透明導電膜の新展開III
―ITOとその代替材料開発の現状―
Developments of Transparent Conductive Films III
―Present Status of ITO and its Substitute Material Developments―
[コードNo.2008T615]

■監修/ 南内嗣(金沢工業大学 教授)
■体裁/ B5判 304ページ
■発行/ 2008年 3月 (株)シーエムシー出版
■定価/ 68,250円(税込価格)

省インジウム・脱インジウム技術、新材料に適合する各種成膜・加工プロセスについて詳述!
LCD、PDP、有機ELなどの各種ディスプレイや太陽電池用のほか、新しい応用展開の可能性についてまとめた一冊!

※ 本書籍はご試読頂けません ※

刊行にあたって
 近年、酸化亜鉛を始めとして透明酸化物半導体エレクトロニクスが広く認知され、応用面とともに新しいこの学問分野の発展が期待されている。特異な物性を示す酸化物透明導電膜は、実用面での重要性にもかかわらず学際的で学問分野も明確にされていなかったが、上記新分野において透明酸化物半導体と定義される。環境問題に関連することとして、最近、ITOを含むインジウム化合物粉末の毒性に対する注意を喚起する報告がなされている。応用面では、例えば、フラットパネルディスプレイにおいてLCDやPDPの急速な普及と大画面化の進展がITO透明導電膜の大面積製膜及び大量使用を要求し、ITOの主原料で希少金属であるインジウムの資源問題と相俟って価格高騰や安定供給懸念という問題を生み出している。また、有機EL(OLED)や電子ペーパーの実用化とこれらにより実現が期待されるフレキシブルディスプレイでは、有機デバイスに適合する透明導電膜の開発が切望されている。さらに、本格的な商業生産が開始されたCIGSやSi薄膜太陽電池、及び色素増感太陽電池では、それぞれの用途に適合する機能や特性(性能)が要求され、ITO以外の材料からなる透明電極の実用化が進行している。以上の如く、近年、透明電極に要求される機能や特性(性能)が多様化し、ITOから特定用途に適合する個性派透明導電膜への期待が高まってきている。
 透明導電膜の研究開発におけるトレンドは省インジウム・脱インジウム(インジウムフリー)技術の開発、またそれらの新材料に適合する各種製膜・加工プロセスの開発に軸足がシフトしてきていると思われる。特に、2007年6月に文部科学省と経済産業省が連携を取ってそれぞれ「元素戦略プロジェクト」と「希少金属代替材料開発プロジェクト」を発表し、研究開発がスタートした。
 このような事情から、上記プロジェクトの実施内容や期待される成果の詳細が明らかにされることを期待して、ITO代替材料開発プロジェクトに参画されているグループの代表的な方々にご執筆を依頼した。多くのLCD分野の関係各位のご理解とご協力そしてご支援がなければインジウム問題の解決は覚束ないと思われるが、本書がその解決推進の一助となれば監修者としてこの上ない喜びである。
(「はじめに」より抜粋)
2008年3月 南内嗣

執筆者一覧(執筆順)
南内嗣金沢工業大学 光電相互変換デバイスシステム研究開発センター 教授
田中昭代九州大学大学院 医学研究院 環境医学分野 講師
平田美由紀九州大学大学院 医学研究院 環境医学分野 助教
大前和幸慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室 教授
矢作政隆日鉱金属(株) 電子材料カンパニー 技術部 主席技師
中澤弘実岩手大学大学院 工学研究科 フロンティア材料機能工学専攻 研究員
浮島禎之(株)アルバック 千葉超材料研究所 第2研究部 第1研究室 室長
清田淳也(株)アルバック 千葉超材料研究所 部長
小川倉一三容真空工業(株) 技術顧問
宇都野太出光興産(株) 中央研究所 電子材料研究室
澤田豊東京工芸大学 工学部 ナノ化学科 教授
村松淳司東北大学 多元物質科学研究所 多元ナノ材料研究センター長・教授
蟹江澄志東北大学 多元物質科学研究所 多元ナノ材料研究センター 助教
佐藤王高DOWAエレクトロニクス(株) 事業化推進室 主任研究員
大沢正人(株)アルバック・コーポレートセンター ナノパーティクル応用開発部 係長
油橋信宏(株)アルバック・コーポレートセンター ナノパーティクル応用開発部
林茂雄(株)アルバック・コーポレートセンター ナノパーティクル応用開発部 主事補
小田正明(株)アルバック・コーポレートセンター ナノパーティクル応用開発部 部長
内海健太郎東ソー(株) 東京研究所 主席研究員
尾山卓司旭硝子(株) 中央研究所 統括主幹研究員
櫛屋勝巳昭和シェル石油(株) ニュービジネスディベロップメント部 担当副部長
山本哲也高知工科大学 総合研究所 マテリアルデザインセンター センター長・教授
藤田貴史ナガセケムテックス(株) 研究開発部 研究開発第1課
一杉太郎東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 准教授;神奈川科学技術アカデミー(KAST) ナノ光磁気デバイスプロジェクト
鯉田崇(独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 研究員
内田孝幸東京工芸大学 工学部 メディア画像学科 准教授
岩岡啓明ジオマテック(株) R&Dセンター 研究員
鈴木晶雄大阪産業大学 工学部 電子情報通信工学科 教授
仁木栄(独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 副センター長
松原浩司(独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター
反保衆志(独)産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター
柴田肇(独)産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門
中原健ローム(株) 研究開発本部 先端化合物半導体研究開発センター 技術主査
重里有三青山学院大学 大学院理工学研究科 機能物質創成コース 教授
今真人青山学院大学 大学院理工学研究科
(現) 凸版印刷(株) ナノテクノロジー研究所

