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  メルマガ 「いいテク・ニュース」 雑記帳 2014年 9月25日(Vol.125) 「お米」       ≫雑記帳トップへ



  「お米」

食欲の秋の到来です。
今年も美味しい新米が出まわりはじめました。
2014年7月5日付朝日新聞別刷りbeの“RANKING”「白いご飯にのっけたいもの」のBEST10は
  1位 生卵
  2位 辛子めんたいこ
  3位 のり(乾燥のり)
  4位 納豆
  5位 ふりかけ
  6位 梅干し
  7位 のりのつくだ煮
  8位 たらこ
  9位 ちりめんさんしょう
  10位 とろろ
でした。
あたたかいまっ白なご飯と相性の良い食材ばかりで予想通りの結果といえます。
今回は日本人にとって、ほとんどの人が一日一度はお世話になっている「お米」にまつわるお
もしろ豆知識ならぬ米知識をお届けします。

◎森のくまさんのお米?
 日本ではおよそ500品種のお米があると言われています。
 そのうち、実際に栽培されているのは100種類ぐらいです。
 ここではユニークな名前とその品種の生産県をあげてみました。

  どまんなか(山形)
  ごろぴかり(群馬)
  ほほほの穂(石川)
  きらりん(長野)
  どんとこい(京都、兵庫)
  こいもみじどんとこい(広島)
  あきたこまちコガネマサリ(愛媛)
  森のくまさん(熊本)  

  この項の参考文献:【日本の米の種類】-米辞典

◎コシヒカリの最初の品種名候補は「タオスナ」だった
 日本全国で、いや、アメリカ、オーストラリア、タイでも作られているお米の王様、コシヒ
 カリ。(今年の魚沼産新米5sで4,000円〜9,000円。)
 その、コシヒカリは昭和19年(1944年)に、福井の農業試験場で生まれ、その後新潟の農業
 試験場でコシヒカリと名付けられて育成され、次第に日本各地で栽培されるようになりまし
 た。
 この新品種は環境への適応性が高く、肥料が少なくても安定した収穫量が保て、粒揃いもよ
 く、精米時の損耗が少なく、ご飯にすると光沢もあり、食味も抜群で、そのうえ長期間保存
 しても食味が落ちにくいと良いことづくめの新品種でした。
 しかし「いもち病」に弱く、倒れやすい弱点が指摘されていました。
 この新品種の名前の候補には「タオスナ」(栽培にあたって倒伏だけは避けてほしいという育
 成者の願いが込められていました。)「ユキコマチ」「コシニシキ」「コシヒカリ」などがあ
 りましたが、「タオスナ」はちょっとふざけているというこで駄目になり、「ユキコマチ」
 は色っぽくて薄命そうだ、「コシニシキ」は舌を噛みそうということで、最終的には「越の
 国に光り輝く良い品種」ということで「コシヒカリ」に決まったとのことです。
 ちなみに大人用の普通のご飯茶碗1杯(8分目)にコシヒカリだと2,300粒〜2,400粒位入るそう
 です。
 以外と多いですね。

  この項の参考資料:奇跡のお米「コシヒカリ誕生秘話」! お米屋さんどっとこむ

◎水田の保水力は治水ダムの貯水量の3.4倍
 最近の集中豪雨による被害はある地域に集中し、また激しくなっています。
 そこで再注目されているのが、水田(田んぼ)の保水力。
 水田は高さ30pほどの畦(あぜ)に囲まれた浅くて広い池のようなものと考えられるので、
 大雨の時、水田に雨水が溜まることで洪水を防いでいます。
 日本全国の水田が蓄える水の総量は約81億トン。
 日本各地の治水ダムの貯水量の3.4倍にもなります。
 日本は国土の70%が山地で、川も短かく急なので洪水が起こりやすい地形をしています。
 雨水を上手に溜め、ゆっくりと放水する治水ダムに似た働きのある水田の存在が重要になっ
 ています。
 また、土壌流出割合で裸地を100とした場合、みかん果樹園は17、茶果樹園は10、牧草地は3、
 に対して水田は0と表土の流出を防ぎ、肥沃な土地を守っています。

  この項の参考資料:農業・農村を取り巻く状況 - 農林水産省

◎丼(どんぶり)の語源は音から
 ご飯といえば丼物も欠かせない存在です。
 牛丼チェーン店の大手3社、吉野家(1,197店)・松屋(1,036店)・すき家(1,985店)の店舗数だけ
 で4,218店(2014年4月現在)もあるとのこと。
 その牛丼の源流は「牛鍋」でそこから「牛めし」→「牛丼」となったようです。
 「牛丼」の名称は吉野家を1899年(明治32年)に創業した松田栄吉が名付けたとされています。
 ここで丼の由来について。
 丼は、井戸の中に落ちた物が水面で発する音に由来し、漢字の「丼」も井戸に物を投げ込む
 様子を現わすと言われています。
 また、職人などが着用する腹掛けの前部につけた物入れのことも指し、「丼勘定」の言葉は
 これに由来するそうです。
 私は「丼」そのものに現金を入れ、入金も出金もそこからしていたので「丼勘定」だと理解
 していましたが、少し違っていたようです。

