則大塚製薬(株) Q‘s研究所 合成室 室長
田中大輔大日本住友製薬(株) 化学研究所 化学第一研究部 上級研究員
澤匡明カルナバイオサイエンス(株) 化学研究部長
間瀬暢之静岡大学 工学部 物質工学科 准教授
高部圀彦静岡大学 工学部 物質工学科 教授
窪田周平日本農薬(株) 技術開発部 合成技術グループ 専任次長
水船秀哉武田薬品工業(株) 製薬本部 CMC研究センター 製薬研究所 主席研究員
花崎保彰東ソー有機化学(株) 研究開発室 室長
保原智北興化学工業(株) 化成品研究所 合成研究室 室長
内堀幸隆張家港北興化工有限公司 副総経理
須貝威慶應義塾大学 理工学部 准教授
濱田学慶應義塾大学 大学院理工学研究科
水野卓巳大阪市立工業研究所 研究副主幹
渡辺澄日本ゼオン(株) 化学品事業部 化学品販売部 課長
小池晴夫日亜薬品工業(株) 代表取締役社長
杉岡智教日亜薬品工業(株) 合成研究室 室長
山川一義富士フイルム(株) 化成品事業部 技術担当部長
橋康弘(株)DNPファインケミカル 取締役 開発営業部長
鈴木良信(株)DNPファインケミカル 開発営業部 第一開発グループ グループリーダー
池田伸(株)DNPファインケミカル 開発営業部 第一開発グループ チームリーダー

構成および内容
【第1編 メディシナル創薬化学系研究】
第1章急性虚血性疾患への挑戦―インテグリンαvβ3IIbβ3デュアル拮抗薬の創製―(石川稔、味戸慶一)
1「急性虚血性疾患」における治療上の問題点
2本創薬研究の目的
3研究開始時におけるαvβ3及びαIIbβ3拮抗物質の情報
4αvβ3IIbβ3デュアル拮抗物質の創出
5ピペラジン型リード化合物の構造活性相関
64-アミノピペリジン型化合物の構造活性相関
7αvβ3IIbβ3デュアル拮抗物質の水溶性
8水溶性向上の仮説と新たな化合物デザイン
94-アミノピペリジンの変換による構造活性相関
10非対称化による水溶性向上
11αvβ3IIbβ3デュアル拮抗物質の合成法
12αvβ3IIbβ3デュアル拮抗物質の高次評価
13総括
第2章シアル酸誘導体の創薬化学への応用(池田潔、佐藤雅之)
1はじめに
22-デオキシ-2,3-デヒドロシアル酸誘導体
34,9-ジ置換2-デオキシ-2,3-デヒドロシアル酸誘導体の合成とシアリダーゼ阻害活性
44-O-アルキル-2-デオキシ-2,3-デヒドロシアル酸誘導体の合成とhPIV-1シアリダーゼ阻害活性
54-O-[3-アリール-(2-プロピニル)]-シアル酸誘導体とhPIV-1阻害活性
5.1α-4-O-[3-アリール-(2-プロピニル)]-シアル酸誘導体とhPIV-1阻害活性
5.2β-4-O-[3-アリール-(2-プロピニル)]-シアル酸誘導体とhPIV-1阻害活性
6結語
第3章プロドラッグ、オセルタミビル(タミフル)の脳内移行性とその制御機構(荻原琢男、森本かおり、玉井郁巳)
1はじめに
2プロドラッグの概念と目的
3消化管吸収性の改善を目的としたエステル型プロドラッグ
4オセルタミビルの体内動態と脳内移行性
5オセルタミビルの血液脳関門透過過程におけるP-糖タンパクの関与
6オセルタミビルの脳移行性の週齢差
7中枢移行回避を目指したオセルタミビルの新規プロドラッグの展望
8おわりに
第4章慢性閉塞性肺疾患(COPD)新規治療薬の研究開発(佐藤文憲、小澤道律)
1慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
2COPDの原因
3COPD現在の治療薬剤
4COPDの進展を防ぐ薬剤の研究開発状況
4.1好中球性抗炎症薬
4.1.1好中球エラスターゼ阻害剤
4.1.2好中球の遊走および走化性抑制剤
4.2炎症性サイトカイン抑制剤
4.2.1IKK-2(IKK-β)阻害剤
4.2.2PDE4阻害剤
4.2.3p38キナーゼ阻害剤
4.2.4Adenosine受容体拮抗薬
5今後の展望
第5章抗体医薬開発研究の動向(松下正行)
1はじめに
2抗体医薬の現状