構成および内容
【第1編 基礎】
第1章材料技術、製膜技術及びプロセス適合化技術(南内嗣)
1はじめに
2材料開発と製膜技術
3ITO代替技術開発の現状
3.1インジウム問題
3.2代替材料開発
4おわりに
【第2編 インジウムベース透明電極の現状と問題点】
第2章インジウム化合物の毒性とITO取り扱い上の注意(田中昭代、平田美由紀、大前和幸)
1はじめに
2実験動物におけるインジウムの影響
3ヒトにおけるインジウムの影響
4インジウムによる健康障害の予防と対策
5おわりに
第3章In2O3系とZnO系の比較的検討(矢作政隆)
1ITO(In2O3-SnO2)代替材料のニーズとIn資源問題
2ITOとZnO系透明導電体の基本的性質の比較
2.1化学的安定性の比較
2.1.1平衡状態図の比較
2.1.2ターゲットの焼結プロセスにおける安定性
2.1.3フィルムの化学的・電気化学的安定性
2.2点欠陥構造
2.3フィルムの微構造と抵抗率
3今後の展開
第4章In2O3系透明導電膜
1ITOの基本特性(中澤弘実)
1.1はじめに
1.2ITO(In2O3)の構造
1.3ITO(In2O3)の導電性、透明性の起源
1.3.1導電性
1.3.2透明性
1.4ITO(In2O3)の基本的な電子輸送機構
1.5実用的なITO膜の基本特性
1.5.1結晶構造、結晶性の成膜温度依存性
1.5.2表面形状
1.5.3伝導特性
1.5.4光学特性
1.6まとめと今後の課題
2有機EL用透明導電膜(浮島禎之)
2.1はじめに
2.2透明導電膜全般
2.2.1透明導電膜の種類
2.2.2透明導電膜の作製方法
2.2.3低抵抗化技術(低電圧スパッタ法)
2.3有機EL用透明導電膜
2.3.1有機ELとは
2.3.2有機EL用透明導電膜に要求される特性
2.3.3表面平滑ITO(Super ITO)膜の作製法
2.3.4対向スパッタ法
2.3.5In-Zn-O系透明導電膜
2.4おわりに
3スパッタ法を用いたLCD用ITO膜の作製技術(清田淳也)
3.1はじめに
3.2各種LCDにおける透明導電膜の要求特性と生産装置
3.3TN、STN用透明導電膜の形成方法―低抵抗ITO膜の形成
3.4低抵抗ITO/カラーフィルター成膜技術
3.5TFT画素用透明導電膜の成膜技術
3.5.1H2O添加による非晶質ITO膜
3.5.2In-Zn-O系非晶質透明導電膜
3.6おわりに
4PDP用ITO薄膜(小川倉一)
4.1はじめに
4.2透明導電材料と薄膜作製法
4.2.1透明導電膜材料
4.2.2透明導電薄膜作製方法
4.3高品質ITO薄膜作製例と諸特性
4.3.1低電圧マグネトロンスパッタ法によるITO薄膜の作製例
4.3.2低エネルギーイオンプレーティングによるITO薄膜
4.3.3低温プロセスによるITO薄膜の比較
4.4今後の課題とまとめ
5アモルファスIn2O3-ZnO系薄膜(宇都野太)
5.1はじめに
5.2In2O3-ZnO透明導電膜の特徴
5.2.1電気特性
5.2.2エッチング特性
5.2.3アモルファスIn2O3-ZnO系薄膜の構造
5.3In2O3-ZnOの成膜特性
5.3.1In2O3-ZnOの成膜方法
5.3.2In2O3-ZnOのスパッタリング特性
5.3.3In2O3-ZnOターゲットの特徴
5.4新規デバイスへの展開
6酸化インジウムに対するスズおよび亜鉛以外の不純物添加(澤田豊)
6.1はじめに―スズ添加が最適という判断の経緯
6.2酸化インジウム薄膜に対する+4価金属イオンの添加
6.2.1チタン添加酸化インジウム薄膜
6.2.2ジルコニウム添加酸化インジウム薄膜
6.2.3セリウム添加酸化インジウム薄膜
6.3酸化インジウム単結晶および焼結体に対する+4価金属イオンの添加
6.3.1酸化インジウム単結晶に対する+4価金属イオンの添加
6.3.2酸化インジウム焼結体における+4価金属イオンの添加
