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  メルマガ 「いいテク・ニュース」 雑記帳 2017年11月28日(Vol.144)「大豆」              ≫雑記帳トップへ



   「大豆」


海外でのネット検索和食キーワードランキングで「edamame」は「sushi」「ramen」に挟まれて
第2位!!
また、2006年3月に発表されたアメリカの健康専門月刊誌『ヘルス』による世界の五大健康食品
には、スペインのオリーブ油、ギリシャのヨーグルト、インドのレンズ豆、韓国のキムチととも
に日本の大豆が選出されています。
大豆は日本においてさまざまな形で加工され、利用されています。
暗所で発芽させるとモヤシ、未熟大豆を枝ごと収穫し茹でたのが枝豆、完熟した大豆を搾ると大
豆油、煎って粉にするときな粉、蒸した大豆を発酵させると醤油・味噌、納豆。
加水、破砕、加熱し搾ると豆乳、にがりを入れてタンパク質を固めると豆腐となります。
今回は日本人の食生活と切っても切れない密接な関係にある大豆と大豆を原料にした食品にまつ
わるまさに、豆知識をお届けします。


1.豆とことわざ、格言
  「豆」にまつわることわざ、格言は多くありますが、ここでは興味深いいくつかを取りあげ
  てみました。

 @炒豆と小娘(いりまめとこむすめ)
  炒豆がそばにあると、知らず知らずのうちに手を出して食べる。
  それと同じで、小娘は若くて魅力があるからそばにいると男性が手を出す。

 A炒豆に花(いりまめにはな)
  火にかけて炒った豆から芽が出て、それに花が咲く。
  衰えたものが再び栄えること。
  普通に考えれば絶対にあり得ないことが起こること。

 B鳩に豆鉄砲(はとにまめでっぽう)
  きょとんとするさま。
  あまり突然のことにびっくりして、目を丸くし、ほっぺたをふくらますこと。

 C日陰の豆も時が来れば爆ぜる(ひかげのまめもときがくればはぜる)
  日の当たらないところで育った豆でも、日数がたって適当な時期が来ると自然にさやが割れ
  てはじけ出る。
  人間も同様に、一定の年齢が来れば、成長が遅れていた者もそれぞれ一人前になる、という
  意味。

 D小豆の豆腐(あずきのとうふ)
  大豆ににがりを入れるとかたまるが、小豆ににがりを入れてもかたまらないことから、ある
  はずのないもの。
  ありえないもののたとえ。

 E這っても黒豆(はってもくろまめ)
  黒いものを黒豆といった人が、黒いものが這い出してもそれを認めず、あくまでも自説を主
  張すること。

 F枝豆はお湯を沸かしてから収穫に行け(えだまめはおゆをわかしてからしゅうかくにいけ)
  枝豆は鮮度が大切で、枝豆の甘みと旨みを十分に味わうためには収穫してすぐに茹でて食べ
  るのが一番。

                              出典 日本のことわざ大全集

2.ブランド枝豆
  枝豆専用の品種は400品種以上あり、大きく分けて白毛豆(青豆)、茶豆、黒豆に分類され
  ます。
  ここでは、特定の地域で栽培されている枝豆とその地域ならではの名前がつけられ「ブラン
  ド枝豆」として人気がある品種を紹介します。

 @青森県津軽「青森毛豆」
  産地の寒暖差に育まれた濃厚で栗の様な甘さ、しかも大粒なのが特徴。

 A新潟県黒埼「黒埼茶豆」
  茹で上げた時から漂う甘く芳ばしい香りと豆の深い甘みとコクが特徴。

 B山形県鶴岡「だだちゃ豆」
  鶴岡の風土でしか育たない品種で、独特の甘みと濃厚な風味。
  1さやに2粒しか入っていませんが、その分、豆のうま味が凝縮されています。