2.1単独抗体医薬
2.2抗体コンジュゲートを用いたミサイル療法
2.3低分子化抗体医薬と抗体様タンパク
3触媒抗体の医薬への応用
3.1触媒抗体によるプロドラッグの活性化
4今後の課題
第6章クリックケミストリーと創薬(北山隆、馬場良泰)
1はじめに
2click chemistryの概念
2.1click chemistryの定義
3創薬探索研究への応用例
3.1スクリーニングライブラリー構築への応用
3.2in situ screeningライブラリー構築への応用
3.3in situ click chemistryを用いたリード化合物探索
3.4生体分子の化学修飾(bio-conjugation)への展開
4おわりに
第7章アレロケミカルの合成と創薬シーズの探索(宍戸宏造)
1はじめに
2ヘリアンヌオール型テルペノイドの合成
2.1合成戦略
2.2不斉合成素子(10,11)の合成
2.3ヘリアンヌオールD(1)およびA(2)の合成
2.4ヘリアンヌオールA(2)およびK(5)の合成
2.5ヘリアンヌオールG(3)およびH(4)の合成
2.6ヘリアンヌオールE(6)の合成
2.7ヘリアンヌオールC(7)の合成
3ヘリアンヌオール型テルペノイドの生理活性
3.1細胞毒性
3.2細胞内情報伝達経路に対する活性評価
4おわりに
第8章実験的パーキンソン病モデル動物を用いた新規薬物療法の開発研究(門口直仁、高木翔、荒木勉)
1はじめに
2パーキンソン病(PD)について
2.1PDの動物モデル
3神経毒・環境物質によるモデル
3.16-OHDA
3.2MPTP
3.3ロテノン
3.4パラコート
3.5プロテアソーム阻害剤
3.6MPTPモデルに対するプロテアソーム阻害剤の治療効果
4おわりに
第9章バソプレシンV2受容体拮抗薬―モザバプタン塩酸塩の創製―(小川英則)
1はじめに
2リード探索
3V2受容体親和性向上のための構造活性相関
4経口投与による水利尿活性向上のための変換
5おわりに
第10章創薬のための新しい探索手法:Fragment-based Drug Discovery(田中大輔)
1はじめに
2フラグメント分子からの創薬:Fragment-based Drug Discovery
3FBDDに用いる観測手段
3.1X線結晶構造解析
3.2核磁気共鳴(NMR)
3.3In Silico
3.4その他
3.5長所と短所
4標的タンパクとリガンドの機能に関する制限
5最適ヒットフラグメントの選択
6ヒットフラグメントからリード化合物への合成展開
6.1Fragment-Linking
6.2Fragment-Merging
6.3Fragment Evolution
7FBDDが創薬研究にもたらすもの
8おわりに
第11章キナーゼ阻害薬―これからの創薬―(澤匡明)
1はじめに
2キナーゼとキナーゼ阻害薬
2.1キナーゼ阻害薬の選択性評価法
2.2ゲートキーパーの相違を利用した選択性の向上
2.3不活性型構造(DFG-out)阻害による選択性の向上
2.4Narrow Structure-Activity Relationship(SAR)
3おわりに
【第2編 プロセス化学系研究】
第1章水系反応の新展開(間瀬暢之、高部圀彦)
1はじめに
2水を反応媒体に利用する利点
3アルドラーゼ酵素をモデルとした有機分子触媒
4水存在下における有機分子触媒的不斉アルドール反応
5水中有機分子触媒的不斉アルドール反応
6飽和食塩水・海水を用いた有機分子触媒的不斉合成
7おわりに
第2章パラジウム触媒を用いた実用的合成法の展開(窪田周平)
1はじめに
2ヘックカルボニル化反応
2.1はじめに
2.2シアノ化に代わるヘックカルボニル化反応の応用
2.2.1農薬-ピラフルフェンエチル製造への応用
2.2.2塩化ベンジル誘導体のHeck-カルボニル化反応
2.3医薬中間体製造への応用
2.4化学品中間体製造への応用
2.4.14-アセチル安息香酸の合成
2.4.24'-ヒドロキシビフェニル-4-カルボン酸
