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  メルマガ 「いいテク・ニュース」 雑記帳 2013年9月26日(Vol.119) 『無花果(いちじく)』       ≫雑記帳トップへ


  『無花果(いちじく)』

蛇にそそのかされて「禁断の果実」を食べたアダムとイヴが裸であることに気づき、無花果の
葉をつなぎ合わせて腰に巻いたという逸話はよく知られています。
また一説にはアダムとイヴが食べた「禁断の果実」は林檎ではなく無花果であったとも伝えら
れています。
今回は様々なエピソードが残されている『無花果』についての豆知識をお届けします。

◎無花果の名の由来
 ○一説目 無花果は古名では「映日果」と書きます。
      ペルシャ語で無花果を「anjir(アンジール)」といいますが、その発音を中国で
      「映日」と音訳され、日本に渡って「果」が加えられ、音読みの「えいじつか」
      が「いちじく」に転じていったとの説。
 ○二説目 いちじくは一日一果実ずつ熟すから「一熟」。
      「いちじゅく」→「いちじく」と呼ばれるようになったとの説。
      しかし、実際は一日一果実よりも多く熟しますね。
 どうも一説目の方が説得力があります。
 話は横道にそれますが、『トゥームレイダー』で一躍脚光を浴び、トップスターになった
 女優のアンジェリーナ・ジョリー、とても魅力的。
 特に『ポワゾン』での彼女セクシィです。
 彼女の唇見ていると熟れた無花果を連想します。
 ペルシャ語では無花果がanjir。
 彼女の愛称は「Angie(アンジー)」。
 縁があるような気がしますが…。
 無理なこじつけですかね。

◎「禁断の果実」は林檎か無花果か
 旧約聖書で「禁断の果実」は林檎だと一般に言われています。
 しかし、先述しましたように「禁断の果実」を食べたアダムとイヴは恥じらいを感じて
 腰に巻いたのは無花果の葉です。
 林檎を食べたのに無花果の葉で体を隠すのは疑問を感じます。
 また、アダムとイヴが裸でいられる気候の中、自然に生えているのは無花果と考えるの
 が普通ですね。
 林檎が実るような気候だと裸でいると風邪を引いてしまいそうです。
 旧約聖書の『創世記』には何の果実かは記述がなく、「林檎」はラテン語では果物全般
 を指すそうです。
 客観的に見て「禁断の果実」は無花果の可能性大ですね。

◎無花果はオリンピック競技者によく食べられていた
 無花果はアラビア半島が原産地と伝えられていますが、ギリシャで改良が加えられたもの
 が特に美味しいことが知られています。
 当時のペルシャ王はその美味しい無花果を得るために戦いを挑んで負けています。
 戦争をしてまでも欲しい程、ギリシャの無花果は貴重で、国外への持ち出しを法律で禁じて
 いたほどでした。
 その頃のギリシャでは無花果は主要な食品で、体力と脚力増強には欠かせない食物として、
 オリンピックの競技者は無花果以外は食べなかったと言われています。
 高カロリーのエネルギー食品であることがわかっていたのですね。

◎無花果の花を食べている
 「無花果」の字は「花が咲かないのに実がなる、不思議だね」ということからこの漢字で
 表されます。
 実際に無花果は果実に見える花嚢(かのう、花を覆っている袋のこと)の内面にたくさんの
 花をつけています。
 無花果を食べると「つぶつぶ」の舌触りがしますが、あの「つぶつぶ」が実ではなく花なの
 です。

◎無花果に対する見方の違い
 日本ではいちじくを「無花果」と漢字で表記するため屋敷内にいちじくの木を植えると子孫
 が絶えるとして嫌われることがありました。
 しかし古代エジプトではたくさんの実をつけることから多産のシンボルとして神に捧げる果物
 として用いられたということです。
 洋の東西で一つの植物に対しても逆の見方があるのですね。
 もちろん、日本のは漢字からの迷信です。

◎無花果と俳句
 無花果が日本に移入されたのは江戸時代寛永年間(1624〜1643)。
 比較的新しいですね。
 「唐柿」「南蛮柿」の異名もありますが、無花果で詠まれた句を選んでみました。
  
                    無花果の裂けていよいよ天気かな
                          原石鼎(はら せきてい)
                               (1886-1951)

                     無花果をもぐに一糸を纏はざる
                         纏はざる=まとはざる
                       三橋鷹女(みつはし たかじょ)
                               (1899-1972)
 
                     無花果を食ふ天刑の名をうけて
                       平畑静塔(ひらはた せいとう)
                              (1905-1997)

                     ワンパック五個の無花果貪れり
                          貪れり=むさぼれり
                      八木健(やぎ けん/やぎ たけし)
                                (1940-)

                      無花果の中に微細な星あまた
                          金子敦(かねこ あつし)
                                (1959-)
私も詠んでみました。
                      無花果や食指をそそる半開き
                               白井芳雄

今回は『無花果』についてのいろいろをお届けしました。
      
最後までお読みいただきありがとうございました。
   
                 (株)技術情報センター メルマガ担当 白井芳雄

全体を通じての参考文献:飯田龍太・稲畑汀子・金子兜太・沢木欣一監修
                       『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社)

                        白井明大・有賀一広
                       『日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−』(東邦出版)

                        フリー百科事典
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