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車載機器の接続信頼性と向上技術

[コードNo.20STA138]

■体裁/ A4判並製本 170ページ
■発行/ 2020年 1月 8日 S&T出版(株)
■定価/ 66,000円(税・送料込価格)
■ISBNコード/ 978-4-907002-81-7

監修

神谷有弘(株)デンソー

執筆

味岡恒夫故障物性ソリューション(日本信頼性学会故障物性研究会副主査)
神谷有弘(株)デンソー
水谷美生(株)オートネットワーク技術研究所 (住友電工グループ)
芹澤直嗣矢崎総業(株)
近藤快人ホシデン(株)
加来芳史(株)デンソー
小谷安弘(株)デンソー
中嶋龍一沖エンジニアリング(株)
西村宜幸オーエム産業(株)
平松実オーエム産業(株)
野村幸矢(株)神戸製鋼所
清水聡(株)国際電気通信基礎技術研究所
石野祥太郎古野電気(株)
于強横浜国立大学
田中陽三菱電機(株)
山崎浩次三菱電機(株)
吉川俊策千住金属工業(株)
串田圭祐日立化成(株)

趣旨

 自動車業界は、「100 年に一度の大変革期」と言われ、車両生産販売だけでは生き残っていけないなど、関係者は、非常な危機感をもっている。とくにIoT との結びつきの中で、MaaSという移動サービスの一手段として自動車が位置付けられようとしている。そのため、自動車の使い方、使われ方が大きく変わるという認識である。このモビリティ革命を表す、ダイムラーが提唱した「CASE(Connected, Autonomous, Shared& Service, Electric)」により、自動車もその付加価値が大きく変わろうとしている。20 世紀末から加速し始めた電動化、車両の安全性を高めるための技術として始まった自動運転車両開発が、いよいよ21 世紀に入って実用化されつつある。さらには、自動運転の実用化と効率の良いエネルギー利用ならびに移動の実現のために、車外インフラと車両が連携(つながる)することが求められるようになっている。
 本書では、CASEに求められる車両の各種の電子システムを支える電子製品の相互接続に焦点を当てる。電動化ではHEVなのか、EVなのかの議論はあるが当面HEVとすれば、内燃機関とモータの相互の出力動力の最適制御が必要であり、相互の高速な情報のやり取りを必要とする。さらには、自動運転の実現ともなれば、さらに複数の相互システムが情報共有連携する必要がある。高速、大容量データを扱うことができる車内ネットワークが求められ、制御系では現在CANが主流であるが、さらなる高速化を目指し車載Ethernet の開発も進んでいる。そもそも、相互の物理的接続は、コネクタという部品が依然として主役であり、その信頼性が車両の信頼性を左右するといっても過言でない。そこで、電子製品の接続という事項に注目して、主にハードウェア的な側面から解説をしていく。第1章では車載信頼性の概要と取組みの考え方を概説する。第2章では高電圧コネクタから、高周波領域までのコネクタに必要とされる基本技術から、接点材料、表面のめっき技術まで最先端の技術を幅広く取り上げた。第3章では、各電子製品内の部品実装(主にはんだ付けを中心とした部品接続)技術に関する、技術と信頼性について検討している。まずは、はんだ付け技術にける信頼性確保のための考え方と評価技術をしっかり理解してほしい。そのうえで、電動化の主役であるインバータに使われる、パワーデバイスの実装技術における高信頼性設計を詳説している。最近の車両使用年数は長期化しており、10年以上使われることが普通となった。車両関連製品は永久に供給責任がある。その中で、電子製品はますます長期寿命を求められており、はんだ接合部の長寿命化も構造設計と工程の実装技術だけではなく、はんだ材料ならびに電子部品を搭載する回路基板材料においても進化し続けており、各材料研究の成果も紹介する。
 間近に迫る、車両の電動化と自動運転社会における、高信頼で自動運転サービスを途切れさせない車両を提供するための基本技術について、本書でまとめたつもりである。接続(コネクタ)も、はんだ付けも古くから採用されている技術でありながら、いまだに車載電子製品の不具合原因の大半を占めている。高信頼性を実現するために、コネクタでは車両の燃費向上のために小型軽量化が求められ、組合せ使用されるハーネスを含めたハーネスシステムとしてとらえる発想も必要である。同様に、はんだ付けもその材料から製造工程を含めた実装システム設計ともいうべき考え方が必要になっている。本書を手にされた皆様の、新しい発想の手助けになれば幸いである。
                                                                      神谷有弘

