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環境対応型塗料・塗装技術
環境負荷低減に貢献する、塗料設計/塗装技術開発と研究動向
VOC/CO2排出量削減、塗料・塗装系廃棄物の適切処理と減量、天然由来成分利用

[コードNo.22STM073]

■体裁/ B5判並製本 233頁
■発行/ 2022年 3月23日 サイエンス&テクノロジー(株)
■定価/ 55,000円(税・送料込価格)
■ISBNコード/ 978-4-86428-278-9

著者

日本塗装機械工業会平野 克己
(一社)東京環境経営研究所松浦 徹也
小林分散技研小林 敏勝
郷司技術士事務所郷司 春憲
日本ペイントホールディングス(株)石田 聡
大日本塗料(株)福田 訓之
旭サナック(株)柳田 建三
メトロ電気工業(株)倉田 征治
メトロ電気工業(株)筒井 健
日本ペイント・インダストリアルコーティングス(株)斎藤 洋
日本ペイント・インダストリアルコーティングス(株)八田 崇史
佐賀県工業技術センター田栗 有樹
日本ファシリティ・ソリューション(株)産業ES推進室
東和酵素(株)内山 貴識
東和酵素(株)魚谷 英未
KYB(株)早川 義敬
(株)源兵衛佐々木 健一
明治大学宮腰 哲雄
北海道立衛生研究所小林 智
横浜市環境創造局政策調整部 環境科学研究所猪俣 好美
北海道大学沖野 龍文
坪田 実

書籍趣旨

 2030年の温室効果ガス削減目標、そして2050年カーボンニュートラルに向けて、多くの企業がそれら共通課題へと取り組んでいます。塗料・塗装業界においても同様であり、環境保全意識や社会的要請の高まり等から、環境対応製品・技術の開発や普及へと尽力されています。

 これまでも揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制に向けて、大気汚染防止等の観点から、溶剤形塗料の置き換えが進められてきました。具体的には、塗料の水性化・粉体化・ハイソリッド化、塗着効率の向上、塗装工程の見直し等が挙げられると思います。その結果、たゆまぬ努力によって、VOC削減を図りながら塗装作業性や塗膜品質の向上をも叶える製品もたくさん登場しました。とはいえ、中には「塗料水性化によってVOCは削減できたものの、溶媒の特性上、乾燥工程におけるCO2排出量が増加した」というケースも見受けられます。
「あちらを立てればこちらが立たぬ」ではなく、この場合はVOC対策とCO2対策が両立できる、つまりVOCとCO2両方の削減が可能となることこそが真に求められているのではないでしょうか。

 いち工程だけでなく、トータルでみたときにも環境保全に寄与すること、
 工業利用に適した製品品質・安全性等を確保していること、
 そして、ユーザや作業者にベネフィットを与える技術・製品であること――

本書は上記3つの視点から、企画構成いたしました。

 求められていることは多くその一つ一つに障壁がありながらも、その問題解決には多くの道筋があると思います。 企業として、事業戦略として、担当製品・技術としての方向性のもとに、よりよい技術・製品を提供するべく日夜奮闘されている皆様にとって有意義な1冊でありたいと願うばかりです。

(本書企画担当)