  この項の参考資料:牛丼御三家の店舗数推移 - ガベージニュース

◎茶漬け・汁かけ飯はNGの職業
 かっての日本では、樵(きこり)、牛方、馬方、マタギ、鉱山掘りなど山中で危険な肉体労働
 をする者は「汁かけ飯」は仕事に「味噌をつける」ことになり、縁起が悪いからとして、極
 端に忌み嫌いました。
 また、トンネル掘削工事の作業員や炭坑の坑夫などもご飯に茶や汁をかける「茶漬け」や
 「汁かけ飯」は縁起が悪いと避けており、家族にも食べることを禁じていたこともありまし
 た。
 これはご飯に茶や汁をかけた時に、ご飯が崩れるさまが、切羽の崩落や落盤を想像させるこ
 とからです。
 このようにトンネル掘削の作業員が「茶漬け」「汁かけ飯」を忌み嫌うことは小説、映画、
 テレビドラマ化された「黒部の太陽」で描写されています。

  この項の参考文献:野瀬泰申(2009年9月4日)
          “汁かけご飯(その2) ご飯入れる?・汁かける?トンネルのこだわり”
          「食べ物新日本奇行」日本経済新聞社
 

◎ぶぶ漬けでもどうどす?
 ぶぶ漬けはお茶漬けのこと。
 京都人は客が長居しそうになると「ぶぶ漬けでもどうどす?」と声をかけます。
 これは遠回しに帰宅を催促したもので、客は「いや、この辺で失礼します」と帰るのが
 礼儀とされています。
 桂米朝の落語のネタ「京のぶぶ漬け」としても有名ですが、実際にこんなやりとりが京都
 では存在するのでしょうか?
 「そんなの実際に使っている人に会ったことがない」と否定する人と「茶漬け」は簡単な
 料理の代名詞、「おもてなししない」「はよ帰れ」という意味につながっているとする肯
 定派に分かれているようです。
 ぶぶ漬けには恐ろしい説もあります。
 豊臣秀吉の刀狩りの後、町衆にとっての武器は毒。
 いかに相手に気づかれず、一気に毒を飲ませるか。
 そこで目を付けられたのが、さっさと食べる茶漬けだった。「ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都
 ミステリー」(光文社)
 「京都ではよそさんが出す茶漬けを簡単に口にしてはいけません、という教訓が込めら
 れていた。あくまで推理ですが」と著者の北森鴻さん。
 京都では、茶漬けを食べちゃいけないと思っていたら「ぶぶ漬けを食べない男には娘を
 やるな」と逆のことわざもあるとか。
 京都では本音と建前が違うことが多々ありますが、洗練された大人なら、その場の雰囲
 気で察知しなさいということなのでしょう。
 
  この項の参考文献:【ぶぶ漬けでもどうどす?】京の本音 察しておくれやす
            朝日新聞・関西

◎お米と俳句
 ここでは、その年に収穫した米である「新米」と「今年米」を季語に詠まれた句を選んで
 みました。

                             新米もまだ艸の実の匂ひかな
                                  艸の実=くさのみ
                                 与謝蕪村(よさ ぶそん)
                                      (1716-1784)

                               新米の俵も青き貢かな
                             内藤鳴雪(ないとう めいせつ)
                                     (1847-1926)
 
                            ふきあげて香走る湯気や今年米
                           石田三千丈(いしだ さんぜんじょう)
                                     (1888-1974)

                             厚切りの鮪のとろや今年米
                                    鮪=まぐろ
                             村山古郷(むらやま こきょう)
                                    (1909-1986)

                             山よりの日は金色に今年米
                              成田千空(なりた せんくう)
                                    (1921-2007)

私も詠んでみました。

                            新米に笑窪作くりてとろろ汁
                                   笑窪=えくぼ
                                     白井芳雄
      
今回は「お米」についてのいろいろをお届けしました。

全体を通じての参考文献:香西 みどり
            『日本の米と食文化』(比較日本学教育研究センター研究年報)

            野本寛一
            『食の民俗事典』(柊風舎)

            佐藤洋一郎
            『食の文化フォーラム26米と魚』(ドメス出版)

            向笠千恵子
            『食べる俳句 旬の菜事記』(本阿弥書店)

                        白井明大・有賀一広
                       『日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−』(東邦出版)

            飯田龍太・稲畑汀子・金子兜太・沢木欣一監修
                       『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社)

      参考サイト:フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)

最後までお読みいただきありがとうございました。
   
                   (株)技術情報センター メルマガ担当 白井芳雄

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