目次

第1章車載用電子機器に要求される信頼性:故障の未然防止と解析
1.はじめに
2.車載用電子機器に要求される信頼性
2.1車載用電子機器に必要な事項
2.2車載用電子機器の安全性・信頼性規格
2.2.1機能安全
2.2.2品質(信頼性)評価
3.市場故障の真の原因
3.1実装・組立に関する未然防止法のポイント
3.1.1温度ストレスによる故障メカニズム
3.1.2温度変化ストレスによる故障
3.1.3湿度・水分ストレスによる故障
3.2電子部品選定のポイント
3.2.1部品メーカの選定
3.2.2部品の信頼性レベル
3.2.3特性評価
3.2.4良品解析
3.3実際に起こるサージの原因
4.車載用電子機器故障未然防止
4.1屋外環境による故障メカニズムと未然防止
4.2電磁波ノイズ対策
5.故障原因究明のための解析
5.1故障解析の目的
5.2故障解析方法
5.2.1情報収集・解析
5.2.2故障の可能性のある製品の対処
5.2.3狭義の故障解析
5.2.4故障メカニズムの解明
5.2.5ロックイン発熱解析(LIT)による故障解析
5.2.6電子機器メーカの実施すべき故障解析
6.まとめ
第2章ハーネス・コネクター・端子の接続信頼性向上と評価技術
第1節車載用コネクターに求められる要求特性と信頼性向上技術
1.コネクターの役割
2.コネクターの機能
3.コネクターの要素
4.コネクターの構造
4.1オスターミナルとメスターミナルの関係
4.2オスターミナルの保持
4.3メスターミナルの保持
4.4オスコネクターとメスコネクターの嵌合保持としてのロック機構
5.ターミナルの接触理論
5.1接触の考え方
5.2接触抵抗
5.3接触部の信頼性
6.ターミナルの種類
7.車載環境
8.品質確保のための設計
8.1コネクターのみで考慮すべきこと
8.2オスコネクターと電子回路基板との組み合わせで考慮すべきこと
8.3メスコネクターとハーネス組付けの組合せで考慮すべきこと
9.信頼性環境試験の考え方
9.1必要な評価試験とは
9.2評価試験の計画
9.3評価試験実施
10.まとめ
第2節電動化車両用高圧ハーネスと高圧コネクタ
1.はじめに
2.電気駆動系と高圧ハーネス、高圧コネクタ
3.各種高圧ハーネス、高圧コネクタ
3.1パイプハーネス
3.2PNコネクタ
3.3パワーケーブル
3.4ダイレクトコネクタ
4.おわりに
第3節車載光ネットワーク用光ファイバ
1.はじめに
2.車載用通信メディア
3.車載光通信の歴史
4.車載用光ファイバ
5.標準化動向
6.まとめ
第4節車載用高速伝送コネクタ・ハーネス
1.はじめに
2.車載機器で使用される高速インターフェースについて
2.1車載用高速インターフェースには相互接続性を担保する為の規格や認証制度がない
2.2車載用高速インターフェースが抱える課題
3.高速信号伝送用車載コネクタ・ハーネスについて
3.1車載用コネクタについて
3.2車載用高速インターフェースの課題解決に向けて
4.車載用高速伝送コネクタ・ハーネスの開発・選定のポイント
4.1開発にあたって
4.2差動と同軸の違い
4.3基板実装用コネクタ
4.4中継コネクタ
4.5モジュール用コネクタ(カメラコネクタ)
4.6ハーネス(ケーブルアッセンブリ)
5.高速伝送用コネクタ・ハーネスの比較
6.高速伝送用車載コネクタ・ハーネスメーカーの役割
第5節車載Ethernet通信技術
1.はじめに
2.車載通信の動向と車載Ethernetへの期待
2.1故障診断及びソフトウェア更新
2.2画像伝送
2.3エンターテイメント
2.4バックボーン回線
3.車載Ethernetの標準化動向
4.車載Ethernetの物理層
4.1チャネル(ケーブル及びコネクタ)要件
4.2トランシーバ(PHY)要件
5.ECUのハードウェア設計と評価
6.まとめ
第6節車載ハーネス・コネクターの信頼性評価技術
1.はじめに
2.車載コネクター評価の課題
3.コネクターの信頼性試験
3.1確認試験
3.2熱衝撃試験
3.3ガス腐食試験
3.4振動試験
3.5電気特性確認試験
4.車載コネクター評価試験
5.まとめ
第7節コネクタ端子の表面処理技術
1.はじめに
2.新規スズめっき皮膜
2.1PTFE粒子を分散共析させた電解スズめっき
2.1.1PTFE複合電解スズめっき皮膜
2.1.2微摺動摩耗試験
2.2スズめっき皮膜の摩擦特性に及ぼす端子の表面形状の影響
2.2.1評価サンプル
2.2.2接触抵抗