目次

第1章工業塗装における環境負荷とSDGsを目指す対策
はじめに 
1. 塗料・塗装の環境負荷の歴史
2. 塗料・塗装の環境負荷をLCAから抽出する
3. VOCへの対応の結果と教訓
4. 国際的テーマとなったゼロカーボンへの対応
4.1塗装工場からのCO2排出量
4.2CO2排出量低減の方策
4.2.1 塗料原料の樹脂の硬化反応の開発
4.2.2 原料の石油からバイオへの転換
4.2.3 熱源の水素化,バイオ化
4.2.4 廃塗料のバイオ処理
4.2.5 電源のクリーン化
5. 産業廃棄物
6. 塗膜の環境負荷
7. SDGsを目指す塗料・塗装面での主テーマ
7.1VOCゼロ化
7.2カーボンニュートラルへの対応
7.3塗装の品質管理の革新
7.4塗装工場の自動化(FA化)
7.5工業塗装のシステムインテグレート
おわりに 
第2章日米欧中におけるVOC規制の概要と差異
1. 日本のVOC規制
1.1大気汚染防止法による規制
1.2労働安全衛生法による規制
2. アメリカのVOC規制
2.1大気浄化法による規制
2.2技術的支援
2.2.1 VOCの概要
2.2.2 VOCの分類
2.2.3 製品のラベリング
3. EUのVOC規制
4. 中国のVOC規制
4.1VOC規制国家標準
4.2規制の背景
4.3ガイドによる基準
第3章塗料設計・塗装プロセスからの環境対応策
第1節水系化技術とトレードオフ関係の解消に向けて
〔1〕溶剤としての水のふるまい、その特異性
はじめに 
1. 溶剤としての水の特異性
1.1大きな分子間の凝集エネルギー
1.2規則正しい分子の空間配置
1.3疎水性相互作用
2. 水を溶剤として用いる際の注意点
2.1水性塗料用高分子(樹脂)
2.2塗装作業性
2.3顔料分散
おわりに 
〔2〕塗料用樹脂の水性化技術と架橋反応
1. 水性塗料とは,どのような塗料か
2. 水性塗料の技術課題
3. 塗料用樹脂の水性化手法
3.1水の存在下で樹脂を合成するタイプ−乳化重合
3.2溶剤可溶性樹脂を強制乳化する方法
3.3溶剤可溶型樹脂を水性樹脂に転換する方法
3.4カチオン型電着塗料用樹脂
3.4.1電着塗装とは
3.4.2カチオン型電着塗料用樹脂の調製法
3.5ポリウレタンディスパージョン(PUD)の調製法
4. 水性塗料の架橋反応
4.1塗膜の耐水性を改良する架橋反応
4.2水性樹脂の架橋反応例
4.2.1ポリウレタンディスパージョン(PUD)とアクリル樹脂Emとの架橋反応
4.2.2二液常温反応硬化型アクリル−ウレタンEm樹脂
4.2.3コアシェルタイプEmの架橋反応
おわりに 
〔3〕水性塗料開発における増粘剤の利用と塗料安定性への副作用
1. 水性塗料の構成と製造方法
2. 水の特性と添加剤の利用
3. 増粘剤が塗料安定性に及ぼす副作用
3.1増粘剤の使用目的
3.2水性塗料で用いられる増粘剤
3.3増粘剤による副作用の事例
〔4〕ローラー塗装における塗装感と塗料飛散抑制の両立
はじめに 
1. 実験および考察
1.1塗料飛散発生過程の観察
1.2塗料飛散の制御パラメータ
まとめ 
第2節粉体塗料と更なる高性能化と技術課題への取り組み
〔1〕粉体塗料の開発動向と今後の展開
はじめに 
1. 粉体塗料の種類
1.1エポキシ系粉体塗料
1.2エポキシポリエステル系粉体塗料
1.3ポリエステル系粉体塗料
1.4アクリル系粉体塗料
1.5フッ素樹脂系粉体塗料
2. 機能性・意匠性粉体塗料
2.1エッジカバー性粉体塗料
2.2抑発泡性粉体塗料
2.3低温硬化粉体塗料
2.4耐擦り傷性向上粉体塗料
2.5模様粉体塗料
2.6メタリック粉体塗料
2.7ジンクリッチ粉体塗料
3. 長期耐久性粉体塗料 二層分離形フッ素粉体塗料
4. 今後粉体塗料に期待されること
おわりに 
〔2〕粉体高速色替塗装システムの開発
はじめに 
1. 粉体高速色替塗装システムの概要
2. パウダーステーション(塗料供給装置)
2.1パウダーステーションに求められる機能・役割
2.2新開発1タンク色替パウダーステーションの特長
2.31タンク色替パウダーステーションの色替手順
3. 粉体塗装ブース
3.1二重構造樹脂パネル(ブース壁材)
3.2床面エアブローノズル/吸引溝
3.3自動ガン外面清掃用エアブローノズ
4. 粉体高速色替塗装システムの導入効果
おわりに 
〔3〕粉体原色調色システムによる小ロット、短納期対応の実現
はじめに 
1. 開発背景
2. 粉体原色調色システムの構成
3. ドライブレンド調色用原色塗料設計
3.1原色粒子径・分布
3.2原色色相体系
3.3光沢制御剤
3.4その他
4. 粉体原色調色用CCM(Computer Color Matching)
5. 計量機、混合機、塗装機系
おわりに 
第3節塗装/塗膜形成過程と省エネルギー化
〔1〕水性塗料乾燥における赤外線放射加熱の効果
はじめに 
1. 熱風加熱と放射加熱の違い
1.1熱風加熱の特徴
1.2放射加熱の特徴
2. 赤外線式ヒータの種類
2.1熱放射
2.2遠赤外線ヒータの特徴
2.3赤外線ランプヒータの特徴
2.3.1 近赤外線と中赤外線ランプヒータの違い
2.3.2 水の吸収波長
3. 蒸発に必要なWhの考え方
3.1水性塗料の問題点
3.2蒸発に必要なW数の計算
3.3有機溶剤(キシレン)と水性塗料の比較
4. 赤外線乾燥の実際
4.1赤外線での乾燥炉コンパクト化