3Heck-Cabriアセチル化反応
3.1Heck-Cabriアセチル化の検討
3.22,6-ジアセチルピリジンの合成
3.3Ethyl 6-acetylpicolinateの合成
4おわりに
第3章Pd触媒ベンズアヌレーションによるリグナン系化合物の合成法開発(水船秀哉)
1はじめに
2アリールナフタレンリグナン系天然物およびアナログ化合物の生理活性
3ビスベンジリデンコハク酸誘導体を用いるアリールナフタレンリグナン類の合成戦略
4Pd触媒ベンズアヌレーションによるアリールナフタレン類の新規骨格合成法発見の経緯
5新規Pd触媒ベンズアヌレーションの応用
6新規Pd触媒ベンズアヌレーションの反応機構に関する考察
7おわりに
第4章Buchwald-Hartwigアミノ化反応(花崎保彰)
1はじめに
2一般的な反応条件
3パラジウムの除去方法
4配位子の変遷
5反応機構
6パラジウム以外の金属の利用
7特徴的な基質への適用
8創薬への応用
9おわりに
第5章触媒配位子の開発と応用(保原智、内堀幸隆)
1緒言
2ダイホスフィンの開発と応用
3トリ-t-ブチルホスフィンの開発
4t-Bu3PH・BPh4、t-Bu2MePH・BPh4の開発
5ポリマー固定化Pd錯体触媒の開発
6おわりに
第6章酵素反応のスケールアップ―トラブル解決へのヒント―(須貝威、濱田学)
1はじめに
2酵素を用いる速度論的光学分割の原理、用語の解説
3不可逆的失活で失敗した実例
4基質濃度を十分に保つ
5反応が速い鏡像異性体から生じる生成物を純粋に:部分不斉合成との組み合わせ
6基質阻害によって、反応が途中で止まってしまう例
7生成物阻害によって、反応が完結しなくなるケース
8ネイティブ酵素と固定化酵素
9経験と勘に頼らず、どこで反応を止めるか
10おわりに
第7章二酸化炭素を原料とするプロセス開発(水野卓巳)
1はじめに
2無溶媒条件下、二酸化炭素を原料とした有機合成反応の重要性
3重要な医薬品中間体である2,4-ジヒドロキシキナゾリン
4触媒量のDBUを用いた2,4-ジヒドロキシキナゾリンの合成
5超臨界二酸化炭素を原料および溶媒として利用した2,4-ジヒドロキシキナゾリンの合成
6二酸化炭素(1atm)と触媒量のDBUのみを利用した2,4-ジヒドロキシキナゾリンの無溶媒合成
7キナゾリンの合成における反応経路
8おわりに
第8章新規プロセス溶剤シクロペンチルメチルエーテル(CPME)の開発と活用(渡辺澄)
1はじめに
2背景
3CPMEの合成法
4CPMEの物性と特長
4.1危険な過酸化物(PO)が生成し難い
4.2水に難溶
4.3高沸点かつ低融点
4.4酸や塩基に対して比較的安定
4.4.1酸に対する安定性
4.4.2強塩基であるn-ブチルリチウムに対する安定性
4.5蒸発潜熱が低い
4.6空気中の爆発範囲が狭い
5応用例
5.1反応例
5.2製造プロセス溶剤
6おわりに
第9章製造プロセスで望まれる酸化反応(小池晴夫、杉岡智教)
1はじめに
2クロムを用いた酸化反応
3マンガンを用いた酸化反応
4オスミウムを用いた酸化反応
5過酸および過酸化物による酸化
6Moffat酸化
7有機化合物による酸化
7.1ニトロオキシドによる酸化
7.2有機過ヨウ素化物を用いた酸化反応
7.2.1過ヨウ素酸塩を用いた酸化反応
7.2.2IBX-ポリスチレンを用いた酸化反応
8空気酸化
9おわりに
第10章富士フイルムの特徴ある複素環合成法(山川一義)
1はじめに
25員複素環
36員複素環
4複数のヘテロ元素を含む複素環
5縮環系複素環
6おわりに
第11章ファインケミカルメーカーにおけるプロセス開発の実際(橋康弘、鈴木良信、池田伸)
1はじめに
2開発の背景
3プロセス開発の留意点
42-ベンジルアニリン1の製法開発
5合成中間体2及び3の製法最適化
6アミノメチル体7の製法開発
7不純物について
8おわりに

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