2.2.3凹凸形状を施した表面の摩擦係数
2.2.4端子挿入力の確認
3.コネクタ端子の表面処理方法
3.1フープめっきの部分めっき方式
3.1.1部分浸漬方式
3.1.2ブラシめっき方式
3.1.3ジェットノズル噴射方式
4.おわりに
第8節車載端子用銅合金と表面処理の信頼性および耐環境性
1.はじめに
2.電気的接続部の結合方法
2.1接点形成接続法
2.2永久接続法
3.端子用通電部材の基本的選定方法
3.1強度特性
3.2応力緩和特性
3.3導電性
3.4曲げ加工性
3.5電気接続に用いられる銅合金板
3.6銅合金に関する今後の動向
4.電気接続に用いられる表面処理
4.1すず
4.2金めっき
4.3銀めっき
4.4ニッケルめっき
4.5表面被覆に関する今後の動向
5.環境
5.1温度
5.2振動
5.3湿度
5.4腐食性雰囲気
5.5塩分
6.むすび
第9節ワイヤレスハーネス技術
1.はじめに
2.ワイヤレスハーネスの価値
3.ハーネスのモデル化
4.ワイヤレスハーネスの電波伝搬
5.ワイヤレスハーネスの伝送品質
6.まとめ
第10節電波ホースによるハーネスレス化技術
1.背景
2.ハーネスの無線化技術
3.導波管による非放射系の実現
4.電波ホースの開発
5.電波ホースによる電力・通信伝送
6.さいごに
第3章車載電子部品・パワーモジュール実装の接続信頼性向上と評価技術
第1節車載電子部品の接続信頼性技術
1.はじめに
2.車載電子部品の動向
3.車載電子部品に対する要求
3.1小型・軽量化
3.2 信頼性の確保
4.各電子部品の接続形態
5.ワイヤボンディング接続
5.1Au線ボンディング
5.2Al線ボンディング
6.樹脂回路基板の層間接続
7.導電性接着剤接続
8.はんだ付け技術
8.1フリップチップ(FC)、BGAパッケージのボール電極接続
8.2一般電子部品のはんだ付け
8.3パワーデバイスのはんだ付け
9.意図しない接触による不具合
9.1イオンマイグレーション
9.2Snウィスカ
10.まとめ
第2節車載電子機器実装部における信頼性の課題と評価方法
1.はじめに
2.SAC305はんだ接合部の疲労特性の評価
2.1疲労試験
2.2はんだ接合部に生じる非線形ひずみの算出
2.3Manson-Coffin則と線形被害則
3.BGAはんだ接合部に生じるばらつきの要因評価
3.1温度サイクル試験による評価
3.2シミュレーションによる評価
4.まとめ
第3節パワーモジュール接合部の信頼性設計
1.はじめに
2.車載用パワーモジュールの構造
3.パワーモジュール接合部への要求特性
4.パワーモジュール接合部の信頼性
4.1はんだ接合部
4.2その他の接合部
5.今後の展望
第4節アルミ線のはんだ浸漬法による接合技術
1.フラックスを用いたはんだ浸漬プロセスの検討
1.1はじめに
1.2実験内容
1.2.1はんだ浸漬プロセスの検討
1.2.2絶縁被膜除去方法の検討
1.3実験結果
1.3.1はんだ浸漬プロセスの検討
1.3.2絶縁被膜剥離方法の検討
1.4まとめ
2.フラックスレスはんだ浸漬プロセスの検討
2.1はじめに
2.2実験内容
2.3実験結果
2.3.1各条件での接合状況
2.3.2はんだ組織観察
2.4まとめ
第5節車載用高信頼性はんだ材料
1.はじめに
2.はんだ材料の開発
2.1基板実装向けはんだ材料
2.1.1従来技術
2.1.2従来技術の課題
2.1.3課題解決へのアプローチ
2.1.4はんだ付け組織の経年劣化対策技術
2.2パワーデバイス向けはんだ材料
2.2.1従来技術
2.2.2従来技術の課題
2.2.3課題解決へのアプローチ
3.まとめ
第6節車載用はんだクラック抑制基板材料
1.はじめに
2.車載基板におけるはんだクラックの現状
3.車載基板におけるはんだクラック問題の基板材料からの対策手法
4.低弾性プリプレグのはんだクラック抑制効果確認-シミュレーション解析
5.低弾性プリプレグの設計コンセプト及び特性
5.1低弾性プリプレグの設計コンセプト
5.2低弾性プリプレグのはんだクラック抑制効果確認-チップ部品実装基板
5.3低弾性プリプレグの耐熱性およびスルーホール信頼性
6.今後の展開
6.1BGA実装基板での低弾性プリプレグのはんだクラック抑制効果確認-シミュレーション解析
6.2BGA実装基板での低弾性プリプレグのはんだクラック抑制効果確認
7.おわりに



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