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  メルマガ 「いいテク・ニュース」 雑記帳 2016年9月27日(Vol.137)「イカ 」「いか」「烏賊」 ≫雑記帳トップへ



   「イカ」「いか」「烏賊」


刺し身、すしネタ、天ぷら、焼きイカ、パスタ、フライなど、日本人が大好きな食材であるイカ
。
そのイカは漢字で「烏(からす)の賊(ぞく)」と書きます。
なぜ、イカが烏の賊なのでしょうか?
その由来は中国の古書にあり、次のような記述がされています。
ある時、イカが海面に浮かんで死んだふりをしていると、カラスが飛んできて、食べようとして
舞い降りました。
カラスに捕えられそうになったイカは逆にカラスの足に絡みつき、海中に引きずり込んで食べて
しまったとされています。
イカは一度獲物を捕えたら絶対に逃さない程の握力と、カラストンビといわれる強靭な顎の力で
獲物を原型をとどめないレベルまで粉々に砕きます。
そのように、イカが烏を襲う賊なので「烏賊」という訳です。
本当にイカがカラスを食べたかどうかは定かではありませんが、カラスを襲うくらいの能力はあ
りそうです。
今回はそんな「イカ」「いか」「烏賊」にまつわる豆知識をお届けします。


1.「いかさま」の語源
  時代劇の博打場(ばくちば)で「てめ〜、いかさまやりやがって!」ってシーンよく観ます
  。
  この「いかさま」という言葉、イカ(烏賊)を釣るのに、餌がいらず、疑似針とかで「いか
  」を「さまざま」な方法で釣ることができることに由来する説があります。
  また「如何様」で「いかよう」にでも解釈できることからという説もあります。
  いやいや、「いかすみ」から転じたもので、いか墨で書かれた証文が時間がたつと消えてし
  まうことに由来するとの説も・・・。
  また、大相撲の隠語で、勝負事や賭け事に勝ったまま勝ち逃げすることを「いかを決める」
  と言いますが、これはいかが敵から逃れるために墨を吐いて姿をくらますことに由来してい
  ます。
  「いか」にまつわる言葉はいろいろあり、「いか」ようにでも解釈できますね。

2.20〜30mも空を飛ぶイカがいる。
  そのイカは「トビイカ」。
  2013年に北海道大学の水産学部のチームが、トビイカの飛び出しから着水までを連続写真に
  収めることに成功しました。
  その飛び方は墨を吐き出す漏斗(ろうと)という部分から水を勢いよく噴射させて推進し、
  腕とヒレを広げて揚力を発生させ、その速度は最大で時速36kmもあり、海面から2〜3mの高
  さを20〜30mも飛行します。
  トビイカは、トビウオと同様に捕食者から逃げるために、飛ぶ能力を発達させたそうです。
  トビイカは全長20〜30cmの可愛いらしいものですが、集団で飛ぶ姿は生命の躍動を感じさせ
  ます。
  詳しい内容をお知りになりたい方はこちらから。

  イカは空を"飛ぶ"ことができる!! - 北大がイカの飛行行動を解明
  (http://news.mynavi.jp/news/2013/02/07/140/)マイナビニュース

3.英語の「sepia」(セピア)はイカスミまたはイカスミ由来の黒褐色を意味する。
  セピアはモノクロ写真などにこの色のインクが用いられたため、古い写真は褪色し淡い褐色
  になり、それを見て昔を懐かしむことから、現在では懐古趣味をあらわす代名詞として用い
  られています。
  しかし、語源は古代ギリシャ語の「sepia」でコウイカの意味です。
  地中海沿岸地方では古代よりイカが食材にされるとともに、イカの墨がインクとして使用さ
  れていました。
  イカスミで描いた絵や文字は色褪せしやすいためインクとしては一旦使われなくなりますが
  、後の時代にイカスミをアルカリで溶解したあと塩酸で沈殿させ、それを乾燥させて茶色の
  顔料として使われるようになりました。
  それにともなって「sepia」という単語もイカそのものとイカスミの色をも意味するように
  なります。
  19世紀末になり、セピアのインクが新聞や雑誌の印刷に使われ、この色が人気になり、いわ
  ゆるセピア調の写真も現像されるようになりました。

4.イカスミパスタはあるのにタコスミパスタは何故ないの?
  冒頭でイカのことを「烏賊」と漢字で書くと紹介しましたが別名を墨魚とも書きます。
  ドイツ語でも「Tintenfisch」(インクの魚)と呼ばれ、イカと墨は切り離せません。
  そんなイカスミ料理はパスタや塩辛の黒づくりなどから、最近はパンや焼きそば、バーガー
  、ラーメン、クッキーなどイカスミ入りのさまざまな商品が販売されています。
  では、何故タコスミを使った商品がないのでしょうか?
  それはタコの墨袋がイカの墨袋と違って、肝臓に埋まったようになっていて、取り出しにく
  いのです。
  また、タコは水揚げの際に墨を吐いてしまって、ほとんど墨袋には残っていません。
  (マダコのスミの量はイカの1/10程度)
  タコスミを取り出し、タコスミパスタを作るには1人前が1万円近くになります。
  タコスミ料理がないのは手間とコストがかかり過ぎるからなのです。
  味はイカスミに引けを取らないそうですが・・・。