6.4+4価金属イオン添加に関するまとめ
6.5その他のイオンの添加
6.6アモルファス酸化インジウムにおけるイオン添加
6.7おわりに
【第3編 インジウム使用量削減の可能性】
第5章ITOインク
1ITOナノインクの新合成法と新薄膜化技術(村松淳司、蟹江澄志、佐藤王高)
1.1はじめに
1.2従来法
1.3液相法単分散粒子合成
1.4ゲル-ゾル法
1.5単分散ITO粒子合成
1.6今後の指針
2ITO透明導電膜形成用インクの開発とその特性(大沢正人、油橋信宏、林茂雄、小田正明)
2.1はじめに
2.2ITO透明導電膜形成用インク
2.3インク(塗布型材料)に用いるナノ粒子
2.4ナノ粒子の作製法
2.5ガス中蒸発法と独立分散ナノ粒子
2.6独立分散ITOナノ粒子インク(ITOナノメタルインク)
2.7インクジェット法によるITOパターンの形成
2.8おわりに
第6章In2O3ベース多元系酸化物透明導電膜
1In2O3-SnO2系透明導電膜における電気光学特性のSnO2量依存性(内海健太郎)
1.1はじめに
1.2評価方法
1.3電気特性
1.3.1導電機構
1.3.2酸素分圧依存性
1.3.3SnO2量依存性
1.4光学特性
1.4.1多結晶膜
1.4.2非晶質膜
1.5結晶性
1.6耐候性
1.6.1耐熱安定性
1.6.2耐湿安定性
1.7まとめ
2Zn-In-Sn-O系(南内嗣)
2.1はじめに
2.2Zn-In-O系
2.3In-Sn-O系
2.4Zn-In-Sn-O系
2.5おわりに
【第4編 インジウム未使用代替材料の可能性】
第7章薄膜太陽電池用透明導電膜
1Si系薄膜太陽電池用の透明導電膜(尾山卓司)
1.1はじめに
1.2Si系薄膜太陽電池の構造と透明導電膜に要求される特性
1.3透明導電膜の現状
1.3.1SnO2:F
1.3.2ZnO系透明導電膜
1.4今後の課題
2CIS系薄膜太陽電池用の透明導電膜(櫛屋勝巳)
2.1はじめに―CIS系薄膜太陽電池用透明導電膜
2.2CIS系薄膜太陽電池用透明導電膜の開発の歴史
2.3CIS系薄膜太陽電池の透明導電膜窓層開発の現状
2.3.1CIS系光吸収層のバンドギャップ構造に最適なn型ZnO膜の開発
2.3.2高抵抗バッファ層の材質に最適なn型ZnO膜の開発
2.3.3インターコネクト部を有する集積型構造に最適なn型ZnO膜の開発
2.3.4量産性のあるn型ZnO膜製膜法の開発
2.4まとめ―CIS系薄膜太陽電池の透明導電膜の解決すべき課題
第8章LCD用ZnO系透明電極
1マグネトロンスパッタ製膜と不純物共添加(南内嗣)
1.1ITO透明電極形成の現状
1.2ZnO系透明導電膜の特徴
1.3ZnO系透明電極形成の問題点
1.4抵抗率分布の改善
1.5安定性と不純物共添加効果
1.5.1耐湿安定性
1.5.2不純物共添加効果
2アークプラズマ蒸着製膜とZnO薄膜性能(山本哲也)
2.1はじめに
2.2イオンプレーティング法とは
2.2.1イオンが基板・薄膜に及ぼす影響
2.2.2他の製膜法との比較
2.3反応性プラズマ蒸着法(RPD:Reactive Plasma Deposition)
2.3.1アーク放電
2.3.2蒸発源
2.3.3基板温度
2.3.4反応性プラズマ蒸着法によるZnO薄膜構造の特徴
2.4ガリウム添加酸化亜鉛薄膜の特性
2.4.1薄膜構造の膜厚依存性とその制御
2.4.2電気特性
2.4.3光学特性
2.5おわりに
【第5編 新しい応用展開の可能性】
第9章有機系透明導電膜(藤田貴史)
1はじめに
2透明導電膜の現状
2.1ITOを取り巻く現状
2.2透明導電性材料
2.3ITOフィルムと導電性ポリマーの比較
2.3.1原料
2.3.2成膜
2.3.3特性
2.4π共役系導電性ポリマー
3PEDOT/PSS
3.1ポリチオフェン系導電性ポリマー(PEDOT/PSS)の特性