 C兵庫県丹波地方「丹波篠山黒大豆」
  黒豆の最高級品。
  大粒の豆の柔らかな食感と枝豆とは思えないほどのコクの深さを味わえます。

 D京都丹波地方「紫ずきん」
  丹波黒大豆を品種改良し、京都府のみで作られている品種。
  大粒でもちもちとした食感と濃い甘みが特徴。

                                 出典 トレンド豆知識

3.冷奴の名前の由来
  「冷奴」の「奴(やっこ)」というのは日本料理における食材の切り方のひとつで、数cmの
  大きさの「さいの目切り」にすることを指します。
  「さいの目切り」はサイコロのように約1cmの立方体に切る切り方です。
  冷奴の語源は江戸時代に遡り、「奴」というのは奉公人の俗称で、彼らの着ていた衣服に四
  角形の模様がよく用いられていたことから、「さいの目切り」よりも大き目の約3cmの立方
  体に切ることを「奴に切る」と呼ぶようになったそうです。
  その奴豆腐を冷やしたものが「冷奴」、熱したものに「湯豆腐」「湯奴(ゆやっこ)」「煮
  奴(にやっこ)」の名があります。
  ちなみに、さいの目よりも小さく0.5cmくらいの立方体に切ることを形が霰(あられ)に似
  ていることから「あられ切り」と呼びます。

                           出典 日本料理、会席・懐石案内所

4.大豆の国際市場での取引単位はブッシェル。
  日本において、味噌や納豆、豆腐に使う原料としての大豆の7〜8割は輸入品に頼っています。
  その大豆の国際市場での取引単位はブッシェルと呼ばれます。
  ブッシェルの語源は「手の幅」を意味するケルト語とみられていて、それが次第に穀物の箱
  詰作業を指すようになり、その後は木製の「おけ1杯分」の意味で使われるようになりました。
  同じ入れ物でも何を入れるかで1杯の重さは変わります。
  そのためブッシェルはkgに換算すると穀物によって違いが生じます。
  大豆と小麦の場合、1ブッシェルは約27.2kg、一方トウモロコシは約25.4kgと少し軽くなって
  います。
  米国イリノイ州シカゴの取引所で1ブッシェル何ドルと取引され、ここで決まる価格が世界の
  指標となります。
  国内では東京商品取引所でトウモロコシと大豆を1トン単位で取引しています。

                         出典 2017/4/25付 日本経済新聞 朝刊

5.納豆、乾醤油(ほしじょうゆ)は冒険家の必需品
  南極探検隊長として日本人として初の南極探検を主導した明治時代の南極探検家、白瀬矗(
  しらせ のぶ)(1861-1946)中尉。
  その後援会の会長には明治政府の重鎮、大隈重信(おおくま しげのぶ)(1838-1922)が就
  いていましたが、資金集めをはじめ実質的な援助するために奔走したのは雑誌社を経営して
  いた村上濁浪(むらかみ だくろう)(1872-1924)でした。
  彼は『冒険旅行術』の中で、未開の土地を旅行するときに携帯すべき食料として
  「鈴壷入りの茶、牛乳の缶詰、乾肉(ほしにく)、乾魚(ほしうお)、浜名納豆、(中略)
  乾醤油(醤油を固体とせし物)(後略)」
  などを挙げています。
  浜名納豆(浜納豆とも呼ばれる)は蒸し大豆に麹、小麦粉をまぶして塩水に浸して発酵、乾
  燥させたもので、糸引き納豆ではなく、ぼろぼろに乾いた味噌色のやわらかいお豆です。
  また、1950年代に生まれたインスタントラーメンの普及とともに粉末スープを製造する技術
  が生まれたとされていますが、村上濁浪は明治時代に既に乾燥醤油(粉末醤油)の製造法を
  会得していたことになります。
  冒険旅行においても大豆から生まれた食品が必需品だったのです。