4.2熱風との併用
4.3ヒータの発光長
4.4水分蒸発に必要なW数
5. オレンジヒートの特徴
5.1赤外線ランプヒータの高出力化
5.2高効率カーボンランプヒータ:オレンジヒート
5.3色による加熱ムラ
5.4タングステンとカーボンの比較
6. 活用方法例
6.1加熱ユニット
7. 今後について
〔2〕紫外線硬化型水性塗料のUV-LED硬化に対する適用検討
はじめに 
1. 塗料の調整及び各波長による塗膜の硬化実験
1.1塗料の調整
1.2塗膜の硬化実験
1.3塗膜の評価
2. 結果及び考察
2.1超高圧水銀ランプからのバンドパスフィルターを使用した特定の帯域幅を持つ光の取り出し
2.2塗料成分の調整
2.3高照度メタルハライドランプによる硬化
2.4重合開始剤選択における留意事項
おわりに 
〔3〕自動車塗装工程における排熱回収システム導入を中心とした省エネルギーへの取り組み
はじめに 
1. 取り組みの背景・経緯
2. 取り組みの基本方針
2.1基本方針@ 配管からの放熱ロス削減
2.2基本方針A ヒートポンプを活用した排熱回収
2.3基本方針B 安定供給と省エネルギーの両立
3. 新エネルギーセンター棟の概要
4. システム導入後の省エネルギー効果
4.1システム導入による省エネ効果
4.2運用改善による省エネルギー効果
4.3省エネルギー効果まとめ
4.4省エネ大賞の受賞
おわりに 
第4節塗料・塗装時に生じる廃棄物の適切処理と3R
〔1〕塗装工場から排出される産業廃棄物の分類及び処理方法
はじめに 
1. 廃棄物を取り巻く海外,国内の現状
2. 塗装事業者に求められる対応
3. 廃棄物処理法
4. 塗装工場内で発生する産業廃棄物の分類と具体例
5. 塗装工場から排出される廃棄物の環境に優しい適正処理
6. 排出別の具体的な処分例
6.1塗装ブース水
6.2塗料スラッジ
6.3廃塗料と廃シンナー
6.4廃塗料缶
6.5塗料付着物
6.6脱脂廃液
6.7化成被膜剤廃液
6.8排水処理
7. これからの塗装工場と産業廃棄物
〔2〕微生物製剤を用いた湿式塗装ブースの臭気・産業廃棄物の軽減技術
はじめに 
1. 塗装ブースを運用するうえでの問題点
2. ブース水の臭気発生の要因
3. 微生物製剤の特徴と効果
4. 使用方法
4.1塗装ブースへの直接投入
4.2自家培養システム
5. 塗装ブースの軽メンテナンスと大型清掃作業
5.1日常の軽メンテナンス
5.2定期的な大型清掃作業
6. 導入の効果
6.1A社の事例
6.2B社の事例
おわりに 
〔3〕水性塗料廃棄物減量への挑戦
はじめに 
1. 当社および背景の紹介
2. 塗装工程から排出される産業廃棄物
3. 「環境配慮型」の盲点
4. 対策で次なる問題発生
5. 「遊び心」にヒント
6. 廃棄物で廃棄物を減量
おわりに 
〔4〕塗装リユースシステムの開発背景と普及に向けた課題
はじめに 
1. 開発の背景
1.1塗料は廃棄されやすい
1.2塗料リユースシステムの開発
1.3実作業面における課題の克服
1.4廃塗料が環境に与える負荷への問題意識
2. リユースシステムの概要
2.1塗料リユースシステムのサービスフロー
2.2システムの長所
3. 現在の運用状況と今後の課題
3.1登録事業者からのフィードバック
(1) 長所
(2) 懸念事項
3.2当社が考える今後の課題
(1) 配合データの充実
(2) マッチング精度の向上
(3) システム普及に向けた営業体制
おわりに 
第5節自然由来の原料,生態系への配慮
〔1〕漆の工業塗装への応用
はじめに 
1. 漆液の成分組成
2. 漆液の乾燥硬化のメカニズム
3. 漆塗りと漆工芸
4. 漆塗料の改質法
5. ナノオーダーの金コロイドや銀コロイドを用いた漆塗料<
6. ナノ漆の開発と応用
おわりに 
〔2〕水性塗料成分による新築小学校の室内空気汚染に関する調査結果
はじめに 
1. 問題の経緯
2. 原因の究明
3. 対策
4. 校舎使用開始時点での汚染物質濃度の推定
4.1汚染物質放散量の測定
4.1.1 供試試料
4.1.2 放散速度の測定
4.1.3 A塗装塗料成分の放散特性
4.1.4 B塗装塗料成分の放散特性
4.1.5 新校舎使用開始時における校舎内濃度の推定
@図書室の推定濃度
A体育館の推定濃度
おわりに 
〔3〕横浜市環境科学研究所における水質事故分析事例
はじめに
1. 水質事故で採水された試料
1.1ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ質量分析装置
1.2走査電子顕微鏡
1.3フーリエ変換赤外分光光度計
2. 水質事故分析事例
2.1令和3年3月5日 馬洗川白濁事故
2.1.1 水質事故状況等
2.1.2 分析結果
2.2令和2年6月12日 帷子川白濁事故
2.2.1 水質事故状況等
2.2.2 分析結果
2.3令和3年2月7日 柏尾川白濁事故
2.3.1 水質事故状況等
2.3.2 分析結果
おわりに 
〔4〕船底防汚塗料設計に向けた付着阻害物質の探索と研究動向
はじめに
1. 防汚剤の開発の歴史
2. 海洋生物由来の付着阻害物質の初期の研究例
3. 最近上市された防汚剤
4. 最近報告された海洋生物由来の付着阻害物質
おわりに 



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