5.猫に生いかを食べさせると腰を抜かす。
  その理由は、生のいかに含まれるチアミナーゼという酵素のせいだとされます。
  チアミナーゼはビタミンB1(チアミン)を分解し、急性ビタミンB1欠乏症を引き起こす場合
  があります。
  ビタミンB1が欠乏すると疲労感や倦怠感を覚えたりし、猫にチアミナーゼを摂らせると脚気
  のような状態に陥り、歩行不能になることがあります。
  これが腰を抜かす状態の根拠です。
  ですが、チアミナーゼは熱に弱い性質があるので、焼いてしまえばOKです。
  また、スルメは水を含むと数倍に膨らむので、食べ過ぎると急性胃拡張をおこす危険もあり
  ます。
  猫にいか、たこを与える時はよく焼いてからにしましょう。

6.烏賊と俳句
  烏賊単独では季語になりません。
  花烏賊(はないか)が春、烏賊釣(いかつり)、烏賊船(いかぶね)は夏の季語、烏賊干す
  (いかほす)が秋の季語になり、他の季語と組み合わせて詠まれています。
  ここでは季節順に「烏賊+季語」で詠まれた句を選んでみました。

  <新年>
  松過ぎてより寵愛の烏賊徳利
  後藤比奈夫(ごとう ひなお)(1917-)
  季語「松過ぎ」で新年

  脚結び干して正月用の烏賊
  岡本 眸(おかもと ひとみ)(1928-)
  季語「正月」で新年

  <春>
  弥生尽烏賊が墨吐くはしりとも(弥生尽=やよいじん)
  石橋秀野(いしばし ひでの)(1902-1947)
  季語「弥生尽」で春

  槍烏賊の皮はぎやすし花の雨
  鈴木真砂女(すずき まさじょ)(1906-2003)
  季語「花の雨」で春

  <夏>
  烏賊売の声まぎらはし杜宇(杜宇=ほととぎす)
  松尾芭蕉(まつお ばしょう)(1644-1694)
  季語「杜宇」で夏

  冷酒や蟹はなけれど烏賊裂かん
  角川源義(かどかわ げんよし)(1917-1975)
  季語「冷酒」で夏

  <秋>
  塩つよき能登の秋烏賊歯ごたえす
  細見綾子(ほそみ あやこ)(1907-1997)
  季語「秋烏賊」で秋

  干烏賊の足のもつるる猫じゃらし
  清崎敏郎(きよさき としお)(1922-1999)
  季語「猫じゃらし」で秋

  <冬>
  時雨るるや烏賊より出づるトビカラス(時雨るる=しぐるる)
  中村草田男(なかむら くさたお)(1901-1983)
  季語「時雨」で冬

  干烏賊のしたたりつづく雪の上
  鷲谷七菜子(わしたに ななこ)(1923-)
  季語「雪」で冬

私も詠んでみました。

  風白き岬めぐれば烏賊襖(烏賊襖=いかふすま、大漁で烏賊が隙間なく干されているさま)
  白井芳雄(1947-)
  季語「烏賊襖」で秋

今回は「イカ」「いか」「烏賊」についてのいろいろをお届けしました。

全体を通じての参考文献、出典: 阿部宗明・本間昭郎監修
                山本保彦編纂
               『現代おさかな事典−漁場から食卓まで−』((株)エヌ・ティー・エス)
                ISBN4-900830-22-4
                                         
                山田吉彦
               『日本全国 お魚事典』((株)海竜社)
                ISBN978-4-7593-1261-4

                日本おさかな雑学研究会
               『頭がよくなる おさかな雑学大事典』((株)幻冬舎)
                ISBN978-4-344-40294-2

                飯田龍太・稲畑汀子・金子兜太・沢木欣一監修 
                          『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社)
                ISBN978-4-06-128972-7

                          『角川俳句大歳時記 夏』
                ISBN4-04-621032-X C0392

               『角川俳句大歳時記 秋』
                ISBN978-4-04-621033-3 C0392

                           白井明大・有賀一広
                          『日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−』(東邦出版)
                ISBN978-4-8094-1011-6 C0076             
  
           参考サイト:フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)

                故事ことわざ辞典
                (http://kotowaza-allguide.com/)

                全国いか加工業協同組合HP
                (http://www.zen-ika.com/index.html)

                イカは空を"飛ぶ"ことができる!! - 北大がイカの飛行行動を解明
                (http://news.mynavi.jp/news/2013/02/07/140/index.html)



最後までお読みいただきありがとうございました。
   
                   (株)技術情報センター メルマガ担当 白井芳雄

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