                           出典 国立国会図書館 本の万華鏡

6.美食家で有名な北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん)(1883-1959)は納豆をおいしく食
  べるために424回練っていた。
  納豆は練れば練るほど「うま味」が出るとされています。
  『魯山人味道』中公文庫によると
  「まず納豆になにも加えず練る。白い糸状のものがたくさん出て納豆が固くなり練りにくく
  なったら、醤油を少量たらしてまた練る。練る、醤油を入れる作業を数回繰り返す。糸がな
  くなってどろどろになったところに辛子や薬味を入れてかき混ぜる。」
  「糸を出すほどおいしくなるのであるから、無精をしないで、また手間を惜しまず、極力練
  りかえすべきである」
  とあります。
  真偽のほどは定かではありませんが、合計424回練っていたといわれます。
 
                             出典 『魯山人味道』中公文庫

7.大豆と俳句
  ここでは大豆と大豆を原料にした食品を詠んだ句を季節順に選んでみました。

  <春>
  味噌焚きの榾のくづるる昼深し(味噌焚き=みそだき)(榾=ほた)
  木村蕪城(きむら ぶじょう) (1913-2004)
  季語「味噌焚き」で初春

  <春>
  海見ゆるかぎり青春豆の花
  菖蒲あや(しょうぶ あや) (1924-2005)
  季語「豆の花」で晩春

  <夏>
  豆飯を喰ぶとき親子つながりて(喰ぶとき=たぶとき)
  細見綾子(ほそみ あやこ) (1907-1997)
  季語「豆飯」で初夏

  <夏>
  月満ちて醤油づくりの大甍(大甍=おおいらか)
  廣瀬直人(ひろせ なおと) (1929-)
  季語「醤油づくり」で晩夏

  <秋>
  新豆腐よき水を生む山ばかり
  藤田湘子(ふじた しょうし) (1926-2005)
  季語「新豆腐」で初秋

  <秋>
  枝豆や音立ててきし宵の雨
  皆川盤水(みながわ ばんすい) (1918-2010)
  季語「枝豆」で秋

  <冬>
  納豆のねばこく恩のごときもの
  成田千空(なりた せんくう) (1921-2007)
  季語「納豆」で冬

  <冬>
  鬼の豆たんと余ってしまひけり
  片山由美子(かたやま ゆみこ) (1952-)
  季語「鬼の豆」で晩冬


私も詠んでみました。

  湯気ゆらら花かつをまづ湯豆腐に
  白井芳雄
  季語「湯豆腐」で冬



今回は「大豆」についてのいろいろをお届けしました。
なお、「雑記帳」は今回をもちまして終了させていただき、次回メルマガ「いいテク・ニュース」
2018年の1月号から「季語に遊ぶ」と題して、めぐりくる季節それぞれの風物詩とそれを詠んだ
俳句をお届けできればと存じています。
引き続きご受読いただければ幸甚です。


全体を通じての参考文献、出典:Anna Lewington(原著)・光岡祐彦(翻訳)
               『暮らしを支える植物の事典−衣食住・医薬からバイオまで』
               (八坂書房)
                ISBN978-4-89694-885-1

               飯田龍太・稲畑汀子・金子兜太・沢木欣一監修
               『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社)
                ISBN978-4-06-128972-7

               『角川俳句大歳時記 春』(角川学芸出版)
                ISBN4-04-621031-1 C0392

               『角川俳句大歳時記 夏』(角川学芸出版)
                ISBN4-04-621032-X C0392

               『角川俳句大歳時記 秋』(角川学芸出版)
                ISBN978-4-04-621033-3 C0392

               『角川俳句大歳時記 冬』(角川学芸出版)
                ISBN4-04-621034-6 C0392

                           白井明大・有賀一広
                          『日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−』(東邦出版)
                ISBN978-4-8094-1011-6 C0076             
  
           参考サイト:農林水産省 大豆のホームページ
                  http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/
                フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)



最後までお読みいただきありがとうございました。
   
                   (株)技術情報センター メルマガ担当 白井芳雄

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