3.2PEDOT/PSSの導電性の向上
4透明電極用デナトロンフィルム
4.1代表グレードの特徴
4.2ITOスパッタフィルムとの比較
5パターニング
5.1リフトオフ法を応用した方法
5.2感光性デナトロン
6用途展開
7おわりに
第10章TiO2系透明導電体(一杉太郎)
1はじめに
2アモルファス成膜時の酸素分圧の重要性―シード層の導入
3シード層の導入
3.1アナターゼの結晶性向上
3.2結晶化温度の低下
4光学的特性
5さらなる低抵抗化と低温プロセスに向けて
6おわりに
第11章近赤外線透過高移動度透明導電膜(鯉田崇)
1はじめに
2透明導電膜の近赤外領域の光学特性と電気特性の関係
3近赤外透過高移動度透明導電膜の材料開発
3.1材料開発方法
3.2金属原子添加による高移動度化
3.2.1Ti、Zr、Sn添加In2O3エピタキシャル薄膜の電気特性比較
3.2.2ガラス基板上Zr添加In2O3多結晶薄膜の電気特性
3.3水素原子添加および固相結晶化による高移動度化
4おわりに
第12章有機EL用透明電極
1有機EL用透明電極(内田孝幸)
1.1はじめに
1.1.1透明導電膜
1.1.2有機EL素子の市場の動向
1.1.3有機EL素子のための透明導電膜
1.2有機EL素子のための透明導電膜
1.2.1ボトムエミッション用TCO基板
1.2.2トップエミッション用TCO
1.3まとめ
2有機EL用ITO膜-平坦化ITOの成膜技術(岩岡啓明)
2.1有機ELの特徴と透明電極に求められる性能
2.1.1有機ELの特徴
2.1.2有機EL用透明電極に求められる性能
2.2PVD法により成膜したITOの性能
2.2.1成膜装置の構成
2.2.2構造的特性の比較
2.2.3電気的、光学的特性の比較
2.2.4エッチングレート・耐久性の比較
2.2.5各成膜方法におけるメリット・デメリット
2.3平坦化ITOの成膜技術
2.3.1アニール処理による結晶化
2.3.2ドーパント濃度・物質の最適化
2.3.3成膜パラメータの最適化
第13章ZnO系透明導電膜の新しい応用展開
1PLD法による高性能透明導電膜(鈴木晶雄)
1.1はじめに
1.2高性能なZnO系透明導電膜が得られるPLD(パルスレーザー堆積)法
1.3PLD法によるZnO系透明導電膜の作製
1.3.1極めて低い抵抗率(10-5Ω・cmオーダー)を達成したAZO透明導電膜
1.3.2超薄膜領域(膜厚50nm以下)のAZO透明導電膜で低抵抗率と平坦化を達成
1.3.3低温(室温〜90℃)有機基板上の低抵抗なAZOおよびGZO透明導電膜
1.3.4ITO(インジウム)の使用を大幅に削減したAZO透明導電膜とITOを積層させて作製したハイブリッド透明導電膜
1.4まとめ
2ZnO透明導電膜の新機能(仁木栄、松原浩司、反保衆志、柴田肇)
2.1はじめに
2.2次世代の透明導電膜への要求
2.3ZnO系透明導電膜の製膜と赤外吸収
2.4バンドエンジニアリング
2.5まとめ
3ZnO系透明導電膜のLEDへの応用(中原健)
3.1はじめに
3.2LEDと透明導電物質
3.3透明導電材料としてのZnO
3.4ZnO透明導電膜成長方法とLEDへの応用
3.5開発した透明電極の実力
3.6今後の展開と他用途への応用
4反応性スパッタによる高速成膜(重里有三、今真人)
4.1スパッタ成膜法
4.2反応性パルスマグネトロンスパッタ法(アーキングの抑制)
4.3プラズマ発光強度制御法とインピーダンス制御法(遷移領域の制御)
4.4遷移領域におけるAZOの安定成膜
4.4.1DMS成膜装置
4.4.2DMSプラズマ発光強度制御法
4.4.3DMSインピーダンス制御法
4.4.4ユニポーラパルススパッタ法
4.5まとめ

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